粟田社長から社員への感謝のメッセージ
「丸亀製麺」などのブランドを持つトリドールグループは11月28日、国内外から社員約2000人が集う社内イベント「ALL KANDO CREATORS MEETING」を、有明の東京ガーデンシアターで開催した。
昨年、同グループは新スローガン「食の感動で、この星を満たせ。」を発表。あわせてミッション・ビジョン・成長哲学なども刷新した。キーワードは「KANDO=感動」だ。昨年のイベントでは、社員の行動の土台となるこれらの言葉の共有に主眼を置いた。
その結果、この1年で顧客からの感謝の声が130%に増加するなど、目に見える変化が現れているという。粟田貴也社長は冒頭のスピーチで「皆さんが毎日見事に感動体験を磨いてくれたおかげで、トリドールはこの1年でさらに進化することができた」と社員に感謝のメッセージを送った。
また、このイベントには海外から67名のリーダーが来日。同社は海外事業を精力的に進めており、現在世界30の国と地域で20ブランド・1900を超える店舗を展開する。この1年でグループに加わった英国のピザ業態「Franco Manca」とギリシャ料理業態「The Real Greek」のトップもイベント会場を訪れていた。
粟田社長は「今日は総勢67名の海外リーダーが集結した初めての日。トリドールの仲間が世界中にいることを感じてほしい。我々の感動づくりが全世界で行われているならうれしい」と話した。
「外食は最も身近なレジャー」「感動創造業を目指す」
そしてこの日、粟田社長が最も熱を込めて語ったのは「トリドールで働く人の幸せをどうつくるか」についてだった。「外食は最も身近なレジャーです。人が喜びに満ちた表情で食事をして、人と人が笑いながら語らい、その場所がかけがえのない場所になる。皆さんは人生で何度もそういうシーンに出会っていると思う。いま、大手を中心に飲食業は効率化に突き進んでいる。人の力を使わずに食事をスムーズに提供するようにしのぎを削っている。しかし、それでは働く人とお客さまの熱量のぶつかり合う感動は生まれない」
「ほとんどの会社がその方向に向かっているが、私たちトリドールは非効率と真っ向から向き合い、二律両立(感動のために手間暇かける非効率と、スピーディに世界に拡げていく展開力)をすることで今の地位を築いてきた。省人化・機械化はトリドールが歩む道ではない。私たちは真逆の他社が行かない道を行く」
「その唯一の方法は、KANDO(感動)創造であり、そのためにはトリドールで働く全ての人が幸せになることだ。日々働いている一つ一つの店舗がみなさんにとってかけがえのない居場所になることを目指している。それこそが『幸せになる』ということだと考えています」
現場の従業員が働きやすい環境を、仕組みや制度から徹底的に考え、固定概念にとらわれずに実現していく。その先に従業員だけでなくお客さまの幸せがあるとして、冒頭30分のスピーチを締めくくった。
世界各国から来日したリーダーを紹介
続く杉山孝史副社長のセッションでは、「グローバルリーダーズKANDOセッション」と銘打ち、各国のグループ店舗が互いに影響を与え合って業績を伸ばした例や、世界各国から来日したリーダーを「感動体験リーダー」として事業と共に紹介した。
続いての「この星を満たせ セッション」では、「肉のヤマ牛」の恩田和樹社長、中国にラーメンブランド「ずんどう屋」を出店する馬場紳介社長が登壇。協業する現地のローカルバディ(投資ファンドなど)と今後の抱負を語った。
「日本国内・国外の2つの視点から見ることで、業態の核となる価値が明確になる」と杉山副社長。「海外から見たときに浮き彫りになる可能性は、そのままブランドのポテンシャルだ。海外に超える時、ブランドは進化すると自分は信じている」と語った。
お客様からの「感動メッセージ」や社内アワードの表彰も
続けて、お客様から届いた感謝のメッセージムービーの放映や、社内の取り組みを表彰する「KANDO CREATORS AWARD」の発表、プレゼンテーションなどが行われた。国内外から様々な切り口(サステナブル推進、高齢者ケア、子ども体験、新商品開発、業績アップに寄与したプロモーションetc.)の取り組みがエントリーする中、グランプリを獲得したのは香港の米麺ヌードルブランド「タムジャイ」の従業員の家族向けインターンシップ施策。「働く人の幸せにつながる施策」として表彰された。
同グループは、5年後に国内外を含めて、店舗数4900、売上高4200億円(現在の2倍以上の事業規模)を目標に掲げている。その達成に向けた最大の推進力となるのが、現場で働く従業員の幸せであると明らかにした今回のイベント。今後明らかにされていく各種制度や、店舗運営の様々な改革に引き続き注目したい。