対決イベントを通じて顧客に訴求
森永乳業は、自社ブランドのチーズを使ったアレンジレシピの開発にAIを取り入れる。AIが考えたレシピで人間のシェフに挑む料理対決を3月25日に実施予定。レシピには「クラフトバジルフレッシュモッツァレラ」を使用する。同商品は料理の材料としても人気があり、AIを活用して新しいアイデアを生み出す狙いだ。人間との対決を演出することで注目を集める考えで、当日の様子はYouTubeでライブ配信するほか、アーカイブ動画でも公開。対決で誕生したレシピはSNSなどで紹介する。
「クラフトフレッシュモッツァレラ」は1999年に発売した。フレッシュモッツァレラ市場では金額シェア53%(2022年度)でトップ。元々は女性向けに設計した商品だが、男性の利用者も多い。インテージのデータによると、同市場は2005年に18億円だったが、26年は150億円規模に伸長するという。
昨年9月に新ラインナップ「バジルフレッシュモッツァレラ」を発売。直接食べるだけでなく、料理と組み合わせる使い方が人気だ。今後のブランド戦略で、そのままの喫食とアレンジレシピの両軸で提案していく方針を掲げ、これまでにない組み合わせを提案するためAIを活用。メニュー開発でAIを使用するのは初めての試みで、同商品の新たな使い道を知ってもらい、購入増につなげる考えだ。
対決では赤坂の「Bistro Q」(東京・港)の山下九シェフと、茨城大学大学院理工学研究科複雑データサイエンス研究室が3本勝負を行う。「フレンチ」「イタリアン」のほか、独創性を発揮した「オリジナル」3メニューを料理。調理時間は1品につき10分以内で、おいしさや独創性だけでなく、消費者が家庭で作れるような「手軽さ」が審査される。
AIは「ChatGPT」をベースに、同研究室が開発したツールを使用。追加の指示などを効率化し、AIとの対話を繰り返してレシピの改良を行う。
3月18日に宣誓書への調印式を実施。山下シェフは「AIにはまだまだ料理は考えられないのではないか。これは勝てると思う」と自信をのぞかせた。一方、同研究室の鈴木智也教授は「AIの能力を発揮して勝ちたい。一流のシェフにどれだけ対抗できるか楽しみにしている」と期待感を示した。同社製品担当の三好晨仁氏は「この取り組みでAIの知見を貯めて活用していきたい」と話した。