【前回コラム】広告好きな芸人が、広告から学んでいること(ハナコ・秋山寛貴)【前編】
今回の登場人物紹介
※本記事は2023年10月15日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
何のためにデッサンしてたんだ……!?
中村:そもそもハナコの結成とか、「お笑い芸人マジでやろう」とかって志したきっかけってなんだったですか。
秋山:もう小さい頃からお笑いが好きで、家族もお笑い好きだったんで、日常的にお笑いの番組、バラエティー番組も流れていましたし、そんななかで特にハマっていたのは、世代的に言うと、フジテレビの『笑う犬の生活-YARANEVA!!-』(1998年~、フジテレビ)とかですかね。スタジオコントと呼ばれる、セットを組んだなかでシチュエーションだったりキャラクターが出てきたりっていうコントが大好きで。で、それに憧れてお笑い芸人になろうかなって、岡山の高校卒業してから東京に出てきて、「ワタナベコメディスクール」というワタナベエンターテインメントがやっている養成所に入って。で、1人で入ったんで相方探そうっていうので、同期生で入ってきてた、今も相方である菊田(竜大)とコンビを組んでって感じですね。
中村:それがウエストミンスターですね。
秋山:そうです。もう何も、何も世に出なかったんですけど。3年ぐらいやって。
全員:あははは!
中村:岡山県にいたんでしょう秋山さん。
秋山:岡山県にいました。
中村:もう一念発起して、親とかに「俺はやっぱりお笑いやりたい」と「東京行く」と。
秋山:急に言いましたね。本当は美大を目指すための、普通科美術工芸コースというところにいたんですけど。そこでデッサンとかを3年間ワーッと頑張って、大学受験も進んで、18歳の最後の3月に「ごめんやっぱお笑い芸人になります」って(笑)。全て放り出して。美術部の先生が一番止めましたね、「お前あんなにデッサン頑張ってたじゃないか」みたいな。両親は比較的「うちは別にお金とかはないけど、やりたいことやりなさい」っていう感じだったんですけど。
中村:いい親御さん。
秋山:美術部の先生が一番「お前何のためにデッサンしてたんだ」って言われて。でも上京しまして、岡部(大)は同期で別のコンビで入ってて、優秀でもあってすごく活躍してたんですけども解散して、僕と菊田のコンビに入りたいと言ってきてくれてトリオになりました。それが2014年ぐらいのことですね。そこからハナコとして活動してます。
中村:なんかそんなにすんなりトリオにならなかったとかって聞きましたけど。
秋山:よくいろんなところでも話してるんですけど、菊田というのは本当に何もしないやつでして(笑)。僕がネタを書いて、当時はライブのセッティングとかも僕が頑張ってて、ライブとかで順位がつくのに出ても、ウケた時で真ん中ぐらいの順位みたいな。優勝したり入賞できないな、3年もやってきたな、周りの同期とかもちらほらテレビ出たりしてるな、ちょっとどうしようってときに、岡部が声をかけてきてくれたんで、これはもう何でもいいから新しい風をということで、僕は「ぜひ」って言ったんですけど、当時の菊田は「いやだ」と。
中村:まだ何もやってないのに?
秋山:はい。「変化が怖い」と。
全員:あはははは!
秋山:変化も何も、何の実績もないのに。菊田は自分が必要なくなるんじゃないかとか不安もあったらしくて、でも岡部は「3人でやりたい」というのがあったんで、じゃあ3人でやろうかっていうことでお試し期間とかを経て。それで3人になったらネタのウケもよくなったので、僕1人で作ってたけど相談相手の岡部もできましたし、元のコンビでも岡部はネタを書いてましたけど、お互いのネタの相性も悪くなさそうだったんで。僕が考えたことも尊重してくれるし、岡部の書いたのも「それ面白いね」とかお互いのネタを使いながらやっていってという感じですね。
中村:へえ。
秋山:ちっちゃいライブですけどすぐ優勝したんですよ。すごいウケて。そしたら菊田が「いいね!」って。
全員:はははははは!
中村:コロッと。
秋山:「これはいい!」と。
中村:いいですね、一番いいキャラですよね菊田さんね。
菊田さんを足すことで生まれる面白み
水本:菊田さんと2人のときはどういうネタをやられてたんですか?
