人事と広報の連携で「働く人、働き方」に関する発信強化
社内に向けた広報活動「インターナルコミュニケーション」に関して、広報部門へアンケート調査を行ったところ「人事と連携する体制の構築ができた」「社員のリアルな働き方が分かる動画が採用に寄与した」などの声が寄せられた。インターナルコミュニケーションが上手な企業は、広報・人事・経営企画が連携をはかっている。社内制度の策定前から組織内を巻き込む広報活動を行い、忙しい従業員も振り向きたくなるコンテンツを作成する、制度に疑問を持つ人と対話できる社内集会の機会を設ける……こうした地道な実践が、従業員エンゲージメント向上につながれば、社外発信、採用広報にも活かすことができる。「2024年問題」に関連し、人材確保や働き方への注目度も高い。
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組織にとって重要なメッセージや制度でも、働く一人ひとりにとって「自分ごと」にできるとは限らない。『広報会議』23年7月号「社内コミュニケーション 従業員が参画したくなる伝え方」特集では、「伝わらない」「関心が持たれない」を解消するための社内コミュニケーションの工夫や、広報部門が乗り越えたい壁などを解説している。
「今後の方向性」を補足し対話できるか ESGの発信力に差
サステナビリティ・ESG関連の広報活動においては、「人的資本情報の開示を予定しているが、その内容を社内外にいかに分かりやすく伝えていけるか思案中」といった声がアンケートで寄せられており、試行錯誤が続いている。関連指標について、企業のありたい姿と現状の間にギャップが生じていることもあるはずだ。だが数値を上げるためにどのような施策をしているのか、今後、何をどこまで目指すのかについて補足し対話できるかどうかで、ステークホルダーが抱く企業イメージは変わる。
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企業価値を持続的に高めるために求められるESG情報の開示。社内外の理解を促すためのポイントを整理した『広報会議』23年6月号「企業のサステナビリティ これからの伝え方」特集。投資家や従業員、求職者、メディアらが期待するサステナビリティ情報についてもレポートしている。
自社が投稿しなくても炎上は発生する 危機に備え対応プロセスをチェック
2023年はメディアが連日報道し複数回の謝罪会見を開くケースがあった。「反面教師となる事例が相次いでいる。危機管理マニュアルを整備していく」など、危機管理広報体制を強化する必要性を感じたという声が、広報部門アンケートの結果でも目立った。どんな企業にもリスクは存在し、しかも有事への対応は突然やってくる。だが公表が遅れ、当事者意識が欠けた対応をしていると「隠そうとしている」と批判を浴びやすい。顧客による迷惑動画への対応など意識しておくべき範囲は広がっている。
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基本はいつの時代も変わらないが、危機管理広報では「初動対応」が最も重要となる。矢面に立たなければならない広報担当者は、平時から対応プロセスをイメージできるようにしておきたい。『広報会議』24年1月号では「謝罪会見までのステップ」をシミュレーションできるよう危機管理広報の専門家が解説。
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炎上の起点は自社が発信した情報にとどまらず、顧客をはじめとした第三者による投稿にも及ぶ。どのようなリスクが発生しているのか。『広報会議』連載「ウェブリスク24時」の筆者が2023年の出来事を振り返った。(『広報会議』24年1月号)
広報は「経営機能」 広報目標は経営課題とのつながりから語る
広報計画において今一度確認したいのは、そもそも広報活動を通じてどのような経営課題の解決につなげようとしているのか、誰にどのような態度変容を起こそうとしているのかといったゴール。ここが効果測定の起点にもなる。そのためには、経営陣が広報に求めるものをすり合わせ、広報の意義について社内理解を促すことも必要だ。「広報部門がどういった状態を目指すべきか、チ ーム内での言語化と経営陣との認識合わせを確立させたい」という声が広報部門アンケートで寄せられた。
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広報業務が拡充していく過程で、広報概念をめぐる混乱が生じやすくなっている。そうした状況を受け、日本広報学会が2023年6月に最新の「広報」の定義文を発表。目指す広報の道しるべとなるものだ。「日々の広報活動が、その先にある目的達成につながっているか」が問いかけられている。(『広報会議』23年9月号)
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