メドピアの連結子会社でクラウド型健康管理サービスなどを運営するMediplatは、産業医を対象に実施した、「健康経営の実態調査」の結果を公開した。調査によると、多くの産業医が「健康経営に取り組む企業が増えており、その優先度が高まっている」と感じていることが分かった。また健康経営による効果では、「従業員の業務パフォーマンスの向上」や「メンタル不調の発生防止」「従業員の離職率低減」を実感している回答が多く挙がった。
調査はインターネットを用い、2023年12月14日~16日に実施。病院・クリニック・事業場等に勤務している産業医108名が回答した。
健康経営に取り組む必要性
健康経営とは、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」を指す。経済産業省によると、「企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待」される。
昨今は健康経営を積極的に推進する企業も増え、労働人口が減っていく日本社会において健康で長く働ける可能性を示すことは、従業員の生産性の向上や優秀な人材の確保など多くの効果が期待できる。
健康経営への意識の高まりに応じて、企業のコミュニケーションを担当する広報担当者には、自社が健康経営に取り組んでいることを社内外へ積極的に発信する役割が求められている。
Mediplatが発表した「健康経営の推進の実態調査」から、産業医目線での企業の取り組みの現状や課題、実感している効果について見ていきたい。
約75%が「健康経営を推進する企業の増加」を実感
初めに「健康経営に取り組む企業が増えてきていると思うか」と質問。74.9%(「非常にそう思う」(25.8%)・「ややそう思う」(49.1%))の産業医が、健康経営に取り組む企業の増加を実感している結果となった。健康経営に対して企業の関心が高まっていることが伺える。
続いて「支援している企業の健康経営に対する優先度」の質問に、「優先度は高い」と回答した産業医は61.9%(「かなり優先度は高い」(14.7%)・「やや優先度は高い」(47.2%))に。健康経営に関して企業の優先度が高いことが見えてきた。
「企業が健康経営を推進するにあたって取り組んでいること」については、「健康課題の把握(定期健診受診率、ストレスチェックなど)」が39.8%で最多に。次いで「ワークライフバランスの推進」と「ヘルスリテラシーの向上(生活習慣や運動、食事の教育制度)」「感染症予防対策」が同率で27.8%となった。
一方、「企業が健康経営を推進するにあたっての課題」では、「ワークライフバランスの推進」が32.4%でトップとなり、「健康課題の把握(定期健診受診率、ストレスチェックなど)」(30.6%)、「健康課題に基づいた具体的な目標の設定」(27.8%)が続いた。
健康経営の推進のため、「健康課題の把握」、「ワークライフバランスの推進」に取り組む企業が多いが、その課題でも同じ項目が上位となっている。「上手く運用できていない企業も多いことが推測できる」とMediplatはコメントする。
約半数の産業医が「健康経営の支援で効果を実感」
「企業の健康経営を支援することでの効果を実感しているか」の質問には、52.8%(「かなり実感している」(15.8%)・「やや実感している」(37.0%))が効果を実感している、とした。
さらに、「かなり実感している」「やや実感している」と回答した人に「効果的だと思う理由」を聞いたところ、「従業員の業務パフォーマンスの向上」が最多の50.9%に。次いで「メンタル不調の発生防止」(45.6%)、「従業員の離職率低減」(40.4%)に効果を実感したという。
こうした健康経営の課題や効果感を知ることは広報担当者にとって、自社の「健康経営の推進」について、社内報やコーポレートサイト、統合報告書など社内外に情報を発信する際に役立つ。調査の結果を参考に、健康経営に関する情報の効果的な開示を推進したい。