ADKマーケティング・ソリューションズは11月28日、「ADK生活者総合調査2023」より『コロナ禍でアップデートされた新しい生活様式に関するレポート』を発表した。「ADK生活者総合調査」は、同社が2008年から実施している関東・関西地区※1の男女15-79歳10,000名以上を対象としたオリジナル調査。
今回発表した『コロナ禍でアップデートされた新しい生活様式に関するレポート』では、2020年から約3年間に渡ってあらゆる影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症が、生活者の価値観や意識をどのように変えたのかを分析。ビフォーコロナ期(2019年)、ウィズコロナ期(2020年~2022年)、アフターコロナ期(2023年)の計5年間における価値観・意識スコアの推移を、【仕事】【美容・ファッション】【消費】【情報】【健康】の5つの分野で検証している。
その結果、ウィズコロナ期に入ってスコアが変化したが、アフターコロナ期になってもスコアが元に戻っていない項目があることが明らかになった。同社によると、これらは新型コロナウイルスによって“一時的に変化させた生活様式”ではなく、生活者の新たな価値観・意識であり、“アップデートした新しい生活様式”であると考えているという。
今回の調査の主な結果は以下の通り。
① 仕事
出世欲が減少、ワークライフバランスを大切にしたい人が8割強に
仕事への価値観については、「会社や組織で出世したい」がビフォーコロナの2019年より2.1%減少、「自分の能力や才能を人に認めてもらいたい」が2022年より2.7%減少した。
一方、「ワークライフバランスを大切にしたい」はウィズコロナ期の2020年より2.7%増加。そのことから、コロナ禍における就業環境の変化を経て、仕事中心の考え方が薄れてきていることがわかった。
② 美容・ファッション
「自分らしさを大切にする」傾向が高まる
美容ファッションについては、「ファッションで自分らしさを表現したい」が2019年より6.7%増加。「化粧をすることでなりたい自分に近づける」は2020年より8.1%増加した。
また、「異性から魅力的に思われたい」については2019年より3.4%減となっている一方、「流行より自分のスタイルを大事にしたい」は、2019年より4.9%増加。これらの結果から、コロナ禍をきっかけにひとりで過ごす時間が増え、自分らしさを大切にしたい考え方が浸透したことが読み取れるとしている。
③ 消費
決済方法のデジタル化も進む
「日常の買い物で、電子マネーやクレジットカードで支払うことが増えた」は2019年より6.7%増加し、全体の7割になった。また、「できるだけ現金での支払いではなく、キャッシュレスで生活したい」も13.2%増加。コロナ禍における非接触のニーズ増加によって、日々の買い物にもキャッシュレスが定着したことがわかった。
④ 情報
「ネットが欠かせない」生活者が約5%増
情報意識については、「人とのつながりでネットは欠かせない」が2019年より4.8%増加、「ネットが使えなくなると不安だ」も2019年より3.1%増加した。同社は、コロナ禍の外出自粛により在宅時間が増えたことで、生活の中におけるインターネットの重要性が増したのではないかと分析している。
⑤ 健康
生活者自身の健康もデータ化して管理する意識が高まる
「運動や食事などで、健康のために1年以上続けていることがある」は全体の5割近くまで増加。さらに、日頃行っている趣味・スポーツとして「散歩・散策・ウォーキング」と回答した人も2019年より5.2%増加し3割を超えた。
また、「健康管理用のアプリやスマートウォッチなどのアクセサリーを利用している」は2019年より8.3%増加し、全体の3割に。コロナ対策をきっかけとして始めた健康データの測定や、運動や食事管理の習慣が定着したことが考えられる。