難しい広報の人材採用…「どんな人が活躍できますか?」の答えを考える

一番伸びしろがある広報未経験者

広報の仕事はプレスリリースや取材設定、記者発表など、業務の「型」が決まっているものが多く、一定の広報経験を積んでくると良くも悪くも自分で業務の進め方や影響範囲を規定してしまい、思考やアプローチが硬直化してくる傾向があります。

広報未経験者の場合、広報経験が無いことがデメリットではあるものの、それが故に、「型」にはまることなく思考の柔軟性がある点が最大の利点です。

特にSNSやオウンドメディアの活用、採用広報、インターナルコミュニケーションなど、既存のメディア・報道対応の枠組み以外の領域でも力を発揮してくれるポテンシャルがあります。

また、他職種からのジョブ転換の場合、例えば営業の場合はメディアリレーション、PMの場合はプロダクト理解など、前職種での経験があることで広報活動に活きる部分もあるので、本人のやる気とセンス次第では一番伸びしろがあるとも言えます。

ちなみに、私はLINE・メルカリ時代、1)事業会社の出身者、2)PR会社の出身者、3)広報未経験者のいずれも採用・マネジメントしていましたが、このうち、(出身母体毎の人数に対して)社内で活躍している割合が高かったのは意外にも3)広報未経験者でした。

写真 メルカリPRチームのオフサイトミーティングの風景
メルカリPRチームのオフサイトミーティングの風景/2018年3月頃。

現10Xの中澤理香さん(@r1ccha)、現カウシェ執行役員の大塚早葉さん(@Sayo_OTK)、メルカリ広報ディレクターの宮本祐一さん(@yuichi_miyamo)など、いずれも広報未経験または1年未満でメルカリに入社し、その後目覚ましい活躍をされています。
※ちなみにLINE・メルカリともに、事業会社広報、PR会社出身で活躍しているメンバーはたくさんいます。あくまで「未経験者でも活躍できる」、という例示として一部の方をご紹介させていただいています。

もちろん広報経験は「あるに越したことはない」ですが、「広報経験が長いから活躍できるとは限らない」、ということは頭の片隅に置いておいた方が良いかもしれません。

 

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矢嶋聡(はね 代表取締役/元LINE、メルカリ広報責任者)
矢嶋聡(はね 代表取締役/元LINE、メルカリ広報責任者)

早稲田大学卒業後、ネットベンチャー立ち上げ、留学、PR会社勤務を経て、2008年にネイバージャパン(現LINE株式会社)入社。検索サービス「NAVER」・コミュニケーションアプリ「LINE」の広報・マーケティングを統括。2017年10月にメルカリに転職。グループ広報責任者として現金出品問題などのリスク対応や東証マザーズ上場、新規事業立ち上げ、大型業務提携/M&Aなどの広報を統括。2023年3月末にメルカリを退社し、7月に独立し戦略広報マネジメントに特化したPRコンサルティング会社「はね」を設立。

矢嶋聡(はね 代表取締役/元LINE、メルカリ広報責任者)

早稲田大学卒業後、ネットベンチャー立ち上げ、留学、PR会社勤務を経て、2008年にネイバージャパン(現LINE株式会社)入社。検索サービス「NAVER」・コミュニケーションアプリ「LINE」の広報・マーケティングを統括。2017年10月にメルカリに転職。グループ広報責任者として現金出品問題などのリスク対応や東証マザーズ上場、新規事業立ち上げ、大型業務提携/M&Aなどの広報を統括。2023年3月末にメルカリを退社し、7月に独立し戦略広報マネジメントに特化したPRコンサルティング会社「はね」を設立。

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