宣伝会議は、書籍『世界を変えたクリエイティブ 51のアイデアと戦略』(dentsu CRAFTPR Laboratory 著)を、2023年12月に全国の有力書店とオンライン書店で発売を開始しました。
本書のベースとなったのは、WEBサイト「LIONS GOOD NEWS 2023」。世界最大級のアワード「カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバル」(カンヌライオンズ)の公式コンテンツとして、2020年にスタートしました。本サイトでは「新たな出会い」をコンセプトに、カンヌライオンズの受賞事例からそのコミュニケーションのエッセンスを紹介してきました。
サイトの企画制作、および本書の執筆を手がけたのが、電通PRコンサルティング 執行役員 井口理氏と電通 クリエーティブ・プランナー 橋本怜悦氏を中心とする「dentsu CRAFTPR Laboratory」です。
本書では、これらのコンテンツをベースに、コミュニケーションの真理を9つに整理。それぞれの意味を表す花と花言葉に託し、カンヌライオンズの過去および最新事例とともに、コミュニケーション課題とその具体的な解決方法を紹介しています。また、本書で紹介した事例の日本語版字幕付き映像のQRコードも掲載しています。
本書の制作にあたり、著者の一人である井口理氏は次のように話します。
「コミュニケーションに携わる人にとって、グローバルの成功事例を知ることは、自身の企画力を育むのにとても重要なプロセスです。イノベーションも既知の物事の組み合わせで生まれます。様々な視点でその成功事例を分析し、自身の血肉にしておくことで、発想の瞬発力が上がり、また成果への道筋を掴むことができるはずです」
コミュニケーション企画戦略立案時はもちろん、世界のクリエイティブの表現や手法、トレンドを学ぶ上でも活用いただける内容になっています。
〈本書の構成〉
- はじめに
- PROLOGUE コミュニケーションにおける新たなパラダイムチェンジ
- これまでの当たり前が次々崩れる激動の時代/テクノロジーが生み出したさまざまな歪み/NPOの悩みは、コミュニケーションに帰するものが大半/経験値として可視化されるフィルターバブルの影響
- CHAPTER 1 HONESTY 偽りやごまかしが蔓延する世の中で光る「正直」さ
- 虚飾を張れば、やがてそれは自身を傷つける刃となる/自社のパーパスを軸に活動し、エンゲージメント強化を果たす/「ありのままの姿」を正直に、誠実に伝える/世の中に敏感に反応し、自社のスタンスを表明する機会に/同じスタンスの仲間とスクラムを組み、立ち向かえ
- CHAPTER 2 TRUTH 世の中に蔓延する「真実」という名の欺瞞
- フェイクニュース氾濫の中、「真実」を見つけ出す難しさ/人々の納得感が「真実」を凌駕することも/自身の信じる「真実」を貫く覚悟に仲間が集う/隠された「真実」を暴き出し、自身の責務を顕示/直感的に理解させるビジュアル活用の有効性/慣例として置き去りにされてきた「真実」に向き合う時代
- CHAPTER 3 ESTEEM 他者を「尊重」すれば、新たな世界が拓ける
- 相手を尊び、まずその意見を聞くことで関係は強まる/広く手を差し伸べ、自ら歩み寄る姿勢が信を得る近道/クレームを口にすることで、自身の商品愛に気づく反作用の妙/根本的思想の共鳴で、意外性ある仲間づくりに発展/一人ひとりに正面から向き合う、その姿勢で人は満足する/インクルーシブをも拡大解釈し、その先を拓く/通説に流されず、自身の価値評価基準を持つべし/他者を「尊重」すれば、自然と自分も変わっていける
- CHAPTER 4 REMEMBRANCE 「追憶」の中に共通の接点を見出せ
- 外部環境に合わせ微修正される人間の記憶の柔軟さ/埋もれかけた記憶に刺激を与え顕在化・活性化を促す/「もし今彼がいたら…」存在しない未来を記憶から紡ぎ出す/テクノロジーで実在しない魂を可視化/AIテクノロジーを情報収集のパートナーとして活用/「追憶」を経て、さらに新たな記憶を残す
- CHAPTER 5 ARTIFICE コミュニケーションのラストワンマイルを接着する「技巧」
- 「出会い」のチャンスを最大限に活かす/生産者の想いが見た目を凌駕する価値を生み出す/機会を捉え合気道的に切り返すリスク対処の心得/「目には目を、バグにはバグを」逆境に切り込み耳目を集める/モノを通じた体験は記憶に残る/成功率の高い過去事例をハック/N=1マーケに見る「平均値」崇拝の終焉/旧来手法から脱却し、新たな技巧へ挑戦せよ
- CHAPTER 6 IMAGINATION 「想像」を現実にし、突破力を磨く
- 「想像」は空想ではなく洞察力である/「もし〇〇ならば」は推理に近い「想像」/とっつきにくいデータを人々の関心に合わせて可視化/語りかける「顔」が、その情報の価値を大きく左右する/「創造力」で前例を飛び越え、慣習を抜け出せ
