Wunderman Thompson(ワンダーマン トンプソン)と、VMLY&Rは2024年1月1日、グローバルで合併し、新たに「VML」としてスタートした。VMLは、60以上の市場で3万人以上の従業員を抱える、業界でも最大規模のクリエイティブ・カンパニーだ。日本オフィスであるVML Japanもさらなる業容拡大に向け、十数年来の関係を持つ衛生用品最大手ブランドの担当チームで、人材採用を始めている。
特に採用で重点を置くのは「アカウントマネジメント」「ストラテジープランニング/ビジネスコンサルティング」「プロジェクトマネジメント」の3つの職種。また最近業務領域が増えてきた「UI/UXデザイン/ストラテジー」も力を入れる募集対象だ。
シンガポールで同担当チームを率いる、リージョナルアカウントディレクターの嶋田太郎氏は、「狭義の広告コミュニケーションだけでなく、ビジネスの根幹でのコンサルティングによって、クライアントの成長・拡大に貢献することが我々の主戦場。より太く、根源的な課題に取り組むことに興味のある方をぜひ迎え入れたい」と話す。
「単純なデジタル広告ではなく、データソリューションやコマースの最適化などの領域を加速させる仲間も募集しています。我々の価値はGrowth Partner(グロース・パートナー)であること。この言葉の裏にある、『売上』や『利益』、『企業価値』といった目に見えて明らかな結果に執着し、力を尽くす姿勢に共感してくださる方と、一緒に働きたいと考えています」(嶋田氏)
WPPのマーク・リードCEOも、VMLの統合に際し、「今日のマーケターは、ブランド広告とテクノロジー・ソリューション、そしてプラットフォームとのシームレスな連携を期待しています。今回の統合によって、VMLは、世界クラスのクリエイティビティと、データ、マーケティング・テクノロジー、プラットフォームにおける深い専門性を融合させることで、より野心的なブランドに競争優位性を提供します」とコメントしている。
これは、嶋田氏も実感するところだ。担当ブランドの場合、いまでこそ、多くの国で市場上位に位置するが、担当当初は三番手、四番手に甘んじている国も少なくなかった。「少しずつシェアを広げていくことができたのは、中長期の視点をもって戦略的な提案をしつつ、個別の具体的な施策に落とし込んで実行する、統合的かつ徹底的なソリューションを提供できたからだと考えています」と嶋田氏は話す。
「こうした考え方やアプローチ、そして、実際に成し遂げてきたことが評価され、十数年来にわたって経営上の判断としてVMLとのパートナーシップを継続してくださっていると考えています。逆説的ではありますが、この長きにわたるパートナーシップが、我々がなぜここへ至ることができたのかの証明になっているのではないでしょうか。無論、我々の力だけではなく、クライアント側の尽力あってこそですが、ブランド価値を高めながらグロースさせていくことが、いわゆる“広告代理店”ではない、エージェンシーというものの立ち位置を改めて定義していく上でのポイントになっていると思います」(嶋田氏)
チームに最近加わった、アソシエイトアカウントディレクターの礒田恵梨子氏は、「クライアントの上層部から現場の方に至るまで、このチームへの信頼感が他社と全く異なっていることが、参加当時に最も驚いたことです」と話す。同氏は、国内の広告会社や外資系広告会社などで十数年間、日用消費材ブランドの営業担当者としてのキャリアを持つ人物だ。
「一緒になってビジネスを伸ばしていくパートナーとして日々の提案を受け止めていただけていると感じます。実際、将来的なクライアントのビジネス変革や新しい製品やサービスアイデアを考え、製品のカテゴリー自体をどう変えていくかについて、日頃から議論しています。クライアント自身、広告制作を目的とするのではなく、業界の先駆者として長期的な視点で製品やサービスを提供していくことを重視されているように思います」(礒田氏)
未踏領域を歩む指針
クライアントから評価されているのはどのような姿勢かを尋ねると、「製品が売れる施策かどうか、継続的に事業が成長していく施策かどうかを判断基準にした提案」だとチームメンバーは口を揃える。「あえて目の前の利益に飛びつかないという提案をすることもある。そうした姿勢を評価いただいているのではないか」と話すのは、シニアストラテジーディレクターを務める前田環氏だ。
前例踏襲のルーチン作業や、定型的な広告制作、出稿のプロセスを進めるのではなく、「毎回新しいチャレンジで、地図がない場所へ歩みを進めている感覚。そうした仕事を面白いと考え、チャレンジングな精神を持っていることが大事だと思います」と前田氏。嶋田氏も、「くり返しの業務の価値が低いとは思いません。ただ、根底において同じ信念を持ちながら、手段は進化していけるのは極めてユニークだし、私自身、キャリアを賭ける価値があると感じます」と言葉をつなぐ。
