非価格主導型プロモーションでLTVを高める 新規獲得だけに頼らない販促

つまり、販売数量といった短期的な売上獲得に効果的な販売促進と、利益などの中長期的な売上獲得に効果があるブランディングやロイヤルティ向上施策は相反する取り組みになってしまうのです。

だからといって、販促担当者がLTVに向き合わなくてよいわけではありません。LTVの計算式(図1)の中には、「平均購入単価」「1年間の購入回数」という項があります。この2つが、販促担当者がLTV向上において大きく寄与できる領域です。つまり、何度も買いたいと思わせたり、併売やアップセルを生み出し、購入単価上昇させることには、販促担当者が主戦場とする「売り場」でも実現できる手段があると考えられます。

さらに、昨今リテールメディアが隆盛しているということからも見て取れるように、今は店頭をはじめとした購買接点でデータを取得する流れが進み「いつ、誰が、どの店で、何を買ったのか」を把握・分析することで販売を促進することも増えてきています。

普段からデータを分析し、戦略を立案しているマーケティング担当者やEC担当者だけではなく、販促担当者もLTVに向き合う必要性が増しているのはそのためです。決して他人事ではありません。

売上におけるLTVの位置づけ

図3は、自著の中に登場する「売上の地図」です。これは、売上にいたる因果構造を、地図として示したものになります。

図 売上の地図
出典:池田紀行+トライバルメディアハウス著『業界別マーケティングの地図』(日経BP)

この地図の左下に見るように、購入頻度を向上させるためには、店舗外販売力を高める「広告」と、店舗内販売力を高める「店頭販促(棚割+価格主導型プロモーション+非価格主導型プロモーション)」を連携させて店頭刺激力を高めることで、実現を見込むことができます。

その一方で、恒常的な価格主導型プロモーションによってプレファレンス(好意度)を半強制的に向上させる取り組みは、前述したようにブランド価値を毀損させ、中長期的には好意度を低下させる悪手となってしまう可能性があるのです。

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