秋山:ポップじゃなかったんですよね、ちょっとシュールというか。説明しても面白くないですけど、「ガチャガチャ集めてるんだ」って言ったら中身を捨ててガワ集めてるやつとか、何かそういう変なキャラをやらせてたり。あとはゲームセンターのマシンを菊田にやらせて、僕がそれを攻略していくさまとか。何回も100円入れてトライしていくみたいな。
中村:やっぱ2人のときの「こういうのでウケたらいいな」っていう戦略と、3人になってからだとかなり違うんじゃないですか?どういうふうに変わったのかなと思って。
秋山:そうですね。コンビの頃って最初は本当に全然ウケなかったんですけど、ある時からちょっとウケるようにはなってきたんですよ。そのきっかけになったのは、設定というよりは当て書きとかになると思うんですけど、菊田をどう使おうかなって悩んでたときに、簡単なことをやらせようってなって、それこそさっきのゲームセンターのマシンだとか、規則のある動きをさせるとか、曲を1曲歌ってるだけで済むとか。「どちらにしようかな、天の神様の言う通り」があるじゃないですか。子どもたちがよくやるやつ。あれの続きがあるみたいなネタで、「どちらにしようかな、天の神様の言う通り、デッデッデッデン、走る街を見下ろして〜♪(『歩いて帰ろう』/斉藤和義)」みたいな。「え、お前の地元だと斉藤和義をそこで歌うの?」みたいなネタがあって。それにずっと僕が横でツッコミ続けるみたいなコントがあったりだとか。その方がウケ出したんですよ。
澤本:なるほど。
秋山:菊田にはひとつのことをやらせるというか、もうレールに乗せてしまえば走っていくので。僕は横で困ったりツッコんだりするっていう形を最後の方には見つけてたんですけど、でもそこ止まりで。今思えば、いいけどちょっともったいない使い方というか。トリオになったら設定の出し方変わるかなと思ったんですけど、僕も岡部も元々コンビのネタを書いてたので、変わらずコンビのネタ作りをして、ある程度僕と岡部で成り立ってるところに「菊田は出てない……」みたいなことで。
全員:はははは。
秋山:菊田を足すという作業をやっていくと、菊田がワンポイント起用みたいにちょっとしか出なくてそれが面白さになったり、僕と岡部だとまとまりすぎるところを壊すというか、崩しの要素に菊田がなったりだとかで、ちょっとネタが変わってきたという感じがありますね。本当は3人の人間関係とかでちゃんと作るんでしょうけど。僕らはそんな綺麗にはできてないことがほとんどで、3人だからこその設定ももちろんたまには生まれるんですけど。
中村:ちなみにハナコファンとかからすると、コントの展開を見て「これは秋山さんだろうな」「これは岡部さんだろうな」ってわかるもんなんですか。
秋山:言われたりはします。お客さんにも言われますし、菊田にも言われます。
全員:あははははは!
中村:菊田さん知らないんだ。
秋山:「これはどっち?」みたいな。「あー、そっちっぽいね」みたいなのは言ったりしてて。それが当たってたり当たってなかったりするんですけど、でも違いますね。やっぱ違いは出ます。
中村:どんな感じなんですか?
秋山:岡部の方がはっきりと結構わかりやすい、ベタでポップで笑いやすいものを書いてくれたりとか。僕は結構シチュエーションというか、自分自身でもやってみなけりゃ面白いんだかわかんないみたいな。今回の単独ライブで言うと「自分の父親に弟子がいたら気持ち悪いと思うんだよね」っていう提案を僕がして、そこから広げてくんですけど、そういうなんか嫌な空気を作ったりする方が好きかもしれないです。
中村:なるほど。それは、はじめての感情かもしんないっすね。自分の父親に弟子がいたら。
澤本:あれ面白かったな。
秋山:ありがとうございます。
アイデアを思いつく方法、教えてください!
