サウンドファンが発売する、テレビの音声を聞き取りやすくするスピーカー「ミライスピーカー」シリーズが、発売から約3年で累計販売台数20万台を突破した。問い合わせからニーズを拾い、マーケティングは少ない予算でデジタルからスタートしたという同社は、どのようにして事業を伸ばしていったのか。サウンドファン 取締役CMOの金子一貴氏に話を聞いた。
※本記事は、月刊『宣伝会議』3月号 の巻頭特集に掲載されています。
サウンドファン
取締役CMO
金子一貴氏
University of Wisconsin La Crosse校でMBA取得後、ニデックで、眼科医療機器の国際プロダクトマーケティング部にて、複数製品のマーケティングに従事。海外ドクターとの共同開発、製品戦略立案などを担当。2018年4月サウンドファンマーケティング部門立ち上げ、2020年1月 執行役員、2021年12月 取締役CMO就任。
顕在化したニーズに気付き、コア技術を個人向けに応用
サウンドファンが2020年5月に発売した「ミライスピーカー・ホーム」は、テレビに接続することで、テレビの音量はそのままに、言葉を聞き取りやすくするスピーカーだ。
補聴器業界では、シニア層の3人に1人が難聴者だと言われている。難聴になれば、周囲とのコミュニケーションが困難になるだけでなく、テレビも音量を大きく上げなければ聞き取りづらくなり、同居の家族や近隣の家に迷惑をかけてしまうなど、日常でさまざまな問題が起こる。補聴器はそうした問題を軽減してはくれるが、高額であることや定期的な調整が必要になることなどから、日本での装用率は約15%にとどまっている。
そこでサウンドファンは、テレビにおける聞こえの問題を解決するスピーカーとして、「ミライスピーカー・ホーム」を開発した。「ミライスピーカー」のコア技術は、蓄音機の形状にヒントを得た「曲面サウンド」だ。これによって、テレビの音をはっきりと聞き取りやすく変換し、かつ、音を遠くまで届けられるようにする。
曲面サウンド技術の開発当初は法人向けに製品を発売しており、空港のアナウンス用スピーカーなどに採用されていたが、その技術がテレビ番組に取り上げられたことをきっかけに、個人からの問い合わせが相次いだ。
「特に高齢で耳が遠い方のご家族から多くの問い合わせを受けて、テレビの音量問題が非常に顕在化しており、お金を出しても解決したいと思っている人が多くいることを感じました。しかし、当時はその問題を、お客さまのニーズにあわせて明確に解決できる製品が世の中になかったことから、私たちが曲面サウンドの技術を使ってブランドを確立させれば、市場のトップになれるだろうと考えました」(サウンドファン 取締役CMO 金子一貴氏)。
…続きは、月刊『宣伝会議』3月号 でお読みいただけます。
宣伝会議2024年3月号
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- ―ヒット事例から見えた、シニア世代のインサイト
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- ・ダイヤモンド社
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- ・サウンドファン「ミライスピーカー」
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