インテリア商品の企画・販売・空間の提案を行うサンゲツの社内報『さんげつ』は、社員に会社をもっと好きになってもらうことを目的に発行。2021年度にリニューアルし、コンセプトを「想いをつなぐ社内報」としている。
社内報を制作する社長室広報IR課リーダー近藤佑季氏は「会社の動きを伝えるだけでなく、社員の仕事や想いにフォーカスすることで、より一体感を醸成できるようにしています」と話す。
2022年秋号では「見せます!人気商品のレシピ」と題して、商品が出来るまでの工程と商品へ込めた想いを、外部メーカーの工場にも取材して伝えた。
その一つ「黒板クロスBlackboard」は黒板のように書き消しできる壁紙として人気の商品。壁紙企画製造会社デコリアとサンゲツの商品開発担当者双方に商品が生まれたきっかけや、開発にあたっての苦労、サンゲツに期待することなどを聞いた。デコリア側からの「商品の魅力をともにひろげていきましょう!」とのエールも載る。
「協力メーカーさんには半日がかりで取材し、モノづくりへの想いを聞き出しました」と経営企画課リーダー(当時広報IR課)福島千絵氏。
毎号若手社員1名の悩みも含めたリアルな想いを伝えるのが「はたらくスケッチ」。2023年冬号では、入社2年目で厚木営業所初の女性営業として配属された社員が登場した。まめに得意先に足を運び、壁紙のみでなく床材などトータル採用につなげたという。「この記事は現場で働く若手のリアルな声を活かしたいので社員のモノローグ形式としました」と近藤氏。
案件獲得から納品までの社内連携ストーリーを描くのが「ATELIER Story」。2023年秋号では著名ホテルの内装施工を受注するまでを扱った。
当初はサンゲツの指定商品が少なく劣勢だったが、職人手配への尽力などをきっかけに壁紙を中心とした採用獲得に至った。そのプロセスを「施工事業者・代理店担当」「納品手配担当」などさまざまなセクションの社員たちの想いで綴る。「プロジェクトに関わる社員はメインの営業のほかにもたくさんいるので、なるべく多くのメンバーの想いと相互の関わりを伝えたいです」と近藤氏。
連載の「同期対談」、2022年秋号では入社時に同じ支店に配属され今は別々の部門に勤める社員2名を取材。入社時に悩んでいたことも、時を経て自ら声をあげて解決していける自分に成長した、などと語り合った。「この記事では30代の同期社員に入社以来の変化などを本音で語ってもらいます」と福島氏は明かす。
Q.特集「見せます!人気商品のレシピ」で、社内のみでなく社外の協力メーカーへも取材を行った背景を教えてください。
A. 例年であれば新人研修で、協力メーカーさんを見学しているのですが、コロナ禍による中止が数年続いていました。また社員アンケートで、メインターゲット読者である20~30代社員が商品の深掘りに興味があるとの結果も出ていました。そこで人気商品が出来上がるまでを、自社担当者と協力メーカーさんの双方に取材し社員に伝える特集を企画しました。(福島氏)
[基本情報]
創刊:1988年
発行頻度:季刊 ※ほか、グループ報も年2回発行
部数&判型:約1700部・A4判
制作体制:取材・原稿作成はほぼ内製。連載「はたらくスケッチ」のみライターに取材・執筆を依頼。レイアウトデザイン・印刷は外注。メインターゲットは社内調査でエンゲージメントが低いと分析した20~30代社員。彼らの知りたい情報や企画を意識する。「取材前はメールだけではなく電話で直接話をするなど口頭でもコミュニケーションを図ります。取材では相手が話しやすいような空気感づくりやリアクションも大切にします」(近藤氏)。
反響の高かった企画・記事
(1)特集「見せます!人気商品のレシピ」2022年秋号
(2)連載「わが社を支えるHEROESサンゲツの『今』を担う、個性あふれる部署を紹介」
(3)連載「はたらくスケッチ」
広報会議2024年4月号
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