2020年のサービス開始から5000社を超える企業が導入した「DMMチャットブースト」シリーズの中でも、新規顧客をCVに導くことに大きく特化したサービスがある。「DMMチャットブーストCV」だ。シリーズのほかの2つのサービスが店舗やECサイトのリピーターを主眼に置く一方、「DMMチャットブーストCV」は“AI技術・データ分析の知見を生かした新規顧客の獲得”をうたう。現在までに、さまざまな業界の、いわゆるエンタープライズ企業が本サービスの活用を始めたという。
LP離脱者を逃さず顧客転換
「DMMチャットブーストCV」は、広告主のLP（ランディングページ）において「約90％程度がCVせずに離脱している」という課題に対して、LINEでのコミュニケーションを通して1人でも多くCVに促すことをコンセプトとしている。
具体的には、LPを離れようとする訪問者に対して、ポップアップ（画面上に重なって表示される）を自動的に表示する。その遷移先はLINE。訪問者が「友だち」に登録すると、チャットを通じてその訪問者のニーズを自動でヒアリングする。回答に応じて継続的にレコメンドを送付しながら、顧客化を促していく。
「DMMチャットブーストCV」を運営するAlgoage（アルゴエイジ、東京・文京）のプロダクト部門長を務める成田穂高氏によると、「あるクライアントでは、「DMMチャットブーストCV」を導入して数ヶ月で、新規顧客獲得数が20%増加した事例もある」（成田氏）。
加えて、導入費用や運用費、システム利用料などはなく、CV数による成果報酬という試しやすさもメリットのひとつだ。
カギは「ゼロパーティデータ」
新規顧客の獲得にチャットを生かす上で、重要なカギとなるのが「ゼロパーティデータ」だ。ゼロパーティデータは、米調査会社フォレスター・リサーチが提唱した概念で、「ユーザーが意図的かつ主体的に企業と共有するデータ」を指す。
たとえば、購入の動機や具体的な商品の活用エピソード、商品の予約からは希望している商品名や購入予定時期などがわかる。メールマガジンで受け取りたいテーマ、トピックス、受信の諾否なども該当する。「DMMチャットブーストCV」で、LP離脱者とLINE経由で交わす質問への答えも、まさに「ゼロパーティデータ」だ。
この「ゼロパーティデータ」がコンバージョンを高めていくための強い味方となる。特に初期段階では、顧客転換を図りながらも、「仮説を検証することを重視する」（成田氏）。どのようなポップアップを出せば、『友だち』登録へ遷移するか、『友だち』登録後に、どんな質問を出すと、どんな回答が選ばれるか。そこで得られる見込み客の生の意見こそ、改善のヒントとなる。
「このように、対話型で顧客のニーズを掘り起こしてわかるのは、どうしても企業が考える商品やサービスの魅力と、顧客が真に望むこと、解決したいことにはズレが可能性もある、ということです。チャットを介し、ゼロパーティデータを集めながら、そのギャップを埋めていくことが、顧客獲得にとどまらず、商品やサービスの改善にもつながっていきます」（成田氏）
こうしたズレを修正しないまま、LP離脱者へリターゲティング広告を配信しても、いたずらに広告費が消えていってしまうだけだ。LPでうたっていることが響かなかった人を追跡し、同じことをくり返し訴えても意味がないことは、一生活者の立場に戻れば、誰でも実感があることだろう。
「なにより、プラットフォーマーに対する規制によって、これまでどおりのリターゲティング広告を打つこと自体が難しくなってくることが想定されますし、見込み客がどんな人で何を望んでいるのか、といったことは、ますます霞がかかって見えなくなっていきます」（成田氏）
自社で運営するサイトで得られるファーストパーティデータは主に行動データ。より定性的な情報を得るには、ゼロパーティデータを活用することが不可欠だ。特にLP離脱者のインサイトを得る手段は、これまでほとんどなかったと言っていい。そこで対話の接点となるのが、「DMMチャットブーストCV」なのだ。
目指すは最終CV
LINE上のチャットで得られたデータは、どのトラフィック経路で着地した人が、どんな質問に対し、なんと答えているか、というもの。その回答に合わせた適切な訴求軸で、定期的なレコメンドを重ねていく。そのまま購入につながるか、ある程度の検討期間が必要となるかは、商材によるところも大きい。不動産であれば、即座に購入とはいかないだろう。適切な期間をかけて、購買意欲を醸成（ナーチャリング）していけるのも、「DMMチャットブーストCV」の強みだ。
特に成田氏が重視するのが、最終的なコンバージョンまでをカバーすること。単なる会員登録や資料請求といった中間コンバージョンではなく、最終的な目標へのコミットを図ろうとしている。
「クライアントにとっては単なる集客ということではなく、ビジネスと向き合っていく、深いコンバージョンに向き合う会社にしていきたいですし、片や生活者にとっては、押し付けではなく真の悩みを聞いてくれて、最適な意思決定を助けてくれる存在になりたいと考えています。チャットによって購入前に知りたいことや、質問で自分が望んでいることが本当は何なのか、ということがわかれば、迷いもなくなりますし、生活が豊かになるはずです」（成田氏）
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