急成長する女子プロ・アマスポーツ界に熱い視線を送る米国企業

マーケティングリサーチ会社のスポンサーユナイテッドは、2024年2月、「米国のプロ女子スポーツ界のスポンサーシップ数は前年対比22%増」というデータを発表した。アマチュアスポーツ界においても、3~4月開催の「NCAA女子バスケットボールトーナメント(通称マーチ・マッドネス)」は異例の盛り上がりで、米国女子スポーツ界は今、企業の大きな関心を集めている。今回は、米国スポーツ界の盛り上がりについて、松本泰輔氏が解説する。
※本記事は月刊『宣伝会議』5月号の連載「米国広告マーケティング事情」に掲載されています。

松本泰輔氏

Coast to Coast Marketing Services 代表。AEとして約10年広告代理店に勤務後、1995年渡米。大学院卒業後、ニューヨークの広告代理店にて通信・金融・食品会社などを担当し、2005年独立。アメリカ東海岸を拠点にマーケティング、ジャーナリズム分野にて幅広く活動。2011年、宣伝会議より『フェイスブックインパクト』を共著にて発表。

右肩上がりの成長のNWSLは前年比40倍の放映権料を獲得

本誌2023年10月号で既報の通り、「FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023」は過去最高の観客動員数と視聴率を記録した。また広告収入も前回大会比50%増で、女子スポーツ史上最大の大会になった。

そして2024年2月には、米国女子プロサッカーリーグNational Women’s Soccer League(NWSL)がESPN、CBS Sports、Prime Video、Scripps Sportsの4局と放映権4年で2億4000万ドル(360億円)の契約を結んだ。

単年平均90億円の契約は、CBSとの前契約単年150万ドル(2.25億円)の40倍に当たる。リーグ観客動員数も前年対比26%増となっており、今シーズンは新たに2チーム(サンノゼとユタ)を加えて14チームに。

カンザスシティはNWSLチームとして初の専用スタジアムをオープンするなど、NWSLは右肩上がりの成長を続けている。3月16日のシーズン開幕に向けて、ESPNは元女子代表のレジェンドや現役スター選手を起用した30秒テレビCM“It’s So On”を2月下旬から放映した。

年間90億円の契約を4局と交わした女子プロサッカーリーグNWSLの開幕を告知するCM。各チームのスター選手だけでなく、アメリカ女子サッカー黄金期を支えたレジェンドたちを起用した。

WNBAは過去最高の公式スポンサー数を記録

女子プロバスケットボールリーグWNBAは昨シーズン、これまでの21年間で過去最高視聴率を記録し、13年間で過去最多観客動員数を更新した。

WNBAコミッショナーのキャシー・エンゲルバート氏はスポーツイノべーションラボ社の「83%のブランドが2024年女子スポーツへの投資を増やす予定」というリサーチ結果に触れ、「企業スポンサーが“女子スポーツ好調の波に乗り遅れるな”という姿勢を表す非常に強い統計」とアドウィーク誌に述べた。

テレビ視聴率・観客動員数の好調を維持し、過去最高のスポンサー44社を得たWNBA。4月15日のドラフト会議では大学女子バスケのスーパースター、ケイトリン・クラークが全体1位で選ばれることが確実視されており、今夏の新シーズンに向けてさらに盛り上がることが予想される。

実際にリーグの公式スポンサー数は2024シーズンに2社を加え、合計44社と過去最高に。さらに同氏は、白熱する今年のNCAA女子バスケットボール選手権について「WNBAはNCAA女子の勢いを最大限に生かしていく」と述べている。

 

…この続きは4月1日発売の月刊『宣伝会議』5月号で読むことができます。

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