生体販売を行わないペットショップ 保護犬や保護猫をホログラムで投影、ペットフェリーチェ

ペットの衝動買いや売れ残りを減らす

保護犬や保護猫の譲渡活動を実施している「ペットフェリーチェ(petfelice)」は、生体販売を行わず、犬や猫のホログラムを投影する「ペットのいないペットショップ」を2月22~23日の2日間オープンした。場所は代官山アドレス(東京・渋谷)。ペットショップでの生体販売は購入者の衝動買いを促し、飼育放棄につながるなどの課題がある。今回の取り組みで多くの人に課題を知ってもらうほか、ペットの購入希望者に保護犬・保護猫の里親になるという選択肢があることを周知したい考えだ。

写真 店舗・商業施設 ペットのいないペットショップ
生体販売を行わない「ペットのいないペットショップ」

店内では4つのケージの中で保護犬や保護猫のホログラムを投影。ホログラムはペットフェリーチェが飼育している保護犬や保護猫を実際に撮影した録画映像を使用しており、まるで生きているかのように動く。ケージの上部に設置されたプロジェクターの映像を反射させることで正面から犬や猫が見えるようになっている。

今回の取り組みでは合計12匹の犬や猫を公開し、ケージ1つにつき3匹のホログラムを順番に投影した。ケージの上には犬や猫の名前や生年月日などの情報のほか、より詳しい情報を見ることができる二次元コードも記載。気に入った犬や猫は、ペットフェリーチェに連絡することで面会でき、里親面談を行うことで引き取ることができる。

写真 店舗・商業施設 ペットのいないペットショップ
あらかじめ録画した映像を元に作成したホログラムをケージ内で投影

今回の取り組みは広告会社のBBDO JAPAN(東京・中央)が企画。同社はペット関連企業とも取引があり、社内でペットの問題解決に寄与する企画を発案し、ペットフェリーチェに提案した。ペットフェリーチェもペットショップの生体販売の課題解決や、保護犬や保護猫の存在を広く周知するために協力することとなった。BBDO JAPANプランニングディレクターの多木裕晶氏は、将来的には常設店も視野に入れ「未来のモデルケースにしたい」と意気込みを語った。

ペットフェリーチェは、ブリーダーから繁殖を引退した犬や猫のほか、飼い主の都合で買えなくなったペットを引き取り、里親を希望する人に譲渡する活動を実施している。月に1~2頭を保護しており、現在は保護犬約40頭、保護猫約10頭を飼育。ペットのトリミングやしつけトレーニングなどのサービスで収益を得ており、ペットの売買などは実施していない。保護犬や保護猫の健康診断やワクチンなどは譲渡した際の寄付金を使用している。

ペットショップでは生体販売が一般的。生きている動物を狭いケージに入れることで健康を阻害したり、衝動買いを促したりするなどの問題が指摘されている。動物愛護法などペットショップに関する法規制が進んでおり、2012年の改正ではペットショップの売れ残りの持ち込みを保健所が拒否できるようになった。2019年にも改正され、マイクロチップ登録の義務化や従業員1人当たりの飼育頭数の制限などが盛り込まれた。

ペットフェリーチェは今回の販売形態が普及すれば、犬や猫が多くの来店客の目に晒されずに済み、ストレス軽減にもつながるとみている。同社スタッフは「保護犬や保護猫を迎えることのすばらしさを知ってもらい、ペットを飼育する人の意識改革につながってほしい」と話した。

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