- CHAPTER 7 TEAM UP 仲間が集えば社会が変わる。コレクティブ・インパクトがもたらす社会変革
- 既存のネットワークを、別目的のネットワークに流用/象徴的な行動を意志表明に。ソーシャルメディアに適した秀逸な仕掛け/国民一人ひとりが国を代表する立場に?一般生活者と政府が一体で行う観光キャンペーン/相乗りしたくなる呼びかけで自走化する低コストな仲間づくり/共創の形はさまざま、新たに注目される「コレクティブ・インパクト」/大義に向け、同業者やライバルとの協働・共創も/企業が取り組むべき社会的イシューを見極めるために
- CHAPTER 8 REBORN 固定観念を脱ぎ捨てた先に光る「新生」の存在
- 一枚画の強烈さが、ビビッドに脳に届き記憶される/バーチャルにたたずむ悲しげな一本の木に将来の危機を感じる/受け入れがたいリアルより、受容度高い想像を/国さえもバーチャルに維持・保持していこうという危機的状況/感情にダイレクトにリーチし、揺さぶるビジュアルの重要性
- CHAPTER 9 UNEXPECTED MEETING 可能性を秘める「予期せぬ出会い」を取り戻せ
- アルゴリズムの裏をかく痛快さたるや/敵陣に乗り込む大胆不敵な驚きの行動/無関係な第三者のテクノロジーまでをハック/スタント、それはリアルな場で展開される偶発的な出会い/一瞬の出来事にも企業のメッセージが色濃く滲む/誰もが自由意志で参加できるハックの場を提供/偶然を楽しむおおらかさがその先の可能性を大きく拓く
- EPILOGUE 花を贈ろう、話をしよう
- それは人と人との関わり方の神髄でもある/日本のコミュニケーションの開国とグローバル化/新たな接点の採用がネットワーク構築のキモに/固定観念を捨て知的探求に出かけよう。そこにイノベーションは存在する
〈著者について〉
- 著者:dentsu CRAFTPR Laboratory
- 企画・執筆:井口理(株式会社電通PRコンサルティング)
- パーパスドリブンな企業広報戦略立案から、製品・サービスの戦略PR、動画コンテンツを活用したバイラル施策や自治体広報、企業のインターナルコミュニケーションまで幅広く手掛ける。メディアやSNSで話題になりやすいコンテンツを生み出す「PR IMPAKT®」や、メディア間の情報の流れを紐解く「情報流通構造®」などを提唱。企業のみならず、業界団体や大学、行政担当者、トレードショーなどでの講演も多数。
- 「Cannes Lions」「Spikes Asia」「SABRE Awards」「PR Awards Asia Pacific」「New York Festival」などのグローバルアワードの審査員、また国内ではヤングカンヌコンペティション国内代表選考審査員長、日本PR協会PRアワードグランプリ審査員長、日本経済新聞社SDGsアイデアコンペティション審査員長を歴任。「世界のPRプロジェクト50選」「Cannes Lions グランプリ」「日本勢初 Glass Lion Gold」「Asia Pacific Innovator 25」「Gunn Report Top Campaigns 100」など受賞多数。
- 著書として、『戦略PRの本質~実践のための5つの視点~』『成功17事例で学ぶ 自治体PR戦略』『戦略広報』『PRプランナー資格認定試験テキスト概説/実務編』『企業ミュージアムへようこそ』。
- 企画・執筆:橋本怜悦(株式会社電通)
- メディアニュートラル・戦略PRなど広告業界に新しい概念を生み出した電通とADKによるクリエイティブブティックDrillでの丁稚奉公を経て電通へ。電通ではPANASONIC、郵政、HONDA等のインテグレーションキャンペーンを手掛け、2度の「ADFEST」グランプリ、「Cannes Lions」「ONESHOW」「CLIO」「NYADC」「New York Festival」「Spikes Asia」、「広告電通賞最優秀賞」などでこれまで100を数える受賞歴を持つ他、PANASONICのEclipse Live From Fujiyamaは本書で取り上げたTNTのPush Add to Dramaなどとともに広告業界に「スタントPR」という概念を生み出した。
- 直近の受賞歴は「Red Dot Award」(best of the best・最優秀賞)「GOOD DESIGN AWARD」「 Spikes Asia」「ADFEST」「NYADC」「FWA」「AWWWARDS」「CSS DESIGN award」など。
- 執筆:藤井京子(株式会社電通PRコンサルティング)、細田知美(株式会社電通PRコンサルティング )、森光菜子(株式会社電通PRコンサルティング)
- 監修:田中耕平(株式会社電通)