関東拠点の2号車を開発中
サウナに改造された路線バスが注目されている。中古バスを活用したサービスを手掛けるリバース(大阪市)は2022年から、移動型サウナバス「サバス」のレンタル事業を展開。内装は座席シートや吊り革などの設備を再利用しており、路線バスの雰囲気を残している。自走できるため全国各地に移動させることが可能。問い合わせが増加していることを受け、東急バスの車両を改造した2号車の開発を進めており、2024年6月に完成予定だ。
同社は兵庫県の神姫バスに勤める松原安理佐氏が2021年5月に起業。会社を辞めずに新会社を立ち上げる「出向起業」で設立した。1号車は神姫バスの車両を改造。人口減などで利用者減少といった課題を抱えるバス事業者の新たな収入源を創出するという狙いもあり、車両を提供するバス会社も運転や管理などの業務を担うことで収益を得られる。将来的には全国のバス会社と協業したい考えだ。
1号車はサウナ検索サイト「サウナイキタイ」と連携して開発。バスの前方部分は休憩スペース、後方部分がサウナ室となっている。サウナ室はバスと同じレイアウトで、左右に座席と窓が設置されている。座席が前方を向いているため、水着着用で男女一緒に利用する際、初対面でも目線が気になりにくいというメリットがある。
バス特有の高低差も残されており、タイヤの上に位置する座席は頭上が天井に近いため体感温度が高いという。手すりにつかまった状態で立ったまま入浴するなど、変わった体験も可能。降車ボタンを押すと蒸気を発生させる「オートロウリュ」を楽しめるなど、バスで使用されていた廃材を有効活用している。
完成から1年で約30件の事業者から引き合いがあった。拠点の兵庫県だけでなく、九州や関東からの問い合わせも多い。イベントや施設の集客に活用され、サウナファンや路線バスの愛好家の利用を促す効果が見られた。利用者は男性が9割で20~50代が多い。レンタルの基本料金は1日30万円(移動距離に応じた別途費用がかかる)で、水風呂として使えるプールの貸し出しや運営スタッフの派遣などのオプションも用意している。
広告による宣伝などは実施せず、WebサイトやSNSでの周知が主だったが、松原氏は「予想以上の反響だった」と手ごたえを強調。これまでは兵庫拠点のため、関東など遠方の顧客の費用負担が大きい課題があった。東急バスの車両を改造する2号車は関東拠点のため、より利用しやすくなると期待している。
2号車は1号車とは異なるレイアウトにする。サウナ室は2つ設置し、メインとなるサウナ室は車両の後部座席を回転させて「コ」の字形に変えた「サロン席」がモチーフ。利用者が会話をしながら窓からの景色を楽しむことができるほか、中央のテーブルではゲームなどで遊ぶことも可能。もう1つは優先席をイメージし、定員2人ほどの個室感覚のサウナ室を想定している。2号車の開発でも「サウナイキタイ」と連携する。