全国でカー用品店を約680店舗展開するイエローハットは2019年から、2月22日の「猫の日」に合わせて、猫を交通事故から守るための啓発活動「全国交通にゃん全運動」を展開してきた。今回は猫が参加できる募金サイトを基軸に、事故防止に繋がる広告を展開した。
猫を愛でるだけでなく「守る」日に
イエローハットは毎年、2 月22 日の「猫の日」に合わせて「全国交通にゃん全運動」を実施している。路上に飛び出してしまう猫と車の交通事故を防ぐ活動で、同社によると猫の事故数は年間で推計28 万件以上にも及ぶ。これまで猫が車を避けられない理由を解説した「猫の交通にゃん全クイズ」や、ヘッドライトに反応して飛び出す猫の生態を知らせる「猫飛び出しサイン」などを通じ啓発を行ってきた。
同社が猫の交通安全に取り組んできたのは、自動車に関わる企業としての社会的使命だと考えているため。同時に、企業のファンづくりも目指している。2019 年の立ち上げからクリエイティブディレクターを務める読売広告社の市川晴華さんによれば、イエローハットの社内は猫好きが多いそう。「社内で猫を飼っている」など、“猫愛”あふれるエピソードが多数ある。「猫好きの方たちに知っていただき、ファンが広がるきっかけになればと考えました」。
特に、飼い主など“コアな猫好き”を対象としている。「猫の日に合わせて猫の可愛さを紹介する企業が多い中、『猫を愛でるだけじゃなく、守る日にしよう。』というメッセージのもと活動しています。表面的な活動ではなく、本気度を伝えるためにも初年度から一貫しています」(市川さん)。
今回は一歩踏み込んだ活動として、特設サイトを通じて猫の保護・動物愛護団体へ寄付できる「猫パンチ募金」を実施。猫が参加でき、スマートフォン、タブレットに現れたルーレットを肉球でタップすると2 円、22 円、222 円のうちからその日の募金額が決定する。2 月16 日から25 日まで開催し、目標額500 万円を達成できた。
ドライバー視点で猫の生態を表現
今回はこの募金サイトへの誘導を目的に、各媒体で広告を展開した。JR東京駅でポスターを掲出したほか、テレビCM や新聞広告、オリジナルT シャツのプレゼント企画などを実施。それぞれ路上に飛び出してしまう猫の生態を表現している。
テレビCMでは、巨大な猫が街に突然出現。怪獣のように電車やビルを破壊する様子を描き、「ああ、猫って予想外。」というコピーを重ねた。「事故の原因訴求につながるシンプルな言葉をドライバー視点のコピーにすることで、自分ごと化できるようにしました」(読売広告社 コピーライター 肥後晶さん)。
22 日の「猫の日」当日には、7時・18 時・20 時・21 時・22 時の22 分ごろになると猫が飛び出す「時報」のテレビCM も放映した。
ポスターでは「これくらい、大きかったら気がつけるのに。」というコピーと、巨大な猫が街でくつろぐ様子を描いている。「猫が飛び出してくる様子を静止画で表すのは難しく、壁を突き破るなどチームで検討を重ねました。結果、事故に遭うリスクが高い“小さくて素早い猫”の存在を前面に押し出した表現に落ち着きました」(読売広告社 プランナー 難波江侑矢さん)。
展開を終え、「猫を守りたい」思いへの共感を例年以上に醸成できたと考えている。「猫参加型のイベントにしたことで、X でも反響がありました。キャンペーンハッシュタグのポストのうち、例年はリポストが大半で、投稿者発信は1 割ほどでしたが、今年は30 倍に増加。事故防止への思いを発信している方もいて、私たちの本気度が伝わったと感じています」(市川さん)。
スタッフリスト
- 共通
- 企画制作
- 読売広告社
- CD+企画
- 市川晴華
- 企画+C
- 肥後晶
- 企画
- 田畑良、難波江侑矢、高橋英幸
- AE
- 古橋徳人、伊藤駿、髙橋尚也、佐藤佑美子
- ムービー
- 制作
- 読広クリエイティブスタジオ
- Pr
- 今野高志(チーフ)、菊地佑介
- PM
- 中安洋美
- 演出
- 佐藤圭
- 撮影
- 山本俊一郎
- 照明
- 松山嘉人
- ST+HM
- 吉田絵理花
- 出演
- たなかさと、元禄、ミヤ、ケーシー、キララ、サトリ、海、ブルーノ、コタピ、コータロー、カール
- GR
- 制作
- メガ
- D
- 石根岳、松田典子、百瀬葵
- 掲載
- 日経(2/22)
- 掲出
- JR 東京駅(2/19 ~ 2/25)
- Webサイト
- 制作
- レイズ
- D
- 石神敦子、堀下昌平