理容室・美容室、エステ・ネイルサロンおよび歯科・医療クリニックの業務用設備機器や化粧品等を手がけるタカラベルモント。その社内報は、パーパス「美しい人生を、かなえよう。」の理解とそれに基づく社員のアクション喚起が目標だ。
2023年10月発行号の特集ではサステナビリティ経営を扱った。前年に行った従業員へのSDGs意識調査の結果を掲載。目標3の「すべての人に健康と福祉を」への関心度は51.4%ともっとも高かった一方、目標5の「ジェンダー平等の実現」や目標6の「安全な水とトイレを世界中に」は2割を下回ったと明かした。また財務部がSDGsを考えるオンラインミーティングを行ったという社内の動きも載せた。「社内報は、良いことも至らない面も共に伝えるように注力します。どんなに仔細なことでもニュースとして拾うのがモットーです」と広報室の石川氏。
移動中や通勤中に大雨に遭遇したらどう対応すべきかなどのノウハウも自衛隊出身の従業員に取材した。「水害で被害を受けた理容椅子の修繕依頼を顧客店舗から受けたことから生まれた企画です。従業員から『特集を自宅で保管しています』『ためになりました』との声が多く寄せられました」と石川氏は語る。
「社内の“プロフェッショナル”が、あなたのお悩み解決します!」、23年10月発行号では「家の廃材を利用した小物作りをしたい」との従業員からの相談に滋賀機器工場生産技術グループの社員が応じる。古くなった工場の作業着を使ってバッグをつくる方法を教えた。「当社には美容師や歯科衛生士など国家資格を持ち、理美容師や医師というプロフェッショナルを支えるプロフェッショナルがいます。彼らの専門領域を紹介しつつ従業員に役立つ情報を提供しています」。
「こんなところにタカラベルモント」は自社製品が意外なところでも役に立っていると伝えるコーナー。同じく10月発行号では、飛騨高山レトロミュージアム内に1970年代に販売された同社の理容椅子が展示されていると伝えた。「掲載するトピックはひたすらネットリサーチといろんな人に聞きまわるという二面で探します。この記事では同館への従業員入場割引特典も取り付けました。多くの方が訪ねて自社への誇りを抱いてもらえたらとの思いです」と石川氏は明かす。
[編集部に聞きました!]
Q 読者である従業員の意見を聞き出すためにどのような工夫をしていますか?
A ウェブでの社内報アンケートフォームではなかなか本音を聞き出せません。従って読者プレゼント応募の際に意見を聞く工夫をしています。応募は社内Chatを使い、個人宛に送ってもらいます。そのため、お礼返信をする際に個別の意見や心を開いた深い話が聞けます。賞品は各社広報担当の皆さんと築くネットワークを利用して提供していただくことが多いです。(タカラベルモント広報室 石川由紀子氏)
- [基本情報]
- 創刊:1997年
- 発行頻度: 季刊(4月/7月/10月/1月)
- 部数&判型: 2850部・タブロイド判
- 制作体制:
- 記事の取材・執筆は全て広報室メンバーが行う。デザインと一部特集撮影のみ外注。100周年を経て22年4月のリニューアル時に従来の冊子スタイルからタブロイド判新聞形式に変更。見開きで社内各所に張りだすなど生産現場で読んでもらいやすいようにとの趣旨。また若手社員の発案で発行ごとに社員自作の30秒程度の社内報CMをイントラネットで配信する。
- 反響の高かった企画・記事:
- (1) 連載「こんなところにタカラベルモント」
- (2) 連載「社内の“プロフェッショナル”が、あなたのお悩み解決します!」
- (3) 特集「水害への備え、できていますか?」(23年7月発行号)