中村:これ結構作家さんとかにも聞くんですけど、そしてもしかしたら愚問かもしれないですけど、ネタを思い浮かぶのってどんなときが多いんですか。
秋山:これってすごい僕興味あるんですけど、何かをクリエイティブされてる方って皆さん方程式をちゃんと持ってるんですか?これってよく聞かれるんですけど、なんでこんなに答えが見つからないんだろうっていうくらい「こうやって作ってます」っていうのが出てこなくて。それ知ってたらそれやるよみたいな。いつも苦しんでしまうというか、どうしても作りたいときに決まった作り方が見つからなくて。
中村:じゃあ何となく時間に追われて。
秋山:そうです。時間に追われて、何とか出たものをやっていることの繰り返しに感じてしまうんですけど。
中村:これはじゃあ……。
澤本:まず水本から。
全員:あははは。
水本:いやいやいや。
秋山:すごく興味あります。
中村:水本くんはどういうときにアイデアが浮かぶんですか。
水本:僕も結構時間に追い込まれて、30分後に打ち合わせが始まってしまう、何か持っていかないといけないみたいな感じで。で、自分では何が面白いかわかってない状態のものをとりあえずメモでもいいんで持っていって、チームのみんなが「いいじゃん」って反応してくれて、「あ、これがいいんだ」って気付くみたいな。なんか自分で「おもろいぞ、これ」とか、「いいコピー書けた!」みたいに持っていくものほど、なんかそんなにだったりとかするので、人の意見をすごく大事にしてて、そこで何か伸ばしやすいものを探してもらうす方が多いので、なかなか発想法みたいなのは難しいなと思いますね。自分のなかにすごい表現したいものがあるっていうタイプではないので、「今回のお題がこれだから、こうした方がいいんじゃないか」とか、そういう頭で考えて持っていくことが多いかもしれない。
中村:なるほど。じゃあ、澤本大先生は。
澤本:それすごい悩みでさ。ベースはおっしゃった通りで、締め切りなんですよ。締め切り直前になんないと、書けないというよりは、書いたものがつまらないんじゃないかっていう恐怖心があるんですよ。でも多分もっと時間があったら書けないんですよね。で、持って行ったら「あれ意外とみんな喜んでくれた」ってものとかの方が良かったりして。「これすげえいいの考えた」って形にちゃんとしちゃうと、何かそうでもないなっていうのと。あと多分皆さんが持ってない恐怖としては、自分の過去経験からやっちゃってんじゃないかなっていう。
中村:自己模倣的な?
澤本:そうそう。自己模倣してるんじゃないかなってことにすごく囚われるんです。これって急に思いついたように見えるけど、前にあったこれからも模倣しているだけであって、さほど面白くないんじゃないかとか、結局俺はここから永遠に抜けれてないじゃないかとかって思うと、とても暗い気持ちになります。
全員:あははは!
中村:暗い気持ちになる必要はないですし、まあもう自己模倣だらけですけどね、みんな。
澤本:でもね、なくはないんじゃないかな。ある種の手段はあるような気がしてて、なんかずっと何かやらなきゃっていう状態で、逃避でNetflixとか見て、全然違うものに触れると、「あれ、今この内容と全然違うけど、これいいんじゃないかな」って思って、そこで見るのやめて書くとか。それは何でしょうね、多分ある種の刺激がないとそっから先にいかないんですよ。なんか脳を働かせるのに薪をくべる役をNetflixとかにしてもらってるっていう気はしますけどね。
秋山:まさに今回単独公演のネタ出しに行き詰まって、もう締め切りが目前に迫って、先輩芸人とかに相談したら「そういうときはもう腹をくくってインプットだ」って言われて。やっぱりそういうときこそ何かを見てる時間が勿体なくて焦ってしまうんですけど、もう藁にもすがる思いでそれを信じて、『VIVANT』(2023年、TBS)見て、そしたら1本思いついてとかはありました。多分偶然でしょうけど。
中村:でもそうらしいんですよ。わりと広告業界では有名な本があって、ジェームズ W.ヤングさんって人が書いた『アイデアのつくり方』(1988年、CCCメディアハウス)って薄い本があるんですよ。すんげえ薄いながらアイデアの作り方が書かれてるんですけど。そこにも基本的には同じようなこと書かれてて。出したいアイデアの方向に関して、まずめちゃくちゃ研究して調べろと。で、調べたあと一旦忘れろと。一旦忘れて全然別のことやって、あとは降りてくるの待ちで。すると脳のなかで勝手に咀嚼というかバリバリその情報を食べて、自分のなかでいい感じに棚が整理されていって、関係ないときにビョーンってくっついて、アイディアは降ってくるのである、みたいな。
秋山:まず材料を入れるんですね。
中村:そうそう。ちなみに秋山さんはわりと何か思いついて、「これもしかしたらめちゃくちゃ面白くなるかも」みたいなことが多いタイプなのか、それよりある程度作ってみんなで演じて動いてみたら「これめちゃくちゃウケた」みたいなのだとどっちが多いタイプですか?
