ファン化のメカニズム解明に迫る!マヨネーズ好きが集い語り合うオンラインコミュニティ「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

宣伝会議は2023年9月21日(木)~27日(水)の期間、「AdverTimes.Days(アドタイ・デイズ)2023秋」を開催した。「アドタイ・デイズ」は、広告・マーケティングの実務者、多様な視点、構想、実績を持った講演者と共に、業界がその時々に直面する課題を提示し、解決の方向性を導き出していくことを目的とする、「講演者と参加者の共創を目指すハイブリッド型のイベント」。

「アドタイ・デイズ2023秋」では、テーマを「Invisible→Visible」と設定。メディア投資の効果、テレデジ融合の最適な投資配分、さらには前例通りが通用しない時代のマーケティングの勝ち筋まで、「見えない」を可視化する新たな挑戦をする方々が、自らの取り組みを解説した。本記事では、「アドタイ・デイズ2023秋」の中でも、注目のセッションをレポートする。

「ブランド・コミュニティを生かしたマーケティング」のテーマでキユーピーの取締役 上席執行役員の山本信一郎氏が登壇したセッションでは、「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」の取り組みと昨年スタートしたD2Cのサービスについて紹介。サイトの立ち上げから現在、そしてこれからの展望とは?

マヨネーズ好きが“集い語り合う”、キユーピーが開設したファンコミュニティ


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

今回は、「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」の概要、取り組みの具体例、見えてきた成果についてお話します。さらに「コミュニティの知見を活用したD2Cの取り組み」についても少しご紹介できればと思います。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」は、「キユーピー マヨネーズ」の発売90周年をきっかけに2014年に開設しました。その頃は、カロリーなどを理由にした「マヨネーズ離れ」が課題となっており「キユーピー マヨネーズ本来のおいしさと価値を未来に向けて正しくお伝えしたい」という思いでコミュニティをスタートさせました。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

コミュニティで達成したい目的は、①ロイヤルユーザーとの絆づくり②ファン化のメカニズムの解明③理想のマヨラー像の発信の3点です。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」(以下「ファンクラブ」)とは、「キユーピー マヨネーズ好き」が集い語り合いながら「おいしい毎日のヒントが見つかる」オンラインコミュニティです。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

2014年の開設以降、会員数は順調に増え続けています。現在の会員数は約14万人で、ファンクラブが利用しているコミュニティプラットフォーム「beach」でもトップクラスの規模と伺っています。1年間に寄せられるコメントの数は12.8万件で、1日あたり350件相当です。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

こちらは、ファンクラブ会員に「あなたにとって『キユーピー マヨネーズ』とは?」と聞いた際の回答です。皆さん、自分にとって欠かす事のできない存在としてキユーピー マヨネーズに深い愛着を持っており、本当に熱いファンが集っているコミュニティであることがご理解いただけると思います。


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こちらは、ファンクラブに投稿されたマヨネーズを使った料理の写真です。サラダはもちろん炒め物やトースト、肉や魚料理に活用したり、ホットケーキをふわふわに仕上げるのに使ったり。3本線が描けるキャップを活用してアートのような作品をつくったり。ファンクラブには、ただやみくもにマヨネーズを使うのではなく「おいしく賢くマヨネーズを使いこなす」ユーザーの皆さんが集まっています。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

ファンの高い熱量はサイトの中にとどまらず、外にも波及効果があります。

例えば、ファンクラブで得られたコメントやファクトをニュースリリースで発信したところ、複数メディアに掲載されました。また、ファンの声をピックアップし毎週従業員に共有しており、その結果「自分の仕事にやりがいを感じた」などの反応もありインターナルブランディングにも寄与しています。

3つのサークルを使い分けてコミュニケーションを活性化

続いて具体的な施策についてご紹介します。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

ファンクラブは、「ラウンジ」「アカデミー」の運用を主軸に「マヨシェルジュkitchen」を加えた3つのサークルで、ファンとのコミュニケーションを図っています。


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「ラウンジ」は、キユーピーとファン、そしてファン同士が出会い、マヨネーズを中心とした気軽な会話を通して自発的にマヨネーズ好きの輪が広がっていくような場所です。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

こちらは、ラウンジで日常的に生まれているコミュニケーションの事例です。ファン同士の気軽な会話を通じて、ライトなユーザーにも活用レシピが自然と広まる様子が見られます。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

「もっとキユーピー マヨネーズの事を知りたい!」というファンに向けて2018年にスタートしたのがキユーピー マヨネーズの学校「アカデミー」です。毎年4月に開校し、現時点で433名の卒業生(=マヨシェルジュ)を輩出しています。


