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ロッテ
マーケティング本部 ブランド戦略部 ガーナブランド課
成田彩子氏
ロッテ「ガーナ」では、2001年から母の日にあわせたキャンペーンを実施している。1個100円程度で買える商品であることから、「子どもが自分のお小遣いで購入し、母親へ贈る」というプレゼントとしての訴求から始まった企画だ。ロッテが『SPY×FAMILY』とコラボレーションしたのは、この「母の日ガーナ」だ。
母親のインサイトを言語化するコミュニケーションに路線変更
「ガーナ」ブランドを担当している成田彩子氏によると、当キャンペーンは「子どもから母親へ感謝を伝える」というコンセプトで行ってきたが、2020年のコロナ禍をきっかけに「子どもと母親で一緒に食べて、共に同じ時間を過ごそう」というコミュニケーションに変更。その後、コロナが落ち着いてきたことをきっかけに、2023年の母の日から元の「子どもから母親へ感謝を届ける」というコミュニケーションに戻した。
「2023年の『母の日ガーナ』では、子どもに対して、ただお母さんに贈ろうとコミュニケーションするのではなく、受け取る側の母親のインサイトを可視化したメッセージを展開しました。子どもの目線に立って考えてみても、ただ『ガーナを贈ろう』と言われるより、お母さんの気持ちを知ったほうが、感謝の想いが高まり、共感を生むのではないかという仮説のもと、コミュニケーションの方針を変更しました」(成田氏)。
そのメッセージを訴求するべく、起用したのが『SPY×FAMILY』。コラボの決め手は、「流行性」と「取り組みとの親和性の高さ」の2つだ。
「コラボ先の選定には、やはり流行性も重要です。企画時点で、最も勢いがあるコンテンツを考えると、『SPY×FAMILY』は候補に挙がってきました。また、キャンペーンとの親和性が非常に高いことも決め手でしたね。登場するキャラクターたちは
“偽装家族” という設定でありながら、家族の形を模索する温かいストーリーで展開されています。この点も、“ガーナが取り組む母の日”と相性が良いと考えました」(成田氏)
インサイトは1つではない コピーを複数制作した理由
今回「ガーナ」が実施したコミュニケーション施策は、各SNSへのWeb広告出稿と、「母の日ガーナ」を促進するジェネレートサイトの開設、Xキャンペーン、渋谷での期間限定フォトスポット設置の4つ。
なかでもWeb広告では、ビジュアルとコピーがそれぞれ異なる5種類のクリエイティブを用意。「はは も、ときどき甘えたくなるのです。」というコピーをあしらったクリエイティブは、キャンペーンのキービジュアルとしても使用した。
ここでも成田氏は、“ただのコラボ” として終わらせないために “共感の醸成”を図ったという。「前述のように、2023年の施策では、“母親のインサイト” を可視化したコミュニケーションを行うと決まっていました。ですが、“母親のインサイト”はもちろん1つではありません。お母さんが普段から持っている想いを、コピーとしていくつか展開することで、より共感の醸成を図ることができるのではないかと考えました」(成田氏)。
狙いと結果がハマった『SPY×FAMILY』の起用
2023年の「母の日ガーナ」は実績としても昨年を上回ったと成田氏は続ける。成功の要因は、先述のコピーによって母親の共感を得られたことと、キャラクターのパワーによって子どもの行動喚起を促せたことだ。
「キャラクターの起用はそもそも、ブランドのファン以外へのリーチを図ったり、取り組みを知ってもらうことを狙って行うものでもあります。今回は、母親と子どもの両方から共感を生みたいと考えて展開しましたが、『SPY×FAMILY』起用はハマりましたね。当社が施策後に行った調査によると、広告について魅力に感じたのは、母親世代では『メッセージ』が最も多く、子ども世代からは『キャラクター』が最多になりました。ここに差が生まれるのは、当社にとっても狙い通り。キャラクターによる子どもへの行動喚起と、コピーとして展開したメッセージによって母親からの共感を獲得できた成功事例になりました」(成田氏)。
SNSの反響でも、これまでのIPコラボとは少し異なる結果が出たと成田氏。コンテンツとのコラボを行った場合は、そのコンテンツとのコラボ自体が反響として表れやすい傾向があるが、今回はコピーへの共感を謳う投稿も多く見られたという。「XとTikTokでは、『母の日ガーナ』にまつわるUGCの結果も振り返りましたが、ともにすべての項目で上昇。とくに広告想起の項目では良い結果が得られました――
月刊『販促会議』2月号
- 【巻頭特集】
- なぜ起用希望が殺到するのか?
- 『SPY×FAMILY』企業コラボの舞台裏
- 【特集2】
- コラボするから欲しくなる
- キャラクターIPタイアップ好事例
- 【特別企画】
- 第15回「販促コンペ」
- 学生賞受賞者インタビュー