武田薬品工業は2024年1月から、「世界に尽くせ、タケダ。ってナンダ?」をテーマにした交通広告を東京・大阪で展開した。
同社では2021 年の創業240周年を機に「世界に尽くせ、タケダ。 革新的に。誠実に。」を軸とした企業ブランディングを進めてきたが、今回の施策はより事業の認知や理解を深めてもらうことが目的。
読み手視点の「ナンダ?」というフレーズを用いた42種のコピーとファクトに基づくビジュアルで表現している。2024年1 月から受け皿となるオウンドメディアの内容も整理した。
オウンドメディアも「ナンダ?」仕様に
武田薬品工業が博報堂とともに2021 年から継続してきた企業ブランド広告「世界に尽くせ、タケダ。革新的に。誠実に。」は、医療従事者をはじめとしたステークホルダーのレピュテーション維持や意識変革を目的としている。
2 年間の定点調査によれば、事業やコピーの認知度は大きく向上。一方で、「事業内容の理解を深めたい」という課題も見えてきた。
2021 年のキャンペーン開始と同時に立ち上げたオウンドメディアが事業の詳細を伝える役割を担ってきたことから、今回は「オウンドメディアのコンテンツへの誘導強化」を目的に設定。同社でブランディングプロジェクトを統括する金澤佑紀氏は「2 年間の運用で、オウンドメディアには50 以上の多様なコンテンツが資産として溜まっている状態でした」と話す。
とはいえ、オウンドメディアは企業の一方的な発信となりがちだ。そこで博報堂から「話法を変え、主語を企業から受け手側に変えてはどうか」と提案。こうして生まれたのが受け手目線の「ナンダ?」というフレーズだ。
「僕自身も2 年間ブランディングに携わる中で、製薬企業なのにこんな事業もやっているの?という驚きをたくさん感じていたので、その感覚をそのままコピーにしたんです」(博報堂 アートディレクター 谷一和志氏)。
革新的なファクトを実直に表現
今回の施策にあたり、2023 年12 月から順次オウンドメディアを刷新。既存のコンテンツはそのままに、「タケダが航空会社と組む理由ってナンダ?」「創薬を強くする多様性ってナンダ?」など、各記事を全て「ナンダ?」を含むタイトルに掛け替えていった。サイト内のカテゴリもサイエンス・働き方・環境・経営論・CSR の5 つに関する「ナンダ?」で整理している。
2024年1月から東京・大阪で展開した交通広告はこれらをベースに42種のコピーを用意した。「全て実際の事業、働き方などのファクトをリスト化し、タケダのプロジェクトチームの皆さんと100件ほどの案から絞り込んでいきました」(谷一氏)。
広告のビジュアルはピンク色の薬品に目を向ける従業員、人の腕のように動くロボットなど、文字通り「ナンダ?」と気になるシーンが多い。いずれも実際の事業や研究開発の現場のリアルを映し出した。
「広告全体で、タケダが持つ革新的なファクトを実直に表現することを大切にしました。過度な演出はせず、出演も全て従業員の方たちです。一部撮り下ろしもありますが、この2 年で制作したCM などの素材も使っています」(谷一氏)。
「?」をアイコンとして配置し、下部を二次元コードにすることでオウンドメディアへの直接的な誘導も図っている。
掲出場所に合わせてグラフィックデザインを変更
広告は1月15日から21日まで表参道駅、1月29日から2月4日まで大阪駅に掲出した。場所によってグラフィックのパターンも変えている。
「表参道駅は構内がコンパクトなので広告を密にしてジャック感を出しました。大阪駅は広告と歩行者との距離があるため、奥行きがあって押し出しが強いデザインにしています」(谷一氏)。
東京本社がある三越前駅、大阪本社がある淀屋橋駅でも2 月1日から約1カ月にわたり掲出。いずれも従業員のエンゲージメント向上が目的だ。
「連動して、社内のイントラネットでは『みんなが思うタケダってナンダ?』という声を募る企画も実施し、多くのコメントが集まっているところ。社内外で手応えを感じています」(金澤氏)。
スタッフリスト
- 共通
- 企画制作
- 博報堂、Hakuhodo DY Matrix
- CD+C
- 漆谷浩
- AD+企画+C
- 谷一和志
- 企画+C
- 蜂矢一行
- C(ブランドスローガン)
- 木村透
- GR
- 制作
- TANPOPO+foton+博報堂プロダクツ+日光プロセス
- D
- 土肥純一朗
- Pr
- 田代智裕
- PM
- 廣島あかり
- 撮影
- 皆川聡
- レタッチ
- 福井修、伊藤亮
- 印刷
- 川端孝一郎
- 掲出
- 東京メトロ表参道駅(1/15~1/21)、JR 大阪駅(1/29~2/4)、東京メトロ三越前駅(2/1~2/29)、OsakaMetro 淀屋橋駅(2/1~2/29)
- サイネージ
- 制作
- TYO
- Pr
- 古関友朗
- 演出+アニメーション
- 遠藤良太