秋山:やってみるまではそこまで自信がないですかね。やってみるっていうのは相方と読んだときにちょっと最初の手応えのようなものを感じるというか、ああ伝わってるなとか。あと相方が動いてるのを見て僕も自信がついてきたり「やっぱりこれは面白そうだぞ」とか。そこから固まっていくんで、アクションを見ていく時間はありますね。
澤本:この間の「はじめての感情」とかも含めて何公演かあるじゃないですか。そのときって、1公演目から2公演目とかやりながら、どんどん変わっていきます?
秋山:はい、すごく変えました。終わった後に映像をいただいたりして。ものすごく細かい話になりますけど、先ほどの自分の父親に弟子ができてるコントって、久々に実家に帰ったら、自分の父親の他に見知らぬおじさんがいて、それが弟子だっていうコントなんですけど、「お前が使ってた部屋、その弟子のおじさんが使ってるぞ」っていうくだりがあるんですよ。「だから今日お前はあのおじさんと一緒に寝てくれ」みたいな。で、「やだよ」ってなって。で、そのおじさんが気の遣える弟子で、僕のこと坊ちゃんの坊で、坊って呼ぶんですけど、「いや坊はご自身の部屋で寝てください。私は今日は家に帰りますので」「いやお前家あるんかい」みたいな会話がありつつ、その後父親が少し時間をおくと「やっぱりあいつがお前の部屋で寝て、お前があいつの家に行ってくれないか」って僕がなぜか知らないおじさんの家に飛ばされそうになるっていう場面があって、すごい笑ったんですよ稽古中に。
澤本:うん。
秋山:稽古中に、「これはいいぞ」「これは何か面白いセリフになってきたぞ」ってなってて、それで1公演目でやったら、ちょっと言い方とかも悪かったのかもしれないですけど、そんなに笑いがこなくて、「ここ面白いから何とか伝えたいんだけどな」みたいなどうにかしなきゃっていうのを念頭に置きながら2回目になって。何となく僕やりがちなんですけどセリフを忘れようとするんですよ、演技が下手なので。リアクターになることが多いのもあって、そのコントになるべく入って思ったことを言いたいなとか、目の前の相方のこともそうですし、「今ここ公園か」とか思うと周りの情景のこと言いたくなったら言ってみたり、ていうのを探り探りやるんですよね。で、その弟子のコントもやっぱり「あいつがお前の部屋で寝て、お前があいつの家行ってもらっていいか?」のあとに「え、なんで?え、なんて言ったかわかる?」って言葉が出たんですよ。そしたらウケて。もう一度お父さんが復唱するくだりが生まれて、しっかり伝わったので、「これはもう台本に入れましょう」みたいなことがあって。たまたまうまくいったパターンなんですけど。
中村:へえ。面白い。
秋山:いろいろ言ってみるっていうのはありますね。本番で。僕はそれができる役回りなことが多いので、本当の感想をなるべく述べる。自分で台本用意してるんですけど。
水本:僕2日目の夜公演見に行きましたけど、そのとき岡部さん笑っちゃってました。
全員:あははは。
秋山:それもあります。相方笑わせたいっていうのもあるので、なるべく自然に思ったこと言ってみるとか。
水本:秋山さんから「なんて言ったかわかってる?」って言われた後に、って岡部さんがもう1回そのセリフを言い始めるのですが言って、自分が言っている訳のわからんセリフことに自分で笑ってしまっていました。それも込みですごいウケてて。
秋山:ああなってくると最高ですね。
水本:お客さんとも一体感が生まれてました。
中村:演劇的ですね。
秋山:その要素もコントなんであるのかもしんないですね。
映像のコントだからこそできること
中村:ライブのコントと、テレビのコントってやっぱり変わります?
