月刊『販促会議』で連載している「ヒットの仕掛人に聞く!」。話題のヒット商品・サービスがヒットに至った経緯を、開発の背景やプロモーション戦略からひも解きます。
今回は、2022年に発売を開始した「キレ―トレモンMUKUMI」。若年層の女性の間で人気上昇中の同商品はどう生まれたのか。仕掛け人に話を聞きました。
※本記事は、月刊『販促会議』11月号 連載企画『ヒットの仕掛人に聞く!』に掲載されています。
■商品情報
- DATA
- 商品名:キレートレモン MUKUMI
- 希望小売価格:159円(税込)
- 主な販路:コンビニエンスストア、ドラッグストアなど
ポッカサッポロフード&ビバレッジ
マーケティング本部
ブランドマネジメント部
高井 朋子氏
2007年入社。「じっくりコトコト」はじめとするスープカテゴリのマーケティングを担当。2022年からレモンカテゴリの担当になり、2023年5月からはキレートレモンブランド全般のブランドマネジメントを任され、ブランド戦略から商品開発、プロモーションまでを一貫して担当している。
ポッカサッポロフード&ビバレッジが2022年8月に発売した特定機能表示食品「キレートレモン MUKUMI」。若い女性に多い一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減する機能がSNSなど話題を呼び、ファンを増やしている。
レモン由来の成分の発見がきっかけ
──「キレートレモン MUKUMI」の開発経緯を教えてください。
レモンの研究成果と消費者ニーズの気づきの両面から開発に至りました。レモンの機能性研究を行う中で、レモンの皮に含まれるポリフェノールの一種であるレモン由来の「モノグルコシルヘスペリジン」にむくみ感を軽減する機能があることがわかりました。機能性表示を取得し「キレートレモンMUKUMI」の商品開発にも活かすことができました。
また、消費者のニーズとして、当社で美容系の悩みを調査していくと、20~30代女性の3人に1人がむくみに悩んでいることがわかりました。発売を開始した2022年8月は、コロナ禍も終わりが見えてきた頃で、今後はマスクを外す機会も増えるだろうと予測。そうなると、顔のむくみを気にする人も増えるだろうと予想していましたね。
むくみ対策の選択肢はたくさんありますが、ドリンクは手軽で続けやすく、キレートレモンブランドは健康や美容によさそうなイメージをもたれていることもあり、チャンスがあると思い開発を進めました。
──商品の特徴やターゲットは。
「キレートレモン MUKUMI」は機能性表示食品で、先述したレモン由来モノグルコシルヘスペリジンの働きで一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減することが特徴です。ターゲットは、リフレッシュしながら顔のむくみ感を低減したい20~30代の女性を中心にしています。
──これまでの販売状況はいかがですか。
発売開始から約1年ですが、出荷量は私たちの予想の倍近い数量で推移しています。発売後の早い段階からトライアルを獲得できたことがその要因だと分析しています。
SNSを活用し飲用シーンと機能を訴求
──プロモーションではどのようなことをされましたか。
3つの柱を立てました。1つ目はSNSの動画配信です。むくみ感を軽減するという今までにない商品なので、その特徴と、飲用シーンをイメージしてもらうことが大事になると考え、SNSで飲用シーンを伝える動画広告を配信しました。
2つ目は美容系の口コミの活用です。「キレートレモン MUKUMI」は飲料でありながら、美容系商材でもあります。機能的価値が高いことから、目的買いされることを予測し、飲んだ人が実際に効果を感じているのかどうかを気にするのではないかと考えました。また、商品を知り、興味を持った人は検索して口コミやレビューを見る。そして、トライアルに至るという流れを想定して、口コミが見られるようにPR投稿を行いました。
3つ目は、当社が継続しているレモンの価値啓発活動と連動した情報発信です。「キレートレモン MUKUMI」を認知してもらう前に、レモンの機能や世の中のむくみに関する対策ニーズと合わせて商品の情報をリリースし、意味あるものとして受け入れてもらうことを狙っています。
──プロモーションの効果はどのように評価していますか。
SNSでの投稿は、X(旧Twitter)での発話が他の社内製品と比較しても非常に多くなっています。芸能人やモデルの方々が自主的に発信して下さったこともあり、定期的に話題になる流れが続いています。そうした投稿からは私たちが想定していなかったシーンでの飲用も見えてきました。当初は食べ過ぎたり、飲み過ぎたりした日の夜に、翌日に備えて飲むことをイメージしていました。しかし、実際は、出てしまったむくみ感を軽減するために朝に飲む人も多くいると発売後に判明しましたね。
大切な日に万全な状態で臨むために飲むという投稿もありました。特に「推し活」をしている人たちからは、イベントなどに合わせて飲むようなシーンの拡散も生まれました。
──パッケージにもむくみ感の軽減が書かれているのでわかりやすいですね。
この商品を発売する前に、クエン酸の働きで疲労感を軽減する「キレートレモン クエン酸2700」という機能性表示食品を発売しています。そのときに機能性食品は機能をしっかり伝えた方が良いという知見を得ているので、今回もパッケージ上部に分かりすく記載しました。
美容面の悩みを持つ人により添う商品に
──今後、実施したいことなどはありますか。
熱量の高いファンが一定数獲得できているので、そうした人の生の声をもっと引き出し、拡散できればと思っています。ユーザーとのエンゲージメントを高めることによって、今の好循環を継続させていきたいですね。
「キレートレモン」ブランドとして、お客さまの健康維持に貢献し、前向きに自分らしく生きる人のお守り的な存在になることを目指しています。その中で「キレートレモン MUKUMI」は、美容面での悩みを持つ人により添う商品になれればと考えています。
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