創業102周年を迎えた北海道札幌市の千秋庵製菓。その看板商品である洋風煎餅「山親爺」がパッケージをリニューアルし、26年ぶりにCMを復活。♪~出てきた、出てきた山親爺~というフレーズで、北海道民に親しまれた山親爺のCMソングが3月18日に新たなかたちでお披露目された。
「山親爺」のCMは、1960年に開始。CMの作詞・作曲家として知られる桜井順氏によるポップな歌詞とメロディー、北海道らしいイメージが詰まったストーリーのアニメーションを展開、主に30代以上の北海道民であれば誰でも歌えるCMとして浸透していた。今回、新たなCM制作にあたり、CMソングの歌唱を北海道函館市出身の歌手 YUKIさんが、編曲を同じく北海道札幌市出身の音楽プロデューサーの蔦谷好位置さんが手がけた。
「『山親爺』のリニューアルは以前より温めていた企画。2022年10月に北海道コンフェクトグループ入りと同時に実行したパイまんじゅう『ノースマン』のリブランディングが落ち着いたタイミングで『山親爺』のリニューアルに着手しました」と、同社代表取締役社長 中西克彦氏。
「リニューアルに際して、CMの復活もセットで検討していました。道民のほとんど(主に30代以上)が歌えるCMソングは札幌千秋庵にとっての財産であり、CMを活用することで大きなインパクトを与えられると考えていたからです」
「山親爺」は、もともと年配のファンが多い商品。そこでリニューアルにあたっては、メインターゲットを「山親爺のことは知っているけど、自ら買って食べていない30~40代」に設定した。その世代が盛り上がることで、周辺の世代や子ども世代にも広がることに期待を寄せた。
「かつて放送していたオリジナルCMを知っている世代にとっては、歌やアニメーションを新たなものに変えるよりも、オリジナルCMをベースにリニューアルする方が効果が高いと考えました。また、おこがましいかもしれませんが、山親爺のCMソングは単なるCMではなく、歌とともに故郷の北海道を思い出させる北海道民にとって文化財のようなもの。リニューアルに際して、北海道出身のアーティストにCMソングを歌ってもらえたら、地元の皆さんに喜んでもらえるのではないかと考えたのです」
北海道出身のアーティストは数多くいるが、誰に歌ってもらうべきかを検討する中で、中西社長は「YUKIさんの歌声がオリジナルのCMソングの雰囲気にも合っているのではないかと感じていました」という。
「メインターゲットは青春時代にYUKIさんの歌を聴いて育った世代です。そして企画を検討している中で、YUKIさんがかつて北海道でのライブの際に、MCでファンの方と一緒に山親爺のCMソングを歌っていたことを人づてに知り、勝手ながら親近感を覚えていました。
とはいえ、一流アーティストの方に歌っていただける自信は全くありませんでした。しかし、実現したら絶対に北海道の皆さんが喜んでくれると思い、ダメ元でオファーしたところ、YUKIさん自身が『歌いたい』と快諾してくださいました」
そしてリバイバルの際のパートナーとして、YUKIさんが指名したのが蔦谷さん。YUKIさん自らが「この曲を心から理解できるのは彼しかいない!」と思い、「この曲一緒に録音しませんか?」とメールをしたという。「蔦谷さんもそれに応じる形で、今回の豪華なコラボレーションに繋がりました。我々は蔦谷さんにまでつながるとは全く想定しておらず、素敵なご縁をいただいたと感じています」
「山親爺」の新しいパッケージデザインは、北海道の澄んだ青空を背景に、笹の葉と鮭を背負った熊が、スキーに乗って雪山を滑り降りる姿を表現している。このデザインは、約26年前までテレビで放送されていた「山親爺」のCM のストーリーをもとにしたものだ。
そして、新CMはポップな歌詞と以前より洗練されたメロディーに乗って、熊の親子が登場。川で鮭を獲って家に持ち帰り、遊びに来たウサギに、お母さん熊が焼いた山親爺と、川で獲った鮭をプレゼントするというストーリーになっている。CMは画角の変更はあったものの、基本的な構図はオリジナルのCMをトレースするかたちでリメイクが行われており、かつてのCMを見ていた人にとっては親しみのある絵になっている。
本CMは、かつて最も長くCMが放送されていた時と同じ札幌テレビ放送(STV)「どさんこワイド」にて放送する。また、公式YouTubeでも公開され、過去のCMと比べてみることもできる。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通北海道、東北新社
- CD
- 讃良奈央子
- Pr
- 髙畑吉広
- 演出
- 富田兼次
- アニメーター
- 池亜佐美
- うた
- YUKI
- 編曲
- 蔦谷好位置
- NA
- 岩尾亮
- AE
- 小野哲