秋山:そうですね。まだまだ本当に勉強中なんですけど、スタジオコントとか映像のコントだと、顔でツッコめるとかがすごく僕は楽しくて。舞台だとやっぱり何かおかしいことがあったらセリフで発した方が伝わるじゃないですか。でも映像だとカメラのスイッチングのおかげで、眉一つ上げるだけで一番面白くなったりとか、そういうのがすごい好きで。どんどんやっていきたいんですけど、なかなか若手ってそういう機会を得ることが少ないんで、でもそっちもできるようになりたいっていうか、どっちもやりたいですけども。
澤本:映像のコントって、ライブの中継的なことではなく映像としてちゃんと撮りまくって、顔の表情も含めて全体が構成されてるっていう。
秋山:はい。
澤本:それでむちゃくちゃ編集したら面白くなりますよね。
秋山:いやそうなんですよ。
水本:伸び代めっちゃありますよね、編集とカメラ次第。
秋山:そうなんですよ。ただ、大変だという。1分2分のコントを撮るのににたくさん時間がかかってしまうのであんまりできないんですけど。
水本:『キングオブコントの会』(TBS)とかね。
秋山:はい。歴代王者の。
水本:去年のネタも面白かったです。
秋山:去年はサスペンスドラマ、探偵もののベタな金田一とかみたいな。「このなかに犯人がいます」って言って、そこに泊まってる宿泊者の顔が順番にアップが出る。あれを面白がりたくて。洋館ではなくて、都心のビジネスホテルみたいなエレベーターと細長い廊下があるだけのところに宿泊者を集めて、「このなかに犯人がいる」って言ったあとに1人ずつのアップを撮っていくんですけど、そのアップの後ろに必ず他の人の顔が2、3個見切れているっていうのをやりたくて。でもそんなのってやっぱそれぐらいのチームと機会を与えていただかないとできなくて。
澤本:そうですよね。
秋山:もう肩ぶん回しながら作りました。
中村:面白そう。
澤本:結構昔の話なんですけど、僕の大学の授業にフジテレビに以前いらっしゃった横澤(彪)さんっていうお笑い系のプロデューサーの人が来てくれていて、その頃漫才ブームで、『THE MANZAI』(フジテレビ)が始まったときなんですけど、なんでそのブームが起こったかをその方が授業で話してくれていて。「それは編集だ」って言われたんですよ。それまでは漫才って編集してなくてただ撮りっぱなしだったんだけど、そんときにはじめて漫才の間を全部つまんだんですって。だからすごくスピード感が出て、そのスピード感が若者に受けたきっかけだよっていう話があって、「あ、編集するんだ」って思ったんですね。全員が編集かどうかはわかんないけど、そういうテンポ感が当時の若者たちにウケたと。だから多分、その生理的な感覚はテレビの編集の方が作ったっていうことなんですよね。それって多分もう時間を切るだけですけど、もっとね、映像的に頑張ったりできればもっともっと面白くなりますよね。
中村:ひな壇芸人とかも、スピード感とか編集点を作ることによって、フリからオチまでの回数を同じ尺のバラエティー番組中でいかに増やすかみたいな、そのスピードを上げてるって一説にありましたけどね。プロデューサーとかが言ってました。
秋山:へえ〜。めちゃくちゃいい授業みたいな内容でした。
中村:いえいえ、余計なことを。ちょっといろいろまだ話は尽きないんですが、残念なことにお別れの時間が近づいております。最後に秋山さん今後のご予定などということで、まず毎週火曜日深夜1時56分から、テレビ朝日で『妄想ハナコ』レギュラー放送中。
秋山:はい。いろいろな企画をやっているハナコの冠番組がありますので、ぜひ見てください。
中村:それとYouTubeで、映像コント企画「WEEKEND BUDDY」っていうのもアップしてると。
秋山:これは毎週金曜日にアップしてますので、週末にコント1本見ていただきたいなという意味で。
中村:それと、なんと『小説 野生時代』(KADOKAWA)にてエッセイも書いておられると。
秋山:はい。エッセイも書いていて、細々いろいろやらせてもらってるんですけど。あと『#秋山動物園』(朝日新聞出版)というイラスト集も出したりとか。イラストが趣味で。
中村:ちょっとしか見れてないですけど、やっぱりめっちゃうまいですね。
秋山:ありがとうございます。
中村:だから高校の教師も美大受験しないのを止める理由がわかります。
秋山:いえいえいえ、その時はもう全然だったんですけども。なんかああいう簡単なイラストを書くのはすごく好きで。あと、ラジオを1人でパーソナリティもやってますんで、そこもすごい貴重な、ゆっくり僕が話したいことや話したい方と会える場所なんで、よければ皆さんいつか来てください。そちらでも。話足りません。
澤本:見学に行きます。
全員:あははは。
秋山:マイクの前に座ってください。
中村:今夜のゲストはハナコの秋山寛貴さんと、スーパークリエイター、若きホープ、クリエイティブディレクターの水本くんでした。ありがとうございました。
水本・秋山:ありがとうございました。