広報戦略実行の前に必要だった「意識改革」
話は戻ります。ライオンズの広報担当者たちは、一生懸命仕事はしていましたが、なぜ新聞を配るのか、またその他の業務も、目的がしっかり理解できていない様子が間々見られました。
前回のコラムでお話しした通り、ライオンズは2022年の観客動員数が12球団最下位でした。事業を継続して伸ばしていくためにはファンの数を増やしていかなくてはなりません。
プロ野球事業だけで言えばKGI(経営目標達成指標)はファンクラブ会員です。ライオンズは40代後半の男性の方がボリュームゾーンですが、事業を安定して長く続けていくためには、若返りが必要です。よって今いない属性(潜在顧客層)へ情報を届ける必要があると強く認識しました。
そのためには戦略が必要です。戦略を立案するためには、網羅性や、だれに対してもある程度の納得感も必要なため、ビジネスフレームワークを用いて、現状把握と初期的な課題を分析しました。これらは経営企画を経験して得たスキルですが、この広報戦略はまた次回お話しします。
広報部のミッションは私の仕事ですが、当然全てを一人ではできません。業務を部員に振り分けてやってもらう必要があります。しかし、部員は私のことをよく知らないので、そんな人が立てた戦略を「はい、わかりました」と気持ちよくやってくれるわけがありません。戦略を説明する前に、まずは部員の信頼を得ていく必要があると思いました。
そこで親しい記者の方に数年ぶりに連絡し、立て続けにアポを取り、メディアの方々と情報交換を重ねていきました。