宣伝会議主催の講演会「リージョナルサミット2023 in 大阪」に、チェク・ジャパン 営業部 シニア ストラテジック アカウント エグゼクティブの廣瀬健一氏、ダイキン工業 総務部 広告宣伝グループ 天野貴史氏が登壇。小林製薬 執行役員 石戸亮 氏による経営視点のコメントを交えながら、デジタル広告運用におけるセキュリティアプローチについて語った。
ダイキン工業のデジタル広告の取り組み
デジタルマーケティングを検討する際に問題となるのが、経営層と現場における認識のギャップだ。経営層がデジタル施策を評価する際に重要な3つの視点について、「鳥の目で広い視野を持って観察すること、虫の目で状況を確認すること、魚の目でタイミングを逃さないこと」と石戸氏は話した。
ダイキン工業は、マス広告だけでなく、デジタル広告にも積極的に取り組み、フレームワークを用いながら広告を運用している。天野氏は次のように話した。
「エアコンは13年に1度の買い替えと言われており、そのタイミングを捕まえることが大事な商材です。そのため、『エアコンといえばダイキン』と思い出してもらえるように、ローテレ層に向けては、スキップができない6秒動画のバンパー広告を流し、ブランドの刷り込みを行っています。エアコンに興味・関心を持つ人や、引越、結婚などの時期を迎える人には、商品機能を理解していただくためのSNS広告、検討・顕在層にはリスティング広告を配信しています」
さらに、運用上で注意している2点について述べた。
「1つは、どの指標をKPIとして重要視するかということです。デジタル広告は様々な数値がとれるため、『目標のCTRには到達しなかったが、インプレッションは想定を上回った』など、色々な指標の良いとこ取りをしないように、目的に応じたKPI指標を定めることが重要です。2つ目は、施策を終えてから振り返るのではなく、広告出稿期間中に配信状況を確認してPDCAをまわすことです」
不正・無効トラフィックの認知状況は?
廣瀬氏は石戸氏と天野氏に対し、「デジタル施策を進めているときに、不正・無効トラフィックが発生していることを認識していたか」と質問。石戸氏は「クリック単価2000円のキーワードを競合先の代理店がクリックしているという話を聞いたことがあり、デジタル広告は勝手に課金されてしまう怖さがあると思っていました」と話し、天野氏は「認識していたが、あまり意識していなかったです」と回答した。
JICDAQ(デジタル広告品質認証機構)によると、不正クリックについて問題意識を持っている企業は48%、そのうえで対策している企業は25%という。「経営層の視点で考えると、一般の企業は数年ごとに部署異動があり、限られた時間で知識を身に着けながら業務にあたるわけです。問題を認識していても、実践できないというのが現状かと思います」と石戸氏は話した。
ダイキン工業におけるアドフラウド対策
ダイキンはかつて、アドフラウド対策(デジタル広告における広告詐欺や不正広告対策)としてセーフリストでの配信していた。だが、2023年からブロックリスト配信、JICDAQ認証を得ている会社への発注へと切り替えたという。変更した理由について、天野氏は次のように話した。「デジタル広告が一般的になりつつある今、全社でリスク対策をしていかなければならない。ですが、部門ごとにセーフリストを検討するのは手間・工数がどうしてもかかってしまう。そのため、広告媒体側が持つブロックリスト機能も精度が向上してきていること、さらにアドフラウド対策を行ったうえで広告配信ができるJICDAQ認証を得ている会社への発注を全社ルールと定めました。」
続けて、天野氏はチェク・ジャパンのアドフラウド対策を採用した理由について話した。「理由は2つあります。1つは精度の高さ。もう1つがサポート体制の手厚さ。デジタル広告の経験が浅い部署でも、最小限の工数でツールを導入できるところが決め手になりました」
廣瀬氏によると、海外には競合のサイトを自動でクリックしてくれるサービスがあるという。1台の端末でIDを変えながら何度もクリックする例もある。多くの顧客が短時間でクリックしてくれたと思っていたことが、実はボットによるクリックで、無駄な広告費用が使われてしまうことになるのだ。
CHEQ導入後の効果は?
チェク・ジャパンのアドフラウド対策を導入すると、デジタル広告経由もしくはダイレクトに不正ユーザーがサイトへアクセスした際に、リアルタイムに検知して、二度と不正ユーザーに広告が配信されないようにブロックすることができる。天野氏は「導入後、不正ユーザークリック率が低下しました。検索広告新規ユーザーへのリーチ率も改善が見られました」と振り返る。
不正ユーザーから検索広告へ継続的なクリックが見られる場合、ユニークユーザーの割合は低くなる傾向がある。だが、不正ユーザーの除外を行い、2回目以降の来訪を防いだことで、新規でリーチできるユーザーの割合も改善。2022年の冬の施策実施には、Google広告、Yahoo広告ともに改善が見られたという。
企業がアドフラウド対策に積極的になれない要因とは
「3つ要因があると思います。1つ目に、そもそもマーケティング部門や経営陣がアドフラウドそのものを知らない。2つ目は、予算を作っていないということ。マーケティングオペレーション費用が設けられていない。3つ目は忙しい、優先度などもあるのでは(重要度そのものを認識していない)」(石戸氏)
最後に、天野氏は「デジタル広告を行う上で、アドフラウド対策は必ず行う必要がある。AIの普及により、アドフラウド率が世界的に高まっているとも言われている。業界全体の問題として、ぜひ他の企業の方にも取り組んでいただきたいです」と語った。
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