腸内環境を改善する「発酵性食物繊維」に着目
ミツカンは、「発酵性食物繊維」を豊富に含む食品ブランド「Fibee」(ファイビー)を開発した。腸内に生息する「腸内細菌」に働きかけ、様々な健康効果が期待できる。カレーやワッフルなどをラインナップし、日常の食生活に取り入れる食品として定着させたい考え。代表取締役専務の石垣浩司氏は「当社の成長戦略の重要な一つとして位置付けている」とし、10年以内に100億円以上の売上規模に成長させる方針を掲げた。3月から同社公式ECサイトのほか、一部店頭で取り扱いを開始。今年はテスト期間としており、最適な訴求方法を模索するという。
同社は調味料を中心に販売してきたが、日本は高齢化やタイパ重視による料理離れで調味料を使わない人も増えているという。1971~74年生まれの「団塊ジュニア」と呼ばれる世代が人間ドック推奨年齢となり、今後は健康意識が高い人が増えるとみて、簡便性と健康を両立した新ブランドの開発に着手した。
健康寿命を延ばす食事についてChatGPTなどでピックアップし、エビデンス調査やメタ解析などを行ったところ「発酵性食物繊維」にたどり着いた。「発酵性食物繊維」は腸内で健康に寄与する「善玉菌」の増殖を助け、腸内環境を改善する働きがある。
ウェルネス総合研究所の健康意識と行動分析の調査(2021年)よると、10~70代のうち、健康を意識しているが積極的に行動していない「健康中間層」が64%を占めており、同ブランドはこの層への訴求も意識。世帯年収の減少で経済的にゆとりがない人が多いことも踏まえ、手に取りやすい価格を設定した。
石垣氏によると、健康に良い食品は味を懸念する人も多く、同商品はおいしさにもこだわったという。同社グループの「ZENB JAPAN」が手掛ける、植物の皮から芯まで利用した食品ブランド「ZENB」で培った加工技術を生かしている。
イメージキャラクターとして腸内細菌をモチーフにした「Fibees」(ファイビーズ)を制作。腸内細菌を身近に感じてもらう狙いで、商品パッケージやSNSで活躍するほか、キャラクターグッズの販売も予定している。
現状のラインナップは「むぎゅっとワッフル(ココア)」(税抜248円)「むぎゅっとワッフル(アールグレイ)」(同248円)「完熟トマトのキーマカレー」(同348円)、「レンジでもちもち黒米と玄米ごはん」(同298円)「グラノーラりんごとシナモンの香り」(同548円)「ひとくちビスキュイ オレンジとカカオニブ」(同248円)「ふわぁっと百香るルイボスティー」(同228円)の7種類。今後、ラインナップを増やしていく。
発売を記念したポップアップストア「オーダーできない おなかレストラン」を六本木ヒルズ大屋根プラザで開催。来場者にチェックシートを手渡し、1週間に食べた食材を答えてもらう。回答内容に基づいて「おなか元気度」を採点し、点数に合わせて同商品を使用したオリジナルメニューを無料提供する。発酵性食物繊維の重要性や新商品のおいしさを周知したい考えで、会場は人目につきやすい屋外に設置。エリア内の物販ブースでは商品の購入もできる。期間は3月24日まで。
発売当日に実施した新ブランド発表会では、京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤裕二教授が発酵性食物繊維について解説。AKB48の柏木由紀氏、タレントの「3時のヒロイン」(福田麻貴氏、かなで氏、ゆめっち氏)も参加し、同商品の試食や食生活に関するトークセッションを実施した。