『競合プレゼンの教科書』著者・鈴木氏に聞く、自主プレゼンの極意とは?

広告ビジネスにおける商品は「企画」と言っても過言ではないのではないだろうか。加えて、「企画」の魅力を伝えるオリエン力を磨く必要があるのは、広告会社の人たちばかりではなく、昨今は事業会社のマーケターにとっても、社内で企画を通すために必要なスキルになっている。「宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本」がテーマの本特集。そこで今回は、宣伝会議から出版している『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』の著者である、FACTの鈴木大輔氏に「自主プレゼンの極意」を解説してもらった。
※本記事は月刊『宣伝会議』1月号の転載記事です。

鈴木大輔氏
FACT 戦略プランナー

新卒でADK入社。自身の10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を体系化した初の著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』(宣伝会議)を上梓。

画像 POINT1 相手の抱える問題意識によってとるべくアプローチが変わる

思考や熱量を伝える「お手紙大作戦」

自主プレゼンにおいてクライアントは、基本的に提案を欲しがっていない状態です【下図】。なぜなら、OATHの法則の1や2の状態にいるからです。そこが、相手が提案を待っている競合プレゼンとは違うところですね。

画像 自主プレゼンの極意
「OATHの法則」に当てはめると、「競合プレゼン」では、クライアントは3や4の状態。つまり、自社の課題や問題は認識し、その解決策を考えてはいる。しかし、自分たちで考えたり実行したりするのは難しいので困っている、という状態である。つまり提案を欲しがっている状態なので、基本的には良いソリューションを提案できれば、採用に至る。ここが自主プレゼンとの違い。

提案に際して、クライアントの真の課題(イシュー)を発見することは重要です。しかし実際問題、オリエンもファーストパーティーデータもなしでクライアントも目から鱗の真の課題を発見することは難易度が高い。

そこで、自主プレゼンで「真の課題の発見」より大事なのは、第三者の立場からの、クライアントの企業・ブランド・商品・サービスの「魅力の(再)発見」だと思っています。「真の課題の発見」が、「あなたたちが解決すべき問題はこれです」と指摘する提案だとすると、「魅力の(再)発見」は「あなたたちならこの問題は解決できる!なぜならこんなにも魅力的なのだから!」と、勇気付けるエール(応援)のような提案です。2の状態のクライアントは、実際には自分たちの魅力に気付けていないだけのことが多いのです。

次に、企画書はゴール(OATHの法則の2から3へ移行させること)からの逆算で作成します。つまり、「自分たちなら、問題を解決できる、したい!一緒に解決策を考えてほしい!」と、クライアントに思ってもらえたら成功です。

ケースバイケースですが、自主プレゼンではあまりパワーポイントは使わないかもしれません。こちらの思考過程や熱量が伝わりにくいからです。私はWordを使って「お手紙」を書くことが多いです。一連の思考過程をロジカルに整理できるし、何より相手の心に響かせやすいので。

じっくり何度も朗読してもらうこともできるし、クライアントの社内で回覧してもらいやすかったりもします。予算があれば、そのお手紙にビジュアルも加えつつ、ちょっと良い紙に印刷して製本・冊子化したりもします。

それは単なる「中身が良さそうに見える演出」「いつもと違う雰囲気の演出」でしかありませんが、「自主プレゼンなのにそこまでこだわってくれるのか」という印象を与える効果があります。

……この続きは月刊『宣伝会議』1月号で読むことができます。

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『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』(宣伝会議)

書影 『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』
B6判344ページ、2,420円

広告、コンサル、建築、IT、デザイン……あらゆる領域で応用できる!
アイデアや企画書スキルだけでない。業界3位以下であってもプレゼンを勝ち抜くためのメソッドを100個公開!広告業界やコンサル、ITなどで行われている「競合プレゼン」「コンペ」に勝ち抜く100のメソッドを体系立ててまとめた1冊。ライバルと差をつけるためのポイントについて、提案の中身やプレゼンテーション技術ではなく「勝つ環境を整える」点に着目。競合プレゼンが始まる前から準備、当日、事後までのフェーズごとに行うべきこと、してはいけないことを詳しく解説します。


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