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アカデミーは、マヨネーズの豆知識をクイズ形式で楽しく学ぶ「講義」と、実際に活用レシピに挑戦する「実習」の二軸で構成されています。


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アカデミーでしっかり学んで卒業試験に合格した方だけが、キユーピー マヨネーズのコンシェルジュ「マヨシェルジュ」に認定されます。

アカデミー入学時には「マヨネーズ=おいしい調味料」という認識だけだった方も、卒業する頃には「なぜおいしいのか」を自分で語れるようになり、キユーピー マヨネーズの魅力を社員のように広めてくれる頼もしいアンバサダーとなってくださっています。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

アカデミー卒業生「マヨシェルジュ」との絆をさらに深めるために、2020年には限定サークル「マヨシェルジュkitchen」を立ち上げました。サークルでは「マヨシェルジュ」限定の特別なイベントやレシピ共創企画などを行っています。「マヨシェルジュ」はキユーピーとお客様を繋ぐ重要な存在として活躍をしてくれています。

コミュニティ運営を通して見えてきた3つの成果とは

ここからは、これらの取り組みを通して見えてきた成果についてお話しします。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

1つ目は「万能化実感の入り口となるメニュー」の解明です。

キユーピー マヨネーズは、サラダに「かける」「和える」をはじめとした食卓での用途に加えて、油の代わりに使って炒めものにコクをプラスしたり、鶏むね肉を漬け込んでやわらかく仕上げたりといった調理工程でも活用できる万能調味料です。

ファンクラブのデータを分析した所、特にその中でも油の代わりに使ってコクを出す「炒める用途」と卵液に混ぜて卵焼きをふわふわに仕上げる「混ぜる用途」を試して万能性を実感することが、用途拡大の入口だということが分かってきました。この発見は、マヨネーズで炒める「マヨソテー」をCMや販促などで訴求していくにあたり大きな自信となりました。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

見えてきた成果の2つ目は、「万能性を実感し、成功体験を積む事がファン化を促進する」という点です。マヨネーズの用途を複数知ること、そしてそれを食べた家族の「おいしい」という言葉や、「ふわふわにできた」という成功体験の積み重ねにより、ファン度が高まっています。


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3つ目は、「ファン度と購入本数・用途数の相関性」です。年間のキユーピー マヨネーズ購入本数を比較すると、一般消費者は6本・ファンクラブ全体では8.3本・そしてアカデミーの卒業生「マヨシェルジュ」はなんと10.7本。「ファン度が高いほど購入本数が増え、さらに使用用途数も広がっている」ことが判明しました。

ファンとつながり続けることでお客様の食卓幸福度を高めたい

最後に、ファンクラブで得たお客様との接点作りの知見を活かして新たに取り組んでいる施策をご紹介します。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

それが、会員サイト「Hi! kewpie」とD2Cサービス「Qummy」です。

キユーピーのオリジナルの顧客データベースによって、お客様一人ひとりとキユーピーがkewpie IDで直接つながる事ができる仕組みです。


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「Hi! kewpie」は、お気に入りレシピや商品を登録したり、買い物リストを保存したり、キャンペーン応募が簡単に行えるなど、キユーピーの商品サイトをより便利に使える会員専用のサービスです。お客様のニーズに合わせてパーソナライズされた情報もお届けしています。


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「Qummy」は、ここだけでしか買えないオリジナルサラダセットなどの販売を軸としているD2Cサイトです。お客様に合ったレシピやサービスの提供も行うことで「サラダのある健康的で彩り豊かな食卓の提案」を行っています。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

kewpie IDの会員数は現在3万2千人で、今後さらに規模を拡大していきたいと考えています。 このデータを生かして顧客理解を深めていき、お客様が求めている商品・情報・サービスの高質化を図っていきます。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

将来的にはキユーピーの持つデジタル接点とリアルな接点を、kewpie IDで繋ぎたいと考えています。そして、キユーピーと繋がり続けることで、お客様の「食卓幸福度」が上がることを目指し取り組んでいきます。


写真 スクリーンショット 「アドタイ・デイズ キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

2025年に、キユーピー マヨネーズは発売100周年を迎えます。同時にファンクラブも開設から10周年を迎えます。ファンの意見にしっかりと耳を傾け、未来に向けたいろいろな企画にもチャレンジしていきます。ファンとの絆をさらに深めて、次の100年も愛され続けるブランドとして進化していきます。

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【登壇者】

キユーピー 取締役 上席執行役員 コーポレート担当
山本 信一郎氏

1985年4月、キユーピー入社。トウ・アドキユーピー 広告宣伝部長、同社 代表取締役社長を経て、2022年 6月 キユーピー 上席執行役員に就任。2023年 2月より現職。




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