「これまでにも度々、『このブランドであれば、提供していくべきではないか』、あるいは『ここに挑戦できるチャンスがあるのではないか』といった、当時はビジネス領域でなかったことについても提案をくり返してきました。そのタイミングでは実現しなかったこともあります。ただ、長く担当できているからこそわかることですが、数年を経たいま、まさに市場に出しているといったケースも少なくありません。短期的な“面白い広告”というのは提案しない。来年のことだけでなく中長期、10年後、20年後、企業が、事業が、製品ブランドがどうあるべきかを考えて、提案します」(嶋田氏)
提案するだけなら簡単かもしれない。しかし、VMLは実践までを担うところに強みがある。それまでに経験したことがなかったとしても、だ。データやテクノロジーといった分野も、そのように拡充してきた。
「やったことがないからできないとは思わないし、作り方が存在しないからといって膝を折らない。ブランドとして為すべきことを提案する上で、自分たち自身を作り変えていかないといけない場面は多いです。そのときに必要なものは、アントレプレナーシップといってもいいし、開拓者精神といってもいい。広義のプロデュース力や、突破力といった言い方もできると思います。実のところさまざまな業種の現場で求められる(からこそ、多くの言い方ができる)。そこに素直に向き合っていける、開かれた姿勢、これまで成し遂げたことを誇りに思いながらも、そこに甘んじないことが、私たちのチームでは非常に求められると思います」(嶋田氏)
未開拓の地を踏む上で、進行方向を照らすものは何か。前田氏は、「ひとつには生活者のインサイト」と話す。
「私たちは、誰よりも生活者を知っているということ。生活者インサイトは、狭くとらえずに、世の中のできるだけ大きなうねりの中で捉えることが重要です。俯瞰することによって、どのように進んでいくべきかのヒントとなります」(前田氏)
生活者を知る上でも大きな助けとなるのは、VMLのネットワークの大きさだ。グローバル施策の上で、各市場の一次情報を手にできるのは心強い。1日3〜4カ国の各国オフィスとミーティングすることもある。
グローバルとのやり取りが生じる機会は多いものの、今回の採用においては、英語における業務実績の有無は問わない。VML Japanによると「勉強する意欲を重視している」とし、社員には英語を勉強しているさなかという人や、入社して初めて使用する人も珍しくないという。
「組織としても、多様なバックグラウンドを持つ社員がフラットに発言できるというのが特長だと思います」と話すのは礒田氏だ。
「『私もやらなきゃ』と自然に思えるような刺激を与えてくれる人が多く、ここにいると成長や吸収ができると思える仲間ばかりです。広告コミュニケーションやアクティベーションから最先端のデータ、デジタルソリューションなど多岐にわたる挑戦ができますし、協力してくれる海外オフィスも少なくなくて、自分のためになると思えますね」(礒田氏)
未踏の地を歩む指針はもうひとつ。それは「影響力の高さ」だ。
「担当業務の影響範囲の大きさというのはやはりあるのだと思います。それでも社会においては大海の一滴かもしれませんが、社会のあり方を揺り動かし、生活者の暮らしの改善につながっていると感じられるのは、私個人は少なくとも強いやりがいを感じます」(前田氏)
嶋田氏も、「クライアントの大小に是非を言いたいのではなく、社会へ影響を与えるには現実的に一定の規模が求められる」と話す。
「社会や生活を変えうる素晴らしい技術や、信念や志に加えて、現実に変化を起こすために必要な梃子(てこ)というものがあります。また、私たちも含め、生活者の習慣を変えるというのは、ときに、その人を大きなリスクにさらしかねないことだってある。そうしたリスクを避けられる力も必要です。製品やサービスを通じ、人々の生活のクオリティを上げながら、クライアントのビジネスを成長させていく、それが相互に循環していく、というパートナーシップを築けるのは、本当に稀有です」(嶋田氏)
“Growth Partner”として、クライアントと歩みを共にするということは、そうした変化の行く末を目の当たりにできるチャンスがあるということでもある。
「このようなパートナーシップを通じて、社会に対する影響力を高め、クライアントの成長と共に私たち自身も成長することができるのです。この経験は、私たちが直面する困難や挑戦を乗り越え、社会全体の進歩に貢献するための強力な動機付けとなります」(嶋田氏)
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