広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。人事異動も多い日本企業の場合、専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、企業のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のキャリアプランを考えてきたのでしょうか。
横のつながりも多い広報の世界。本コラムではリレー形式で、「広報の仕事とキャリア」をテーマにバトンをつないでいただきます。緒方麻弓子さんからの紹介で今回、登場するのは竺原薫さんです。
鴻池運輸
経営企画本部
広報室 担当課長 竺原 薫氏
Q1:現在のお仕事の内容とは?
現在、所属する広報室が、KONOIKEグループ全体の広報・ブランディング・宣伝機能を担う中で、私は主に社外広報における中長期の広報戦略構築・プランニング、各活動のPDCAを推進しています。
具体的には、ニュースリリース作成、報道取材対応、報道関係の皆さまとのリレーション構築、Webサイトの運用、会社紹介やブランディングツールの制作、展示会出展や広告出稿等の企業宣伝、危機対応広報訓練主催やSNSモニタリングのリスクマネジメント等です。
Q2:これまでの職歴は?
2008年に鴻池運輸に新卒入社。2009年、同年に新設されて間もない広報室に異動後、現在に至るまで鴻池運輸の広報業務に従事しています。
入社2年目で、1880年の創業後初めて制作する「鴻池運輸130年史」編纂業務を通じて得た当社のDNAの理解・共感が、当社への愛着・想い入れを深める機会となり現在の私自身のエンゲージメントの礎にもなっていると感じています。
部署異動はありませんが、広報・ブランディングに関する全ての取り組みが当社にとってゼロからのスタートだったので、新しい挑戦の連続で常にやりがいを持って続けてこられました。
これまでの私のキャリア形成においては、豊富な広報経験のある外部登用の歴代広報室責任者から広報のイロハや広報パーソンとしてのマインドの学び、メディア関係者の方や他社の広報担当者などの出会い等々多くの財産を得られたことが大きく影響しています。
中堅社員となっている今、一緒に仕事する組織・チームづくりも注力していきたいテーマです。強い個(メンバー各自が強みを磨く、プロフェッショナルを極める)の集まりで、社内・社外関わらずチームとして2乗・3乗の力を発揮できるようなチームが理想です。
Q3:国内において広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何だと思いますか?
社内で広報の価値を理解し重視する体制・風土が十分でないことがあるかなと思います。広報の仕事がプロフェッショナル職として認められ、それに伴い正当に評価される制度まで整備されることを期待しています。
そのためには、私たち広報室から全社に向けて広報・PRの目的や役割、広報・PRすることでどのような影響や効果があるのかといった発信を続けることも欠かせません。
Q4:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?
主に3つの観点でチャレンジしていきたいと考えています。
1つ目:昨今の企業を取り巻くさまざまな環境変化に伴い、広報・PRの領域の拡がりを日々実感しています。企業とステークホルダー間のコミュニケーションに関わることは全て広報・PRの仕事と捉えて過言でないと思います。広報・PRを通じて、従業員一人一人、経営、そして社会に貢献できる可能性は非常に大きいと信じています。多岐にわたる広報・PR領域で、グローバル広報、採用広報、IR等々多領域で対応できるよう自己研鑽・経験を重ねていきたいです。
2つ目:当社は鴻池運輸という社名ですが、実は物流事業の売上は約5割で、その他は鉄鋼、食品、化学などの製造業の生産工程や空港、医療などの社会インフラサービス業の現場業務といった請負事業が占める独自色の強い会社です。
お客さまや社会のお困りごとに何とかお役に立てないかと日々愚直に取り組む社員こそが当社の強みです。世間一般に知られざる当社や社員のことを海外含めてさまざまな多くのステークホルダーの皆さんに知ってもらえるよう飽くなき挑戦を続けていきたいです。
3つ目:‟「人」と「絆」を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します。”これはKONOIKEグループの企業理念です。私自身、広報・PR職を通じてさまざまなステークホルダーの皆さんとのご縁や絆を大切に、誰かの心にそっと火を灯せるような人になりたいと抽象的ではありますがこのようなイメージを持っています。
【次回のコラムの担当は?】
私がバトンをつなぐのは、パナソニック オペレーショナルエクセレンスの石川ひとみさんです。石川さんは、長年パナソニックグループにて広報職に従事され、近年はPR協会を通じて業界全体への貢献にも尽力され私のロールモデルとしてイメージする方です。石川さんが現在どのように広報・PR職と向き合っておられるかお伺いしたいと思っています。