止渇ニーズと節約志向に応え、価格据え置きで容量増
コカ・コーラシステムは緑茶ブランド「綾鷹」を7年ぶりにリニューアルした。メインパッケージの容量を従来の525ミリリットルから650ミリリットルに変更。気温上昇で高まる止渇ニーズに応えた。希望小売価格は現行品と同じ160円(税抜)で、物価高騰に伴う節約志向にも対応。メインターゲットを従来の40~50代から20~30代に変更し、若者の価値観に沿ったブランドに再構築する考えだ。4月15日に全国販売を開始する。
2007年に発売した「綾鷹」は京都・宇治の老舗茶舗「上林春松本店」と協力して開発。「急須で入れたような本格的な味わいを目指す」がコンセプトで、40~50代がメイン層となる。
ブランドの認知度は高いが、20~30代の若年層の取り込みが不十分という課題も。年代構成比は40~50代が41%の一方、20~30代は26%にとどまる。また、量販店やコンビニなど店売りチャネルでの販売が苦戦。チャネル別シェアでは自動販売機が24%を占め、量販店は8%、コンビニは10%程度となっている。
同社は「価格に見合った価値を提供できていない」とし、ブランド価値向上を図るリニューアルを企画。「上林春松本店」と協力して茶葉の選定から見直し、200回以上の試作と3年の年月を経て完成させた。旨みは従来の約40%増加した。
ターゲットは20~30代に変更。緑茶を初めて自分で購入する20代に綾鷹を選んでもらい、継続的に利用するファンを作る狙い。様々な情報に囲まれる中で自分らしく生きる若者に向けた新しいブランドパーパスとして「自分らしく歩むチカラを、あなたに。」を定義した。
緑茶は「濃い系」と「スタンダード」の2つのセグメントがある。綾鷹は「高級」「特別な時に飲む」といったイメージがある一方で、「濃い系」としては物足りないと考える人が多いことも課題だった。幅広い層に魅力を感じてもらうため「淹れたての一杯目のおいしさ」をコンセプトに設定。苦みが少ない最初の一杯のイメージを付加することで「飲みやすさ」をアピールする狙いだ。
同社は緑茶の飲用量の調査で、600ミリリットル以上を求める人が多いことを把握。「同じ価格なら量の多い方を選ぶ」という声も大きく、スタンダードパッケージの容量を650ミリリットルに増やした。
上林春松本店は創業450年の歴史があり、現代表の上林春松氏は15代目。リニューアル後の綾鷹について「一煎目の味わいを見事に再現していると思う」とコメント。日本コカ・コーラマーケティング本部緑茶事業部の助川公太部長は「淹れたての味を追求し、メンバーが一つの目標に向かって情熱を注いだ」と話した。