レンゴー デザイン・マーケティングセンター担当部長代理兼課長の岡野香織氏が「宣伝会議マーケティングサミット2023」に登壇した。岡野氏は「6つの事例で解説~パッケージを活用したマーケティング戦略」とし、最新技術を活用したパッケージの可能性について語った。
「段ボールメーカーがなぜマーケティング?」の疑問に答える
レンゴーは日本で初めて段ボールを製造販売した「段ボール」の名付け親であり、今なお、国内シェアトップを誇る企業だ。同社のデザイン・マーケティングセンターでは、段ボールのデザインだけではなくマーケティングの視点から商品づくりをサポート。商品パッケージや、商品そのものについても提案している。
2019年には紙幅2,200mmのデジタル印刷機を導入。段ボールに美粧性が高い印刷やバリアブル印刷が実現可能となった。レンゴーではデジタル印刷で作ったパッケージを「デジパケ」と呼ぶ。その特徴は、物流の梱包材に、販促ツールとしても使用できる価値が加わった点にある。たとえばあるメーカーでは、期間限定の菓子を発売する際、従来の商品名とコードのみを印刷した茶色い段ボールから、商品パッケージと連動したデザインを採用。結果、段ボールから商品を取り出して陳列されるのではなく、段ボールのまま店頭に並び、商品訴求力がアップ。売上の大幅増につながったという。
「『デジパケ』によって視認性が高まり、そのまま販促ボードとしても利用できる。店舗側に販促効果の高い売場づくりを促す効果がある」(岡野氏)
独自調査で判明したのは
「デジパケ」が活躍するのは小売店頭だけではない。レンゴーがEC利用者500人を対象に実施した調査では、ECサイトで購入した商品が、きちんとデザインされた段ボールで届くと買い物の満足度が高まると回答した人が約6割に上った。なかには「『自分の買い物が正しかった』と確信する」といった声もあった。
また、約7割が「デザインされた段ボールには『丁寧な会社』という印象を受け好感度が上がる」と回答。岡野氏は「パッケージの存在は単純に中身を守って届ければいいということではない」と話す。
「ECサイトでの購買は、商品との出会いからスタートする。悩んだあとに購入を決意し、注文。その後、2~3日は商品の到着を待つ時間がある。そしてようやく商品が届き、受け取った段ボールを開け、商品と対面する…。調査の結果『中身を見た瞬間』よりも『段ボールを受け取った瞬間』のほうが期待値は高いことがわかった。通販において段ボールは消費者との最初のタッチポイントとなり、ワクワク感や満足感を最大化できる」(岡野氏)
ブランドのロイヤリティを高めるツール
あるスニーカーブランドは、毎年ブランドを象徴する⾊をテーマとしたキャンペーンを実施し同キャンペーンのパッケージに「デジパケ」を採⽤。パッケージの外側にはブランドロゴを、内側にはブランドヒストリーを印刷した。受け取った人からは「スペシャルボックスで届いてテンションが上がった」「ブランドヒストリーを知れてより愛着が沸いた」という好意的な声がSNSに寄せられたという。
ほかにも、「デジパケ」の精巧な印刷技術を用いることで、アニメ作品などとのコラボパッケージの印刷も可能になり、これまでにない新規の客層を取り込むことに成功した事例もあるという。
「段ボールはもはや商品を守って運ぶ輸送箱だけの役割ではなく、売り場をつくり、顧客に新たな体験価値を届けるプロモーションツール。販売促進施策から、購入者のブランド体験の向上まで、段ボールはメディアとしての可能性を秘めている」(岡野氏)
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