クリエイティブの力で生活者も巻き込んだ活動体をつくる
博報堂プロダクツが実施した2023年5月の調査によると、企業のサステナビリティ推進担当者の多くは、サステナビリティの取り組みを外部に伝えるためのアウトプットに課題があることが分かった。そこで生まれたのが同社の持つ、ものづくりの強みを生かした専門チーム「SUSTAINABLE ENGINE」だ。チームには、これまで20年以上PR領域に携わってきた松永風馬氏をリーダーに、各領域のエキスパート約30名が集結。コンセプトワークやLP、動画の制作、イベントの運営等、多岐に渡る支援を行う。
同チームが掲げる「サステナブル実装化サイクル」の特徴は、「パーパス構築」「コミュニケーション設計・発信」「具体化アクション支援」の、どのフェーズからでもアクションを回し続けられること。「この数年パーパスの構築から依頼を受けることも増えていますが、このサイクルを回していくことで、事業成長に寄与し、かつプロセス全体でサステナビリティを実現していけたらと考えています」(竹山氏)。
発足から約1年、具体的な実績も蓄積されてきた。体験設計の領域では、30項目からなるイベント運営・制作時におけるチェックシートを作成。会場選びから人権配慮に関わる内容も網羅する。またプレミアム領域では、サステナブルなサプライチェーンを実現した販促・MDグッズの企画・製作を支援する。サステナビリティに寄与するプロダクトであっても、調達・生産・物流といったプロセスまで網羅的に考慮できているケースはそう多くないという。「旧来から制作現場もイベント運営も“足りないぐらいなら余らせる”という意識が強かった。アウトプットだけでないあらゆるプロセスで改善が必要だと実感しています」と助川氏。同氏が主導する映像領域でも取り組みが進んでいる。
「どうやったら生活者の心を動かし、行動を促すことができるか。企業のサステナビリティ活動は、関わる楽しさや心地よさなどの“生活者の体験価値”に変換することが重要。」と竹山氏。企業がサステナビリティ推進と事業貢献の両軸を実現する上で「クリエイティビティ」が鍵と言えそうだ。「かつて『広告』はカルチャーをつくってきましたが、今、環境が大きく変わる中でまたその力が求められているように思います。一人ひとりが社会の一員としてどうサステナビリティに向き合っていくか。クリエイティブの力で、クライアントのみならず、その先の生活者も含めた全員を巻き込んでいきたいです」(松永氏)。
CASE 1 / シック・ジャパン
「Schick」パッケージリニューアル
2022年3月に「ハイドロシルク」「イントゥイション」の大幅リニューアルを実施し、パッケージをプラスチックから紙素材に変更した。形をシリーズで統一し、約30%縮小することで購入後の持ち運びに配慮。また切り取り線を採用し、従来よりも開けやすくなった。日本パッケージデザイン大賞2023 で入賞したほか、ブランド認知も大幅にアップした。
CASE 2 / 三菱自動車工業
小学生向け 「なぜ?なぜ?クルマづくり調査団」 冊子・Webサイト制作
クルマの開発から生産、流通のプロセスや、工場での環境への取り組み、EV・PHEVといった電動車の仕組み、安全技術など幅広い内容を、写真やイラストを使って分かりやすく解説。同社のSDGsへの取り組みについても、アイコンなどを使用して掲載している。その他、冊子の内容をより詳しく掲載するWebサイトへ誘導。授業や家庭学習で活用された。
CASE 3 / コーセー
『コスメデコルテ』 サステナビリティ・アクションテーマの具現化
サステナビリティメッセージ「Find your true beauty あなたの輝きは、やがて世界を照らす。」を策定。1970年の誕生以来、世界中の女性が誇りを抱ける社会の実現を目指し取り組んできた同ブランド。具体的なアクションのひとつとしてパープルリボン運動に賛同し、その取り組みを視覚的に表現したキービジュアルとコピーも展開している。
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