藤本壮介さん
1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年藤本壮介建築設計事務所を設立。2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞(ラルブル・ブラン)に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。国内では、2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーに就任。主な作品に、ブダペストのHouse of Music (2021年)、白井屋ホテル(2020年)、L’ArbreBlanc (2019 年)、House NA(2011年)、武蔵野美術大学 美術館・図書館 (2010年) 等がある。
Q 「大阪・関西万博」での会場デザインプロデューサーに任命された時は、どのような気持ちでしたか。
今の時代に万博を開催することがふさわしいのかなと、最初は懐疑的でしたね。やるなら心底納得したいと思い、1970年の大阪万博はどうだったのか調べてみたんです。会場デザインは丹下健三さんが設計を手掛けて、シンボルにはあの有名な岡本太郎さんの『太陽の塔』があって。
その他にも、たくさんの若い建築家やアーティストが参加し、その後の日本をリードしていくような活躍ぶりを見せた。当時は見たこともないようなものばかりが展示されていて未来にワクワクしたけれど、情報社会の今は最先端のものはすぐに共有されます。それでも、世界中の人やモノがリアルに集まること自体がすごく貴重な機会なのではないかと、思い直したんです。
Q 「大阪・関西万博」の会場の象徴的なリングはどのような想いで設計されたのでしょうか。
デザインの着想までに少し時間をかけていろいろ構想を練りました。何もない現地に足を運んでみると、広大な土地の隣には海、そして見上げれば空があり、雲が流れていて。その景色を見たら、この大きな空には敵わないなと感じて、この空を主役にした会場デザインがいいなと思ったんです。
この大屋根によって、空が丸く切り取られて、もう一つの地球が浮いているように見える。一つの空をみんなが見上げている風景をつくりたかった。どこまでも広がる空は世界中つながっていて、皆がその光景を共有できる。これってすごくシンボリックだなと思って、デザインコンセプトに決めました。
藤本壮介のインタビュー記事は、月刊『宣伝会議』2024年4月号に掲載。
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