顧客へ正確に訴求するCMクリエイティブとメールマーケティング

2024年3月に開催された宣伝会議主催の「アドタイデイズリージョナル2024 in 福岡」にて、九州を拠点とする通信会社QTnetの成松里美氏と、メール配信サービスやデータセキュリティサービスを提供するアララの中村京左氏が登壇した。地元の信頼を得るためのCM戦略とKPI(重要業績評価指標)達成につながるメールマーケティングについて講演した。

【QTnet講演】大手通信事業者に劣らない「メジャー感」の醸成

地元密着型の通信会社であるQTnet。創業から36年間、光回線など個人向け通信サービスや企業のネットワーク、テレビ中継用放送回線などを提供し、九州の情報通信を支え続けてきた。今回の講演では同社が発展した背景について、成松氏は課題感とクリエイティブ事例を交えて紹介した。

QTnetの成松氏。利用者のサービス満足度は高いが、非利用者の品質や信頼感に関するイメージに課題があり、「メジャー感」を作る戦略を実施。

成松氏は、消費者が通信サービスを選択する際に重視する要素として「通信速度」「製品・品質の良さ」「信頼感」を挙げる。しかし、これらの要素は消費者の先入観から生まれたものであり、「品質が良さそう」「信頼できそう」というイメージで通信会社を選ぶ人が多いという。同社の光ファイバーサービス「BBIQ」は利用者のサービス満足度は高いにもかかわらず、非利用者の品質や信頼感に関するイメージは全国系通信事業者に劣っていることが課題だ。そのため、全国系通信事業者に負けない「メジャー感」を作りこむ必要があったと成松氏は語る。そこで、同社は2006年から俳優の阿部寛をテレビCMに起用。影響力のある俳優を採用したことで、メジャーイメージの創出に結びついたという。

九州愛あふれるCMを戦略的に放映し、地元住民の心をつかむ

これまで同社では「地域密着」を表現するために、阿部寛が九州の名所を回ったり方言を話したりするなど、九州の人が親近感を覚えるようなCMを展開。これらのCM施策が功を奏し、通信サービスの品質イメージに関する調査において、「親しみがある」「地域に密着している」といったイメージを持たれ、「信頼感」「好感」の数値も大手通信会社とそん色ない結果を得ることができたという。サービス認知度に関する調査でも、大手通信会社と同等のスコアを獲得した。

九州の人が親近感を覚えるようなCMを展開。これらのCM施策が功を奏している。

2023年12月に展開したCMでは、同社が提供するサービス「BBIQ」と「QTモバイル」を「九州の新常識」にするという強気のコンセプトで展開。石焼きいものフレーズなどの誰もが聞きなじみのあるメロディの替え歌で同社サービスの浸透を図ったほか、出稿方法にも工夫をこらした。最初に九州全域に放映しCM認知を高め、翌月からは放映枠を選ばず本数重視で最も費用対出稿数の多い15秒・全日型のCMを出稿。現在はここまでのCM放映結果を分析し、エリアごとに好評だったCMを放映することで、効率の良い宣伝を実現しているという。

成松氏は「クリエイティブでは、『お客さまが誰か』ということをしっかりと意識し、お客さまに寄り添うものを作ることが大切」だと語る。

CM放映後の自社サイトへの流入数は放映前と比較して200%まで増加し、SNSでも好意的なコメントが多数寄せられた。成松氏は「クリエイティブでは、『お客さまが誰か』ということをしっかりと意識し、お客さまに寄り添うものを作ることが大切」だと語り、講演を締めくくった。

【アララ講演】未だ成長を続けるメールマーケティング市場

近年、デジタルマーケティング市場ではLINEをはじめSNSなどが台頭しているイメージを持たれるが、実はメールマーケティング市場も成長し続けているという。メールは現在でもBtoBでは連絡手段や販促として、BtoCでは主にメルマガやトランザクションメールなど購買を促すツールとして活用されており、中村氏は「ビジネスにおいてメールはまだ有効なツールだ」と主張する。

同社では業種業態を問わず、多数の企業のメール配信やメールマーケティングをサポートしている。一例として挙げると、レジャースポットなどの検索・予約サイトを運営する企業は、レジャー情報や会員の保有ポイントについてのお知らせをメールで配信していたが、「配信にかかる工数や時間」がネックであった。しかし、「アララ メッセージ」を導入し、メールのテンプレート活用やセグメント配信などを実施したところ、工数削減や会員属性に合った適切な情報を届けることに成功。これにより、チケット購入件数が昨年比1000%を実現したという。

写真 人物 アララ株式会社の中村氏
アララ株式会社の中村氏。「メールは情報交換のツールとして無くならないと考えている」と強調。メール以外のアプローチ手段をとりづらいtoB企業にも、購買を促すコミュニケーションを図るtoC企業にもメールマーケティングは有効に機能すると語る。

目標設定と効果測定がメールマーケティング成功の秘訣

メールを活用するビジネスツールは、リードの獲得から営業支援、顧客関係管理まで多岐にわたるが、同社のツールはメール配信に特化している。大量配信でありながら到達率の高いメールを送付できるのが特長であり、シンプルな設定で効果測定を行える。中村氏は「『メールを配信するだけのシステムにお金を払う意味があるのか』と疑念を持つ人がいるかもしれないが、実は到達率の高いメールを大量配信するには技術と時間が必要。そのため、効率的なメール配信システムが重要になる」と語る。

しかし「システムを導入することで簡単にメールを配信できるが、配信するだけで満足してはいけない」とも話す中村氏。メールを配信する際には、資料請求の問い合わせや購入促進などの目的を設定しなければ、ただの作業になってしまう可能性があるため注意が必要だと述べる。メール配信前に配信数や開封数、クリック数などのKPIを設定し、メール配信後は効果測定を行って現状を把握したうえでPDCAを回すことが、メールマーケティング成功のキーになるという。

写真 人物 メールのツールとその違いを解説する中村氏
メールのツールとその違いを解説する中村氏。MA(マーケティングオートメーション)は機能も多く魅力的だが使いこなせないケースもあるため、まずはメール配信から試してみるのも有効だという。

短い時間で読み手の興味を惹くメールとは?

KPIを達成するために何を重視すべきだろうか。その1つにメールの読み手の目を惹く「件名」がある。特別感やメリットを15字程度で設定した件名にすると、開封率が飛躍的に向上するという。同社では、より最適な件名をつけられるよう生成AIを活用した件名提案の機能もサービスに取り入れているそうだ。また、「画像訴求」も重要であり、HTMLメールの活用についても言及した。本文に画像を入れることで分かりやすさが格段に増すという。コンバージョンさせたいURLをテキストから画像にしただけで、クリック率が2倍になったという事例についても触れた。

最後に中村氏は「さまざまなコミュニケーション手段がある中でも、メールは顧客との接点を築くのには最適な手段。それだけに、Gmailのスパム対策なども強化されているともいえる。メールマーケティングの成功にはPDCAが欠かせないが、リソース不足に悩む企業が多いのも事実なので、ツールの提供だけでなく、HTMLメールの作成や配信の代行なども担うことで、企業の成功を後押ししていきたい」とまとめた。

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スライド アララ株式会社の講演資料より
アララ株式会社の講演資料より。見やすい位置に、サイトへのリンクボタンを設置すると、「ボタンなし」と比較してクリック率が2倍になった実績もあるという。


お問い合わせ
アララ株式会社
住所:〒107-0062 東京都港区南青山2丁目24番15号 青山タワービル
EMAIL:ms-sales@arara.com
URL:https://am.arara.com/
TEL:03-5414-3611




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