本日3月29日、マーケティング上の効果を見込める斬新なアイデアを審査・表彰する、第16回「販促コンペ」が募集を開始。当コンペ受賞の選考基準のひとつとして重視されているのが「実現する可能性が高い企画であること」だ。これまでも複数の優れた受賞企画が実際のプロモーション施策として世に出ている。
第15回「販促コンペ」においてJackeryJapanの課題でゴールドに輝いた企画「初日の電」もそのひとつだ。本企画をもとにしたキャンペーンがついに実現。進行の過程を協賛企業と受賞者とともに振り返った。
「特別な体験を形に」あのアイデアが生まれた背景
──Jackery Japanが、第15回「販促コンペ」に協賛した理由を改めて教えてください。
平松:Jackeryは、2012年に米国で創業したポータブル電源メーカーです。日本に支社を設立したのは2019年のことでした。アウトドアやキャンプで使用するポータブル電源やソーラーパネルとしては世界でもトップシェアを誇る当社ですが、日本国内でのブランド浸透には課題が残っていました。どうすれば日本の生活者へJackeryの製品の魅力や価値を伝えられるだろうかと考えていたときに、出会ったのが「販促コンペ」。応募者へのお題も「ジャクリのポータブル電源の価値を伝え、より多くの人に使ってもらうためのアイデア」として、具体的な内容にしました。公募のコンペに協賛するのは初めてでしたが、当社としては、PR効果を期待しながら、ユニークな施策のアイデアを集められることにメリットを感じていましたね。今回、ゴールドを受賞した企画「初日の電」が実現することになったのも、大変嬉しく思っていました。
──受賞した2人にお聞きします。今回実現した「初日の電」はどのように企画なさったのでしょうか。
丸山:まずは、実現することに感動しましたね。私は「販促コンペ」に4年連続入賞しているのですが、応募した企画が実現したのは初めて。とても嬉しかったです。
吉田:このペアでの挑戦は2回目です。宣伝会議の講座「アートとコピー」で出会ったのがきっかけでタッグを組み始めました。私たちは応募する課題をある程度絞ってアイデアを考えていくのがルーティンなのですが、今回もその戦法でJackeryさんの課題に取り組みました。
丸山:Jackeryさんの課題に注力しようと思ったのは、“太陽”や“自然”がアイデアの軸になりそうだと思ったからです。私の分析だと、「販促コンペ」のような人を動かす企画を立てるうえでは、“自然”と絡めるとパワーが出やすい傾向にあると考えているのですが、Jackeryさんの課題はソーラーパネルとポータブル電源を掛け合わせた「ソーラージェネレーター」という商品だったので、相性が良いと思いました。この製品をもとに、“太陽”や電気の使い方に新しい切り口を見出せれば、良いアイデアが出そうだなと考えました。
吉田:まずはブレインストーミングで100個くらいのアイデアを出し、そこからブラッシュアップしていく流れで進めました。芽のある切り口を議論する中で、過去の受賞作品にも多い「特別な情報を形に残す」方向性がマッチしているのではないかという話になりました。ソーラーパネルでポータブル電源に電気を蓄積できるこの製品でも、同じようなことができると考えたためです。
丸山:似たようなもので言うと、実際に「富士山頂の空気缶」は商品化され、ヒットしています。まさに自然現象を形に残す企画ですよね。それが太陽でもできるのではないかと思って浮かんだのが「初日の出」でした。日本人にとっても特別感があり、なおかつシーズナルなイベントなので受け入れられやすのではないかと思い、この切り口で企画しました。
吉田:ただ、Jackeryさんの商品は「販促コンペ」の課題になっている他の商品と比較しても単価が高いです。そのことを考慮して、「買ってもらう」のではなく「まずは知ってもらって、便利さを広める」という目的で企画を考えていきました。イベントというアウトプットを選んだのは、そのような背景もありましたね。
──Jackeryさんは協賛企業賞では別企画を選んでいます。どんな経緯で実現まで至ったのでしょうか。
平松:実は、協賛企業賞を選ぶプレゼンには2人を候補としてお呼びしていたんです。そこで話をしたときも面白いと思っていたのですが、お正月のリアルイベントということで実現可能性という観点では少し難しいかもしれないと思っていましたね。でも、2人はこの時点から実現を視野に入れたプレゼンをしてきてくれたことを強烈に覚えています。
丸山:そうですね。チームでも必ず実現しようという想いで企画していました。「イベント会場の見積もりは取ってます」「仮押さえしてます」というように、実現に向けた試算を出し、媒体社とも調整した上で臨みました。その後、平松さんとは贈賞式の会場でお会いし、協賛企業プレゼンでいただいたフィードバックを踏まえた改善案をその場で話して、後日打ち合わせの機会をいただき本格的に始動しました。
吉田:お正月のキャンペーンということもあり、9月の贈賞式からのタイムラインでは実施にハードルもあったと思いますが、平松さんはじめ、多くの人にご協力いただいて実現できたことをとても嬉しく思っています。
Jackeryのお正月恒例施策としてこれからも続けていけたら
──2024年のお正月に実現した「初日の電」はデジタル施策として実施したと聞きました。キャンペーン概要を改めて教えてください。
平松:今回実施したのは、Jackeryが展開しているソーラーパネル&ポータブル電源で初日の出を使って充電している写真や、初日の出を映した写真を投稿すると、抽選で同社製品やQuoカードPay2024円分が当たるものです。「採れたての初日の出」を電力に換えて貯めるという新習慣を提案することを目的にしました。キャンペーンに先がけ、2023年12月26日からは京王線新宿駅3番線ホーム、高尾山口駅2番線ホーム、高尾登山電鉄清滝駅でポスターも掲出しましたね。その他、同日には朝日新聞の夕刊にも、1週間分の天気予報が載った天気欄の下に広告を出稿しましたね。これらは丸山さん、吉田さんのアイデアでした。
丸山:企画が走り出し始めてからは、Jackeryさんからキャンペーンの全体像をお聞きし、議論しながら我々が当初から提案していたOOH展開に加え、Xキャンペーン、インフルエンサーの起用などを決めていくという流れで進めていきました。その中で、Jackeryさんからキャンペーンの効果を最大化するために追加でPRをしたいという相談を受けました。そこからまた吉田さんと企画を練って、天気欄の下に広告を出したら面白そうだねということになったんです。
吉田:私は普段アートディレクションを仕事にしているのですが、キービジュアルの制作も担当させてもらいました。そのクリエイティブが広告として掲出されたのは、とても光栄でした。周りからも「初日の電のクリエイティブを見た」と連絡をもらうことも多く、しっかりと皆さんに届いているのも実感しましたね。
平松:今回は、贈賞式からの約半年間でスピーディーに施策を進めたことで、私自身も勉強になることが多い取り組みでした。「あらゆる人に、あらゆる場所で」ソーラーパワーという限りのないクリーンなエネルギーをもたらしたいブランドビジョンとともに、ここからは、この「初日の電」が国内でJackeryブランドを浸透させるための恒例施策として、既存・新規ともに認知されることを目指します。
ゴールド受賞
プラップジャパン
丸山優河氏
ゴールド受賞
マッキャンヘルスケア
ワールドワイドジャパン
吉田彩音氏
Jackery Japan
マーケティング担当
平松孝太氏