売れるデザインを可視化するソリューション
広島大学大学院 先進理工系科学研究科 客員教授で、コニカミノルタの浦谷勝一氏は「感性のツボ押しで購買意欲を高める!最新の脳科学から導く『売れるデザイン』の秘策とは」と題した講演を実施。マーケティングや人間の購買行動において、デザインやコミュニケーションを共通言語化し、分析する必要があると語った。コニカミノルタは「EX感性」(EX:Explainable)と呼ばれる独自の画像解析技術と感性脳科学を組み合わせて人の感性を定量的に可視化し、売れるデザインを評価・分析するクラウドサービスを提供。その実用性や効果について、浦谷氏は人間の脳科学の観点から説明した。
感性に訴えるデザインで購買に繋げる
消費者の購買情動プロセスを説明するために用いられるアイドマ(AIDMA)。これを正しく理解し、AIDMAのフェーズごとに、脳科学に基づいた感性に訴えるデザインへ導くことで、購買意欲を高めることが出来るという。浦谷氏はEX感性が働きかける、AIDMAの各項目について以下のように話した。
<注意/Attention> 人間が視認できる光の波長・RGB(赤緑青)や明るさ、形、動きなどの刺激から解析を行い、人間がどこに注目しているのかをヒートマップで可視化。注目性を定量で表し、もっとも注意をひくポイントがわかる。思い通りに訴求できているか、デザインの効力をはかる。
<関心/Interest>人間の脳は膨大な量の情報を処理するため、不要なものを捨てる傾向にある。関心を持ってもらうためには認知負荷を下げる必要がある。認知しやすいように複雑性を抑えたり、色彩調和をとったりすることで、訴求したいイメージを伝えやすくなる。
<欲求/Desire>生鮮食品のみずみずしさを伝えたり、情景の臨場感など表現したりして、購買意欲を高めるために重要な「シズル感」。人はシズル感を明るさで判別しているとされ、GLCM(Gray Level Co-occurrence Matrix)という方法を用いて、その効果を可視化・分析する。
<記憶/Memory>人間の脳に残るためには、違和感やズレが重要。ブランドの一貫性を保ちながら適度な違和感を与えるため、生じさせる違和感の程度を数値化し、その効果が最大化されるよう分析する。また、1枚の広告の中でズレや違和感があると、人間は好奇心を抱き、納得できる要素を求めて視線を動かすということに注目。視線の動きをシミュレートすることで、合理的な広告を作り出すことが可能になる。
デザインの「良し悪し」 を可視化し、工数削減&売り上げアップ
商品パッケージの開発において、複数の案が存在する際にもEX感性が役立つ。デザイン評価することで修正箇所などが可視化・定量化され、30%の工数削減に成功。また、導入企業の中には、従来と比べて売り上げも172%アップとなった商品もあり、最短距離でデザインの正解を導き出すことが可能になったという。(172%アップとなったのは厳密にはパッケージの話ではない)。
もちろん、デザインだけではなく、地域や年齢、性別などの要素も売り上げに直結する重要な要素だ。EX感性では、配色やデザイン要素の分析のほかにも市場での自社商品の立ち位置や競合とのポジショニングも比較することが可能。売れるデザインを徹底的にサポートしてくれるという。
浦谷氏は「計算知能の最前線にいるEX感性システムは、人間の感覚分析と因果推論分析の調査がとれた統合を体現しています」と話し、購買意欲を最大化するためのツールとして太鼓判を押した。
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マーケティングを加速させるために理想のペルソナを導入
売れるデザインや脳科学に基づくマーケティングも重要だが、ここからはデータ活用についての話題にシフトしていく。NTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 マーケティング部門長でOPEN HUB for Smart World代表の戸松正剛氏は、「『自社に適した』顧客の発見がマーケティングを加速させる。データの掛け合わせで理想のペルソナ像を導くポイント」と題した講義の中で、データ活用による消費者行動の分析の現状などについて語った。
データを活用し、ペルソナ設定を机上の空論にしない
NTTコミュニケーションズは、ドコモが保有する膨大なデータを統計分析し、さまざまなマーケティングに役立てている。ドコモの顧客基盤におけるデータの強みは、やはり約9600万の会員を抱えるdポイントクラブ、約7200万の契約数を誇る携帯電話サービスなど、日本最大級の会員数だ。これらの実行動データに加え、過去の行動から未来の行動を予測するAIによる統計解析など強力なツールで消費者の行動を可視化。顧客のペルソナを机上で描くのではなく、よりリアルに設定できるようになるという。自社が持っているデータのみで顧客像を作成しようとすると、「ほぼ想像」で終わってしまうと戸松氏は指摘する。戸松氏は、ドコモが保有しているような自社外の決済データや移動データなど、リアルな行動利用情報を用いることで、顧客心理をひも解いた理解が可能になると語った。
ほかにも、行動の特定から見込み顧客を推測することも可能だ。例えば「子育て」にまつわるキャンペーンに申し込んだ顧客は、小さい子どもがいる、もしくは出産予定があると推定される。そのようなライフスタイルやライフステージの変わり目に合わせて適切なキャンペーンを案内することで、クリック率が3倍に、売り上げは5.5倍になったという事例もある。これらを踏まえ、戸松氏は「ひとつのペルソナを妄想で作り上げてしまうことには意味がない」と警鐘を鳴らす。
属性データから行動データの時代へ
データを活用することで、オンライン広告の効果も測定できるという。広告ターゲティング精度を向上させるために、まずはデータからペルソナを描き出すことで、出稿するメディアの都合に顧客像をはめこむことなく、自分たちのターゲットにあったメディアを確実に選択することが可能になる。これについては、購買時にひも付くdポイントデータを活用するのが最適だ。dポイントを利用してPOSデータを収集し、購買層のペルソナを特定。そして最適なメディアを選択し、実際に店頭で購入されたかどうかもまたdポイントデータ経由で分析が可能になる。
推定した情報だけではなく、確定情報に近いユーザーの基本情報をかけあわせることで、マーケティングから広告まで効果を最大化できる可能性を秘めている。「30代・男性」「60代・女性」など属性ベースでしぼっていた従来のターゲティングが、実際の移動や決済といった行動ベースに推移している今、ドコモが持つ膨大なデータの重要性はますます増しそうだ。
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