インナーブランディングの効果とは MVVの浸透が企業を成長させる

コロナ禍を経てコミュニケーションだけではなく、人々の働き方や働き方に対する考え方が大きく変容した。2024年3月21日に行われた「宣伝会議アドタイデイズリージョナル2024 in 大阪」では、「社内カルチャー」や「インナーブランディング」にまつわるセミナーを開催。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の必要性や、それらを従業員に浸透させることによる効果、そしてインナーブランディングの構造についての講演が行われた。

ビジョンを達成するためのインナーブランディング戦略

「Makuake」はプロジェクト実行者が開発背景などのストーリーとともに発表する新商品や新サービスを、サポーターが応援の気持ちを込めて先行購入することができる「アタラシイものや体験の応援購入サービス」だ。ガジェットやフードのほかに伝統行事や文化財、旅行、体験など幅広いジャンルで活用されている。クラウドファンディングのシステムを採用こそしているが、“クラウドファンディング”という表現を徹底して避けているのは、「Makuake」を運営するマクアケが重要視しているビジョンに理由がある。

写真 イベント セミナー 宣伝会議アドタイデイズリージョナル2024 in 大阪
マクアケの能城氏。「Makuake」は、新規事業などに挑む実行者の思いや物語を表現するための媒介となり、サポーターをつなげている。

マクアケが掲げているビジョンは「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」というものだ。同社のカルチャー推進チーム・カルチャープロデューサーの能城綾香氏は言う。「さまざまな事情や経済的合理性などによって素晴らしいアイデアがお蔵入りしてしまったり、量産がかなわなかったり、これまであったものが消失してしまったりすることがあります。『Makuake』が介在し、それらが生まれ・広がり・残ることで、ビジョンに掲げた世界を実現していくという考え方です」。「Makuake」が新規事業などに挑む実行者の思いや物語を表現するための媒介役となり、それを応援する人(=サポーター)をつなげる。そうすることで新たな価値を生み出し、会社のビジョンを実現しようというのだ。

「世界をつなぎ、アタラシイを創る」というミッション、そしてバリューにあたる「Makuake Standard」に「挑戦を応援しよう。最速にこだわろう。崇高をめざそう。」を制定している同社。「『Makuake Standard』を体現してミッションを遂行することでビジョンを実現し、社会に価値を提供していきます」と能城氏。そして社内にこの考え方を浸透させるために必要不可欠なのがインナーブランディング施策だ。「MVVを掲げるだけではなく、経営陣や管理職がそれに一致した言動をすることが肝要」とし、「社員はその様子を見ていますし、実行者やサポーターであるお客さまは社員を見ています。この言動一致が甘ければ、MVVが逆効果になることもありえます」と言い切る。

次ページ 「バックオフィスメンバーもビジョンを“自分ごと”化」へ続く

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