内閣官房拉致問題対策本部事務局は12月16日、若年層に対する「北朝鮮拉致問題」の広報・啓発の一環として、啓発動画「キャッチされないボール」篇を公開した。動画は、2人がキャッチボールをしている最中に、突然ひとりがいなくなってしまうというストーリー。
本動画は、今年8月10日に実施した「拉致問題に関する中学生サミット」に参加した中学生のアイデアを基に作成されたもの。
拉致問題については、これまで触れる機会の少なかった若年層への啓発が重要な課題となっていることから、同サミットでは日本全国から59人の中学生が集まり、拉致対策について学んだ。拉致問題を同世代、家族、地域の人に自分ごととして考えてもらうためにはどうすればよいか、グループ協議や全体交流などの活動を通して議論した。
中学生らはサミット内で、コピーライターの谷山雅計氏から、メッセージを効果的に伝えるための動画広告の企画・制作の方法について説明を受けた後、17のグループに分かれ、グループごとにCMの絵コンテを作成。最後に絵コンテに基づいた動画広告劇をそれぞれ発表した。
同事務局の担当者は、「拉致被害者御家族が高齢化する中で、風化させないために若年層の啓発に力を入れているが、恐怖を感じさせるようなCMでは、子どもたちに刺さらない。若年層に刺さるCMにするために、子どもたちからアイデアをもらうことにした」と企画の意図を説明する。
谷山氏はサミットを振り返り、次のように話す。
「まずはじめに、中学生には『真剣に、でも深刻にならずに』考えようと伝えた。会場には、結構重い空気が漂っていたので(笑)。CM制作を、ある種の楽しい活動として捉えてほしいと思っていた」。
当日のアイデア出しから劇の練習までの時間は、わずか2~3時間。各テーブルにはファシリテーターとして読売広告社のクリエイターが付き、時にはヒントカードなどを出しながら、中学生の活動をサポートしたという。
今回、17の作品の中から優秀作品1点が選ばれ、谷山氏をはじめとするクリエイターによって映像化された。アイデアの核の部分やナレーションは中学生の原案を生かし、盛り込まれ過ぎていた余分な要素を削っていく形で制作した。動画のクリエイティブディレクターを谷山氏、演出を中江和仁氏が務めた。
「多くのグループでは、直接的に『連れ去られる』場面を表現していた。しかし、映像化した作品では、“キャッチボールをしていたら…”という風に、転換をすることができていた。実際に拉致をされた人の、最初の状況の理解できなさもうまく表現していると思った」と谷山氏は話す。
「この話題を広げるというよりは、風化させないことが大事。可能であれば、毎年同様のサミットを開催してこつこつ積み上げていき、『中学生のアイデアを基にした、今年の拉致対策啓発CMはこれ』と毎年注目されるようになれば良いなと願っている」(谷山氏)。
動画は現在、YouTube拉致対策本部公式動画チャンネルで視聴できる。動画は今後、さまざまな広告などに活用していく予定だという。
スタッフリスト
- 共通
- 企画制作会社
- 谷山広告+読売広告社+AOI Pro.
- CD+C
- 谷山雅計
- CD+ファシリテーター
- 中村信介
- 企画+ファシリテーター
- 久武正直、柴田愛、松本千鶴、田畑良、辻いおり、尾澤瑞紀、山下祐和
- Pr
- 久松真菜、鈴木貴秀
- PM
- 呉聖光
- AE
- 吉田知弘、蒲直人、津田夏帆
- CM
- 企画原案
- 髙野碧(新潟県佐渡市立南佐渡中学校)、金山倫子(鳥取県伯耆町立岸本中学校)、松田莉玖(仙台市立仙台青陵中等教育学校)
- 演出
- 中江和仁
- 撮影
- 加藤航平
- 照明
- 志村昭裕
- 音楽
- 長尾悠一
- ST
- 益丸宗大
- HM
- 木附沢美那
- CAS
- 森万由美
- NA
- 松田瑠莉
- 出演
- 山口篤志、高津空流
- メイキング
- 演出
- 齋藤俊道
- 出演
- 「拉致問題に関する中学生サミット」参加者のみなさん