2024年1月3日、熊本の高橋酒造は「白岳」の新聞広告30段を熊本日日新聞に出稿した。
「生きてくだけで冒険だ。」というキャッチフレーズの広告に登場するのは、朝焼けのなか立つ青年。その場所は、阿蘇の通称ラピュタの道だ。遠くには、阿蘇五岳を見渡すことができ、その手前には、熊本のさまざまな観光名所が点在している。
そしてゲームファンであれば気づいた方もいるかもしれないが、このイラストを描いたのは、人気ゲーム「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」などのイラストを担当していた和田拓氏だ。任天堂出身で、現在はフリーのイラストレーターとして活躍している。
「今年の白岳の正月広告のテーマは、先の見えない時代を生きていくことになる若者たちへのエールです」と、クリエイティブディレクター・コピーライター 上田浩和氏。熊本に住む若者たちに、この青年に自分を重ね合わせ、未来にむかって勇気ある一歩を踏み出してもらいたいという、同社 高橋光宏社長の思いを受けて企画した。
「これまでは、『学校を卒業して、会社に入って、定年まで働いて、老後』という暗黙のうちに決められたルートがありましたが、これからは違う。さまざまな選択肢があり、好きに生きていけばいいという時代。そこには自由もあるが、不安もある。でも、若者たちには、デジタルやSNSという大きな武器がある。世の中の仕組みを一方的に受け入れるのではなく、自分達で声をあげ、変えていくことができると考えています」
これらを踏まえて、「若者たちは、フロンティアスピリットを備えた冒険者である」と位置付け、それにもとづいたメッセージをコピーと絵で表現した。
「人生とはRPGのような冒険であるということに気づいてもらえたら、この先に楽しみと勇気が湧いてくるのではないかと考え、キャッチコピーは『生きてくだけで冒険だ。』とし、右下のボディコピーもRPGの要素と絡めました。若者だけでなく読んでくれた人全員に、この先の人生への期待感を持ってもらいたいと思いました」
ボディコピー
自由に生きればいい。
そう言うが、自由ほど怖いものはない。
キミは可能性に溢れている。
そう言うが、可能性ほどあやふやなものはない。
地図も無ければ、コンパスもない。
ヒントも無ければ、当然、魔法もない。
でも、仲間たちがいる。
デジタルという最強の武器もある。
歩いて、走って、戦っては逃げて、
レベルアップのBGMが聞こえたら、しろがうまい。
うまくいかないときも、それはそれでしろがうまい。
ラスボスは誰だ? 意外と自分だったりするのか?
今が、旅立ちのとき。
人生は、ゲームよりも、奇なり。
冒険、RPGというキーワードから「ゼルダの伝説」が連想されたため、和田氏にイラストを依頼。希望に満ちた熊本の未来を表現してもらった。
「どこに何があるのかを探してもらうのも、この新聞広告の楽しみ方のひとつ。この絵全体で、希望に満ちた熊本の未来を表現しています。あえて上空にドラゴンたちを描いたのは、未来には希望もあるが、同時に不安もあることを示唆しています。その景色を前にした青年の表情は読み取れませんが、きっと決意に満ちたいい顔をしているはずです」。
スタッフリスト
- 企画制作
- 熊日広告社、エアーズ、上田家
- CD
- 吉崎和郎
- CD、C
- 上田浩和
- AD
- 西田衣美
- D
- 桐原萌里
- I
- 和田拓
- ExPr
- 松岡賢一郎
- Pr
- 前原史弥
- AE
- 渡邉稔之、原田幸奈