アース製薬は2023年11月、同社の掃除用品ブランド「らくハピ」のブランドコンセプトを伝えるジングルを制作。SNS 上のキャンペーンで活用し、今後もさまざまな施策で使っていく考えだ。まだ認知が低いブランド名を浸透させるため、サウンドの力をどのように取り入れたのか。
※本記事は月刊『ブレーン』2024年4月号「広告に物語を描き出す 『音楽』の力と効果」特集に掲載している内容から抜粋しています。
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コンセプト伝えるシンプルなジングルに
アース製薬といえばテレビCMを締めくくる「アース♪」というサウンドロゴ、「モンダミン」ブランドのテレビCMでおなじみの「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」のフレーズなど、音を効果的に活用してきた企業でもある。
そんな同社が今回新たに「らくハピ」ブランドのジングルを制作した。2023年 11月から実施したSNS上のキャンペーンでも使用されている。家事や生活用品に詳しいインフルエンサーによる商品紹介動画の最後にジングルとアニメーションが流れる構成だ。
制作は「たらこキユーピー」などのCMソングで知られる音楽制作会社の青空が担当した。「お掃除は~」という子どもの元気なかけ声の後、大人の「らくしてハッピー『らくハピ』♪」という歌声が重なるジングルからは、掃除を楽しむ家族の雰囲気が伝わってくる。
「らくハピ」は「らくしてハッピー」がコンセプトの掃除用品ブランド。浴槽洗浄剤やエアコン用洗浄スプレーなど約 20商品を展開しているが、ブランド認知度が低いことが課題だった。ファミリー層を中心に幅広く購入されていることから、今回のジングルはターゲットを絞らずに制作した。
オリエンでは、「ブランドコンセプトがシンプルに伝わるよう、一度聴いただけで覚えられるような耳に残るジングルを制作してほしい」と依頼した。同社のマーケティング総合企画本部 三好里奈さんは「『お掃除がらくになる』ということがしっかり伝わるようお願いしました」と説明する。
青空のプロデューサー、野口時男さんは2人の作曲家に依頼。毛色の違ったメロディーを数パターン提出した。「耳に残るといってもたくさんの切り口があります。どこにでもいそうな幸せな家族の歌声に聞こえるよう、出演者をキャスティングしたのもポイントです」。その中から特に楽しげな響きがある案、誰もが口ずさめるリズムの案を選出。2パターンに絞りそれぞれブラッシュアップし、議論を経て決定した。
ジングル連動のアニメーションも制作
歌声に合わせて、ブランドロゴの魔法のランプが動く5秒のアニメーションも新たに制作。終盤には「キラン♪」という音とともに光が線を描く。「動きが小さすぎると印象に残りにくいのですが、過剰な動きだと今度は音が目立ちにくくなります。その辺りのバランスに留意し制作していただきました」(三好さん)。
野口さんからも「清潔感のシンボルでもある『キラン♪』という効果音のタイミングで目を引くように仕上げてほしい」と要望を伝えた。キャンペーン動画の公開後は「流れるとつい聞き入ってしまう」「ハッピーな印象で覚えやすい」など、好意的な反応が寄せられている。アース製薬はジングルを買い取っており、今後も「らくハピ」ブランドの広告で活用していく考えだ。
……続く内容は、「音楽プロデューサーが振り返る名作CM インパクトを生むCM音楽はどう生まれる?」「2023年のCMソング65曲起用楽曲のトレンドは?」などです。
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▼特集のトピックス
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- 「歌詞」をきっかけにコラボ
- 実現の鍵は「三方良し」
- ・アース製薬
- 「らくハピ」ジングル
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