マツダは、10月末に「心よ走れ。」というメッセージで新ブランドキャンペーンを開始。テレビCMのオンエアとともに、公式YouTubeで映像を公開した。
同社では2013年から「Be a driver.」という言葉を掲げてブランドコミュニケーションを実施してきたが、近年マツダ社内では「自社の独自性がきちんと伝わっていないのでは」という危機感が高まりつつあり、新たなブランドコミュニケーションの必要性を議論していた。ちょうどその頃は、社会におけるマツダの存在価値を明らかにするため、ブランドの「Purpose(存在理由):前向きに今日を生きる人の輪を広げる」「Promise(お客様への提供価値):いきいきとする体験をお届けする/人の頭・身体・心を活性化する/コミュニティと共に」「Values(自社の価値観):ひと中心/飽くなき挑戦/おもてなしの心」(以下、PPV)を制定したタイミングでもあった。そこで、このPPVに基づく新しいブランドコミュニケーションを考えていくことになった。
新しいキャンペーンの開始にあたって、2013年より長きにわたり使用している「Be a driver.」という言葉を変えるのか、残すのか、そこには葛藤があったという。議論しつくして出た結論は、「Be a driver.」をそのまま使うことだった。
「『Zoom-Zoom』(Be a driver.以前からのメッセージ)のころから、マツダというブランドの核にある感情は変わっておらず、『Be a driver. 』も今回の新スローガン『心よ走れ。』も、すべて同じ線の延長上にあるもの。だから、『Be a driver. 』を無理に変えなくてもいいのでは、という結論になりました」と、クリエイティブディレター/コピーライター 井手康喬氏。
そして「Be a driver.」はブランドタグライン、「心よ走れ。」はキャンペーンタグラインという位置付けとして活用していくことになった。
さらに、マツダはPPVに基づく新しい技術の考え方を「ActivSync」と名付け、これを新しいブランドコミュニケーションのファクトとして同時に発信していくことを決めた。「ActivSync」は、技術群の総称でもあり、技術思想の名前でもある。
新しいキャンペーンの目標として掲げたことは、「Be a driver.」というブランドタグラインのもと、マツダは「走る歓び」だけでなく、その先にある「生きる歓び」をも叶えていく自動車メーカーである、というPurposeやPromise を人々に届けること。
「マツダは『Zoom-Zoom』のころから通底する“クルマが好きだ”という感情を原点として、『走る歓び』にこだわりつづけてきました。そんな企業としての信念を、世界のためにどう役立てるか、というPurposeの視点で捉え直す作業を行いました。その結果、“『走る歓び』はいずれその人の『生きる歓び』にまで変えていける。日々を前向きに生きる、そういった人々のつながりの輪を世界中に広げていく。”、マツダは自分たちの存在意義をこのように定義して目指すことになりました」(井手氏)
マツダのクルマが、乗る人の毎日を輝かせ、生きる歓びで満たしていく。その状態のことを「心よ走れ。」というブランドメッセージに凝縮。「Be a driver.」という大きな方向のもと、新しいブランドパーパスの目指す方向に近いメッセージとして解像度を上げていった。
- NA:
- マツダのクルマを形づくるもの
- それは、単なるテクノロジーではなく
- 心や、体や、人生を、動かすテクノロジー。
- MAZDA ActivSync 心よ走れ。
新しいCMでは、こんなメッセージが語られる。
「目指したのは“車が走るCM”じゃなくて“心が走るCM”です。『走る歓び』は『生きる歓び』へ、という言葉をテーマに、言葉、映像、音楽など、すべての面で『心が走る』とはどういう表現になるのか?をチームで徹底的に考え抜きました。“マツダが、なにか新しいことことを言いはじめた!”と、このCMを観た人が、なんかゾワゾワするような、新鮮な表現になればと思いながら、つくりました」(クリエイティブ・ディレクター 長島慎氏)
CM公開後、SNSでは、愛車の写真とともに「#心よ走れ」を投稿している人もいる。
10月28日~11月5日に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」でのマツダブースも、ブランドコミュニケーションの開発と並行して制作された。こちらでも「走る歓びを生きる歓びに変える自動車メーカー」が、どんな「未来」を目指すのか?をコンセプト段階から徹底的に話し合い、最終的に決まったコンセプトは「『クルマが好き』が、つくる未来。」だ。技術的な進化やモビリティとしての存在の進化は当然ある中で、マツダというブランドは「クルマが好き」という感情にこだわったという。
その結果、中央に展示する実車をロードスターのコンセプトカーに絞ったり、クルマが好きという感情の原点であるミニカーが壁一面に埋め込まれたディスプレイや、子ども心にもワクワクできる2/3スケールのロードスター乗車体験、足が不自由な人でも手のみで運転できる国内ただひとつのスポーツカーであるロードスターSeDVの展示などの施策を行った。
◇現地レポート⑶◇
本日はご来場ありがとうございました!
まだ伝えきれないマツダブースの魅力、続きはぜひ会場で体感してください?最後に、本日ご来場いただいたみなさまの素敵な写真をお届け。#ジャパンモビリティショー はまだまだ続きます。みなさまのご来場お待ちしています!#withMazda pic.twitter.com/GNct9OllQ2
— マツダ株式会社 (@Mazda_PR) October 29, 2023
「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において「らしさ」を突き詰めた結果、「他のメーカーと全然違いますね」「マツダは尖っていた」「マツダらしさ全開」などの声が寄せられた。他メーカーといい意味で違って見え、メーカーとして目指す未来を個性的に伝えることができたと、同社では手応えを感じている。
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