「届いてほしいものが届いたかな」
2023年度のTCC賞授賞式と『コピー年鑑2023』発刊記念パーティが1月26日、東京都渋谷区のウェスティンホテル東京で開かれた。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員や受賞作品の広告主など、約440人が来場した。
今回受賞したのは、TCCグランプリとTCC賞が15作品、審査委員長賞2作品、最高新人賞と新人賞が18人。制作に携わったコピーライターがそれぞれ壇上で記念のトロフィーを受け取った。
日本マクドナルド「ビッグマック」のCMでTCCグランプリを受賞した麻生哲朗氏(TUGBOAT)は壇上であいさつし、「今年の受賞は、(最高新人賞の)波間さんはお米(青天の霹靂)、僕はハンバーガーと、食べものだった。僕たちはこの3年ほど、コロナとどう向き合うかで苦しんだけど、一旦落ち着いて、『ごはんを食べようよ』というタイミングなのかもしれない。そういう意味で(受賞は)幸運だった」と振り返った。
また、CM放映開始後に両親がビッグマックの空箱を撮って写真を送ってきたというエピソードについて触れ、「届いてほしいものが届いたのかなと思った。また、今回の受賞でTCC会員から肩を叩いてもらった気持ちです」と謝辞を述べた。
「自分自身が問われ、毎回緊張する仕事」
青森県のブランド米「青天の霹靂」で最高新人賞を受賞した波間知良子氏(サン・アド)は、「このブランドとともに自分も成長してきた。自由奔放に見えるかもしれないが、自分自身が問われ、毎回緊張する仕事。素晴らしいチームに感謝したい」と喜びを表した。
続いてHALL OF FAME 顕彰式が行われ、「殿堂入り」に選ばれた一倉宏氏は「若いころから憧れていたTCCで、殿堂に入れていただく日が来るとは。うれしい気持ちで一杯です」とあいさつ。祝辞に立ったアートディレクターの葛西薫氏は「一倉さんのコピーに、何度『イチコロ』になったことか」と述べ会場を沸かせた。
コピー年鑑の裏テーマは「溶岩」
会場を移して行われた『コピー年鑑2023』発刊記念パーティでは、今年度の編集委員長を務めた麻生哲朗氏とアートディレクターを務めた関戸貴美子氏(電通)がそれぞれ今年のコピー年鑑について説明した。
麻生氏は、「広告の言葉はもともと開かれているもの。言葉がしっかり読める年鑑に向き合うことが、コピーライターにとって一番自由な学びではないかと考え、極力シンプルな年鑑を目指しました。審査委員の選評は、はっきりと推せるものに絞り、なぜ選んだのか、どんな点が良いと考えるのかをそれなりの分量で書いてもらいました。その分、読み応えのある年鑑ができました。コピーが好きで、ここから何かを読み取りたいと思っている人には良い年鑑になったのでは」とコメント。
また、「関戸さんには、『何度でも読み込みたくなる、書き込みたくなるような、また使えば使うほどその人なりの味が出るような年鑑にしたい』と伝えました」と述べた。
続けて関戸氏は「麻生さんと会話していく中で、凛とした、堂々とした年鑑にしたいと思いました。これまでの仕事で、コピーライターの熱いエネルギーや、コピーによって絵が花開くような瞬間に出会うことが多くありました。なかなか表出することのないコピーライターのエネルギーを、ぎゅっと閉じ込めたものにしたい。裏テーマは溶岩と設定しました。黒い塊のような年鑑ですが、開けるとぱっと赤色のページが現れます」と年鑑のアートディレクションについて紹介した。
『コピー年鑑2023』は2月26日に発売。現在予約注文を受け付けている。