SF映画のメカやロボットモチーフの新作発売
ペーパーレス化や押印廃止の動きが加速する中、印鑑メーカーSirusi(兵庫県尼崎市)はデザイン性の高い印影が特長の「印グラフィー」シリーズで売り上げを伸ばしている。建築士や美容師などクリエイターに人気。顧客へのヒアリングを通じてデザインを決定しており、書類など他人に見せるものは細部のデザインまでこだわりたいというニーズに応えている。毎年新作を発売し、現在は13種類(法人向け3種類)をラインナップ。新作が発売されるたびに購入するファンもいる。2023年度(6月期)の目標販売数は3000~5000本で、1月発売の新作でさらに勢いをつけたい考えだ。
代表の盛佳男氏は同業他社に勤めていた頃、建築業者から「設計図のような印鑑が欲しい」と依頼され、幾何学的なデザインが特長の印鑑を作成。ポートフォリオに使用され、顧客の満足度も高かったという。盛氏はデザイン性の高い印鑑の需要に気づき、新事業として提案したものの、企画が通らなかったため独立を決意。2018年7月に同社を創業した。
1月23日にはSF映画のメカやロボットをモチーフとした「スター印グラフィー」を発売した。読みやすいデザインを保ちつつ、機械のパネルラインを再現。実印や銀行員に使用する丸印は「機械で造られた惑星」、角印は「宇宙船やロボの装甲板」を表現している。材質は山桜などの天然木材や、樹脂と木材を織り交ぜた強化木材など15種類から選択できる。販売価格は9000円(税込)。
盛氏は「デジタル化で印鑑業界が厳しい状況を迎えている」と話す一方、「斜陽産業だからこそ、イノベーションを起こせばシェアを獲得できる」と強調。デザイン印鑑を販売する競合はあるものの、自社に在籍しているデザイナーが開発に携わり、顧客のニーズに柔軟に対応している企業は少ないという。印影をデザインの一部として組み込みたいクリエイターなど、きめ細かいニーズを掘り起こし、生き残りを図る考えだ。