非価格主導型プロモーションでLTVを高める 新規獲得だけに頼らない販促

1台あたり平均200万円の新車を生涯で計7台購入するAさんがいたとします。Aさんの「自動車における消費総額」は1400万円です。では仮に、7台の内訳がトヨタ3台、ホンダ2台、日産1台、ダイハツ1台だった場合、トヨタの顧客シェアは1400万円のうち600万円、つまり42.9%を獲得したことになります。これがLTVのベースとなる顧客シェアの考え方です。

それを踏まえて、多くの企業が用いている一般的なLTVの計算式は図1の通りです。

図 LTVを算出する方程式

実際には「継続年数」を入れずに「年間LTV」として算出し、活用する企業も少なくありません。本来LTVは、顧客生涯価値という名の通り「当該カテゴリーにおける一生涯の消費における自社の取り込み利益」を示す概念ですが、会計年度でのマーケティング目標や成果の指標として活用するため、1年間で算出・活用する企業も多く存在します。

いずれにせよ、LTVを算出することで、一人の顧客から獲得できている利益が明確になるため、“新規顧客獲得に、一人あたりいくらまで投下してよいのか”という指標がわかるようになります。また、中期的に見て元が取れるロジックに基づいた、顧客獲得プロモーションを打つこともできるようになります。

そしてなによりも、LTVを向上させることが、“新規獲得偏重の自転車操業”から脱する手がかりとなり、健全で効率的な経営へと向かうことを助けてくれるのです。

次ページ 「ECやD2Cと大手メーカーのLTVには解釈に差異が」へ続く

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