日本の文具店が海外進出 コアファン向け経営で客単価アップ、ほたか

オフィス用の新ブランドも展開

東京の下町で愛されている文具店が世界に販路を拡大している。文具店「カキモリ」(東京都台東区)を運営する文具メーカー「ほたか」は、2021年に自社ブランドの海外展開を本格化。コロナ禍を機に客数よりも客単価を重視したコアファン向けの経営に切り替え、販路開拓に乗り出した。機能性やデザイン性に優れた日本製文具として高く評価されており、海外の約100店舗に卸している。2023年度(12月期)の売上は2019年比で30%増となった。

写真 人物 プロフィール 文具店「カキモリ」(東京都台東区)を運営する文具メーカー「ほたか」 代表の広瀬琢磨氏
海外への販路拡大を推進する代表の広瀬氏

カキモリは自社開発の「つけペン」やインクなどを販売するほか、顧客の要望に沿ったノートやインクのオーダーメイドも対応。趣味で利用する人のほか、デザイナーやアーティストにも人気がある。平日の来店客は約100人で、週末には倍の人数が訪れる。来店客の3割は外国人で、うち半数は欧米からの訪問。同店を目当てに来日するコアなファンもいるという。

2010年の開業以来、集客を重視した経営を続けてきたが、コロナ禍で来店が減少したことで方針を見直すことを決意した。これまではカジュアル層に商品を訴求してきたが、客数より客単価を重視。高単価なこだわり商品をコアファンに提案する「プロダクトアウト型」の経営に切り替えた。コロナ禍以前はカジュアルな商品を求める20~30代の女性が多かったが、現在は20~50代のハイミドル層の男女が多く、客単価は1.5倍に上がった。

写真 店舗・商業施設 文具メーカー「ほたか」 外国人観光客も多く訪れる「カキモリ」
外国人観光客も多く訪れる「カキモリ」。ノートやインクのオーダーメイドも可能

客単価が上がった一方、国内の市場規模が減少したため、海外展開も同時に強化。卸先の小売店をメールなどで地道に開拓した。コロナ禍以前は自店での売上が全体の8割だったが、現在は海外店舗への卸売が売上の半分を占めている。3~5年後には、海外でカキモリブランドの看板を掲げた分店も展開したいという。

海外での市場開拓を推し進めるため、2月からは新ブランド「OBJECT INDEX」をローンチした。カキモリで対応していなかったオフィス用商品をラインナップ。現在はペンスタンドに使える穴があいたメモパッド「Penstand Notepad」やアルミ製ボディのペンを無塗装にしてリデザインした「Anywhere Anytime Marker」など17種類を販売している。

カキモリは自社開発の商品が多かったが、同ブランドは他社協業で既製品をリデザインした商品が多い。カキモリと比べて短時間での開発が可能で、大量生産とデザイン性の両立を実現。おしゃれにこだわりがあるオフィスワーカーに訴求する方針で、取り扱い店舗としてはセレクトショップやミュージアムストアなども想定している。

写真 店舗・商業施設 文具メーカー「ほたか」「カキモリ」外観
自社開発のほか、他社とのコラボで開発した様々な文具を扱う文具店「カキモリ」

現在は約20の小売店で取り扱っているほか、海外の展示会にも出展。3~4年後にはラインナップを100種類に増やしたいという。売上目標について、代表の広瀬琢磨氏は「3~4年でカキモリと同規模に成長させたい」と意気込みを語った。日本でも銀座の「 CIBONE CASE」で期間限定のポップアップを実施。日本市場での需要も見極め、国内展開も検討したいという。

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