人とのシェアによって楽しいショッピング体験を提供 カウシェのマーケティング戦略

生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。

※本記事は月刊『宣伝会議』1月号の転載記事です。

写真 人物 前本航太氏

カウシェ
取締役兼執行役員
前本航太氏

共同購入をオンラインで実現 楽しさを軸にしたECアプリ

「世界一楽しいショッピング体験をつくる」をビジョンに掲げ、2020年に創業したカウシェ。友人や家族、さらにはSNS上の誰かと一緒に購入することでお得に商品が購入できるシェア買い(共同購入)アプリ「カウシェ」を運営している。

友人と一緒に買い物を楽しんだり、さらには共同で購入して買った商品をシェアしたり…。そんなリアルな場で普通に実現してきた買い物の楽しさをオンラインで実現するものだ。物を購入するだけに留まらない、楽しさを軸にしたショッピング体験を提供している。

アプリをリリースした2020年9月時点では、24時間以内にシェア買い相手が見つからない場合は購入がキャンセルされる仕組みだったが、2023年9月のリニューアルでほとんどの商品で時間制限を撤廃。ひとりからでも購入が可能になった。

写真 パース・イメージ UGCが集まる「みんなの投稿」機能

2023年9月のリニューアル時に実装したUGCが集まる「みんなの投稿」機能。

 

取扱商品カテゴリも、食品のほか日用品や家電、美容・コスメ、ベビー・キッズ用品など多岐にわたり、平均割引率は参考価格の1~3割引ほど。アプリダウンロード数は150万(2023年4月時点)を突破し、子育て中の主婦を中心に利用者数を伸ばしている。

一方のカウシェに出店する事業者が支払う費用は、販売手数料(10%、税抜)と決済手数料(3.5%、税抜)で、大手ECモールのように月額出店料やサイト構築費、広告費などはかからない。ユーザーがSNSなどで自発的に情報を拡散し、新しいユーザーを呼び込んでくれるため、浮いた広告費を割引という形でユーザーに還元することが可能。

創業者で代表取締役の門奈剣平氏は、日本と中国のハーフというバックグラウンドから中国のトレンドにも詳しい。コロナ禍による飲食店の休業などで販路を失った事業者らが大量の食品を廃棄せざるを得ない状況を門奈氏は目の当たりにする。消費者が直接購入できる場があれば、こうした課題を解決することができるのではないか。そう考えた門奈氏は、世界最大のEC大国とも言われる中国で、近年急成長していた共同購入型ECプラットフォーム「拼多多(Pinduoduo)」に着想を得て、カウシェのローンチに至った。

取締役兼執行役員の前本航太氏は「日本のEC化率はまだまだ低いですが、SNSを通じた購買が当たり前になりつつあり、のびしろは大きい。カウシェがほぼ広告宣伝費を投下せずに150万ダウンロードに到達したのも、お客さま同士の口コミの影響が大きい。世界のEC市場のトレンドの観点からも、人のシェアによるバイラルが成長には必須であると考えています」。

……この続きは月刊『宣伝会議』1月号で読むことができます。

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『宣伝会議』1月号(12月1日発売)

書影 宣伝会議2024年1月号
  • 特集
  • トップランナーたちの予測と展望
  • 広告、メディア、マーケティング 2024年は、こう動く。
  • 〇パーソナライズと個人情報保護を両立させ、生成AIから得られるデータを活用するには?
  • 2024年はどうなる?①「生成AI」
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  • 〇規制は真の顧客理解を考える契機にマーケティングの本質に原点回帰する
  • 2024年はどうなる?②「Cookie規制」
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  • 〇コンテンツ力を活かしたユーティリティの向上TVer、radikoと考えるテレビ·ラジオのDX
  • 2024年はどうなる?③「電波メディアのDX」
  • 坂谷 温(radiko)× 蜷川新治郎(TVer)
  • 〇マーケティング投資の説明責任にどう応える?施策のビジネス貢献度を可視化するMMM
  • 2024年はどうなる?④「MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」
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