材料価格の高騰に伴い、値上げの判断に悩む飲食業界。家計への逆風が吹き荒れる中、一般消費者はその趨勢をどのように見守り、行動しているのだろうか。特にファミリー層から厚く支持され、焼肉チェーンで業界トップを走る食べ放題スタイルの「焼肉きんぐ」は、2023年3月に値上げに踏み切った。その際のプライシング戦略や消費者の反応はいかなるものだったのか。同チェーンを運営する物語コーポレーション 焼肉事業部事業部長の山口学氏に話を聞いた。
※本記事は、月刊『宣伝会議』4月号の巻頭特集に掲載されています。
物語コーポレーション
焼肉事業部事業部長
山口 学氏
1982年神奈川県生まれ、法政大学卒業。2010年に物語コーポレーションへ入社後、「焼肉きんぐ」へ配属。店長、エリアマネージャーと昇格し、本社の成長戦略室も経験。現在、焼肉事業部の事業部長を務める
アラカルトスタイルから食べ放題への業態転換
ファミリー層をターゲットにした大型店舗スタイルの焼肉チェーン「焼肉きんぐ」。郊外を中心に出店を続け、いまでは全国に318店舗を展開している。
「焼肉きんぐ」の食べ放題は、「テーブルオーダーバイキング」と呼ばれる形式を取っており、タッチパネルで注文した商品をスタッフがテーブルまで運ぶのが特徴だ。売上高においても焼肉業界で1位(業界動向サーチ調べ 2022-2023年)となった「焼肉きんぐ」オープンの背景について、物語コーポレーション 焼肉事業部事業部長の山口学氏は次のように話す。
「同ブランドの前身は『焼肉きんぐ』と同じ郊外の大箱店舗で、単品アラカルト注文スタイルの焼肉店、『焼肉一番カルビ』です。1995年に1店舗目をオープンし、好調な売上を維持していましたが、2000年代前半にBSE(牛海綿状脳症)が流行したことで勢いが削がれていった。そうした状況を打破すべく開発したのが、焼肉食べ放題という業態でした」(山口氏)。
以前の単品注文スタイルでは、予算を気にしなければいけないことが来店客のネックだった。そこで、家族の楽しい食事をより充実させる「食べ放題店」へと業態転換を図ったことで、以前より繁盛するようになったのだという。
7割以上の来店客が注文する、真ん中の「きんぐコース」
現在、「焼肉きんぐ」で展開されているのは、ランチコースをのぞいた3コース。2023年3月に値上げをし、税抜価格で2780円(2680円)、3180円(2980円)、3980円(据え置き)というラインナップだ(カッコ内は価格改定前の料金)※。
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