男性が自然な仕上がりのメイクを施すと、男女差なく「信頼できる」「誠実な」といった印象を持つという調査結果を、コーセーが発表した。同社は男性向けメイクレッスンを直営店で続けているほか、2024年にはオンラインレッスンを開始する予定。中長期ビジョンでは「ジェンダー(性別)・ジェネレーション(世代)の拡大」を掲げており、調査結果は「接客やレッスンなどでも参考にしていきたい」としている。
抱いた印象で男女の有意差なく
調査は2023年5月ごろに着手し、10月中旬まで実施した。予備調査では10歳代〜60歳代の男性1330人を対象に、「誠実な」「意欲的な」など20の印象を表す語句から、「どのような印象を大切にしたいか」を調査。さらに、20歳代19人、40〜50歳代17人の男性それぞれで、「素顔」、下地用化粧品のみを使用した「ベースメイク」、下地のほか、眉毛を整えるアイブロー、無色のリップクリームによる「ナチュラルメイク」の3つのパターンの顔写真を用意した。男女128人が各写真を見て、20の語句リストをもとにした形容詞対について、五段階評価した。
予備調査で、20歳代男性が重視したいとして選んだ自己の印象は「信頼できる」「意欲的な」「誠実な」の3つ。40〜50歳代は「信頼できる」「誠実な」「おだやかな」だった。20歳代では「ナチュラルメイク」が、「素顔」と比べて重視したい印象すべてが高まることがわかった。40〜50歳代では、「素顔」に比べ、「ベースメイク」や「ナチュラルメイク」の写真に対し、「信頼できる」「誠実な」の印象を抱く人が増えた。印象の評価で男女に有意差はなく、いずれも印象が変化したという。
メンズメイクの手法を発信
コーセーは2023年5月から直営店「Maison KOSÉ表参道」「Maison KOSÉ銀座」で、男性向けに肌状態の測定やスキンケア、基本的なメイク方法などをレッスンするイベントを開催している。メイクレッスンは24年からオンラインでも実施する予定で、距離や時間などの制約なく、参加できるようにする。
同社は中長期ビジョン「VISION2026」で、22〜24年度の取り組み項目に「ジェンダー・ジェネレーションの拡大」を掲げる。22年9月には自社の男性社員向けに「メンズメイクセミナー」を実施。同年秋ごろから店頭のビューティコンサルタント(美容部員)が男性向けメイクに対応できるようにした。「従来から性別に関係なく使用できる商品を開発したり、店頭提案をしたりしてきたが、近年男性もメイクの需要が高まってきており、メンズメイク特有のテクニックなどを改めて発信するようになった」という。
性別問わない施策も
広告でも、22年10年からは「Visee(ヴィセ)」ブランドのイメージキャラクターにツウィさん(TWICE)、吉野北人さん(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)の2人を起用。また、同年から「雪肌精」で新垣結衣さん、羽生結弦さんの起用、23年には「コスメデコルテ」でメジャーリーガーの大谷翔平選手の起用が話題になったのも記憶に新しい。特に「コスメデコルテ」は主要百貨店での男性購入者がそれまでの7.5倍に急伸するなど、センセーショナルな結果を残している。
インテージの調査では2023年1〜6月の男性化粧品市場は前年同期比15%増で好調。世代別でも10〜20歳代は23年1〜6月の購入金額が17年比で1.9倍、40〜50歳代は購入金額の伸びのほか、購入率が同比1.2倍超となっている。