下着づくりで培った肌触りへのこだわり生かす
下着メーカーがペット市場に参入した。2014年からレディースインナーブランド「Sheepeace(シーピース)」を展開するアウトワールド(大阪府箕面市)は、猫の身の回り品をメインとしたペットグッズブランド「Onddoka(オンデョカ)」を開発。主に首輪やベッド、フードマット、猫用おもちゃなど、ファブリックを中心としたアイテムを展開する。猫の目線で使い心地にこだわったアイテムが市場に少ない事から、下着メーカーのノウハウが生きるとみている。2月22日に公式オンラインストアで正式に販売スタートする。
キャッチコピーは「肌触りを熟知した下着メーカーが作った猫の日用品」。神戸女子大学とのコラボレーションで学生の意見を参考にブランドを開発した。猫のストレスを気にかけて首輪を着けたくないが、脱走や迷子になった時の目印にしたいと思う人をターゲットに訴求。ファッション性にもこだわり、主要な客層として30~50代女性を想定している。猫用の日用品を手掛ける個人作家との契約で少量生産を行い、月商100~200万円を目指す。
従来の下着事業は、コロナ禍の影響で在宅需要が増え、大手下着メーカーから類似アイテムが多数市場に出回り販売が伸び悩んでいた。ペット業界の関係者からの情報で、猫用の日用品市場は開拓の余地があることを知り、新たに自社の強みをペット市場に転換することを決意した。
猫の首輪は海外で大量生産されているが、人間目線での可愛さや利便性が重視され、猫の使用感への意識が薄いという課題があった。合わない首輪を着用することで毛が抜けてしまうこともある。同社は下着メーカーとして肌に直接触れる商品を展開してきたノウハウを生かし、素材や肌当たりなど、猫がノンストレスな付け心地にこだわった。インナーと同じ縫製技術と天然繊維を中心とした素材を使用。事故防止のため、一定の力を加えると外れるアジャスターの採用など安全面も意識した。
近年は室内飼い猫が多いため、首輪をつけない事も多くなっているが、災害や事故などで行方が分からなくなった際に、飼い猫の目印になることで捜索がしやすくなるメリットがある。また、殺処分までの保護期間が長くなるといった利点もあるという。
ECサイトを運営する同社は、InstagramなどWebマーケティングを中心に新ブランドの周知を行う方針。初のペット市場の参入について同社は「震災でペットの安否が分からない状況が増えている。首輪で飼い猫だと伝えることで、猫の安全につなげていきたい」と話した。