夜の観光で地域経済に貢献 人力車で夜桜を巡るプラン創出、時代屋

アサヒビールやJTBとコラボ

インバウンドで夜の観光を盛り上げる施策が進んでいる。浅草で観光事業を手掛ける時代屋は、アサヒビールやJTBと連携し、隅田川周辺の夜桜の名所を人力車で巡る「浅草 夜桜 人力車お花見プラン」を企画した。夜間のコンテンツで消費拡大を図る「ナイトタイムエコノミー」を推進する取り組みの一環。お花見スポットと飲食店街を人力車でつなぎ、周辺店舗の利用につなげる狙いだ。期間は3月27~30日。


写真 パース・イメージ 夜桜スポットを人力車で巡るプラン
夜桜スポットを人力車で巡るプラン(イメージ)

雷門近くの時代屋店舗からスタートし、隅田公園の桜並木など桜の見どころを巡り、公園本通り(ホッピー通り)周辺に到着するルート。プランの特典として、アサヒビールの「スーパードライ生ジョッキ缶」と「スタイルバランス」などを用意している。開始時間は午後6時と7時で各日2回。価格は1人乗車で2万2000円(税込)、2人乗車で2万2500円(同)。

アサヒビールとJTBは、インバウンドを通じて「ナイトタイムエコノミー」を共創するプロジェクトを1月30日から開始。夜の娯楽やサービスを通じて地域経済の活性化や文化的価値向上に貢献する狙いだ。現状ではコンテンツやプロモーションが未成熟な点が課題で、両社はお花見と人力車に注目し、時代屋とのコラボが実現した。

時代屋が夜桜プランを提供するのは今回が初の試み。企画を通じて外国人の夜桜需要を見極め、将来の新しいサービス創出に生かす考えだ。代表の藤原英則氏は「コロナ明けで初めてのお花見なので、日本人も外国人も浅草に来てほしい」と意気込みを語った。

訪日外国人客数は、円安などの影響で急速に回復。JTBの調査によると、2024年は過去最高の3310万人(前年比131%)の訪日が推計されている。浅草も人通りが戻り、時代屋の利用者も増加。コロナ以前は日本人客が7割だったが、現在は外国人客と半々となっている。同社は、久しぶりの日本観光で念入りに下調べする外国人が増えたことで、人力車の認知度も高まっているとみている。コロナ前は中国人が多かったが、現在は欧米からアジアまで様々な国からの訪日客が利用している。

一方、急速な旅行者の増加で、観光業では人手不足などの課題も顕在化。同社も需要に供給が追い付かない状況で、予約が全て埋まることも多いという。藤原氏は「観光業全体が底上げし、必要な人材に選ばれる業界にしないといけない」と話し、ナイトタイムエコノミーへの期待感も示した。

同社は1987年に創業。1996年に浅草初となる観光人力車を走らせた。着物レンタル、レトロコスプレ体験などのサービスも提供している。コロナ禍では利用者が減少したが、「密」にならない人力車の特長を生かした観光サービスなどを実施した。

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