「攻め」とは無縁だった―西武ライオンズ広報の意識変革へ取り組んだこと

男性ファッション誌、エンタメ誌にも選手が登場

ここまでくれば、広報戦略を広報部員にしっかり説明し、動いてもらうタイミングです。部員への伝え方にも一工夫しましたが、それはまた次回お話しします。

その後は、前述の最若手の広報担当は、今いない属性(潜在顧客層)が好む媒体に対してアプローチを続け、エースの髙橋光成投手を男性向けファッション誌『Safari』(日之出出版)への掲載に結び付けたのです。


また、ライオンズのレジェンド・栗山巧選手、そして若手選手を女性向けエンタメ誌『JUNON』(主婦と生活社)で取り上げていただく機会も生み出しました。同時に、同誌の企画「JUNON TVくじ」という選手のアクリルスタンドなどのグッズが当たる、オンラインくじ企画にも参加させていただきました。


さらにTBSの番組でライオンズの公式パフォーマンスチーム「bluelegends(ブルーレジェンズ)」の密着取材をしていただくなど、目覚ましく成長していきました。


写真 公式パフォーマンスチーム「bluelegends(ブルーレジェンズ)」
約17人が所属する公式パフォーマンスチーム「bluelegends(ブルーレジェンズ)」。提供:西武ライオンズ

他の部員も同様に、自ら取材機会を提案する楽しさを知り、取材は捌くものではなく“獲ってくる”ものだと、意識が切り替わったと手応えを感じました。

自分も若いころ、上司に褒められることでやる気になりました。西武グループには「Good Jobカード」というものがあり、上司が直筆でよい仕事を称えるツールがあります。それを書き、みんなの前で読み上げ「本当にありがとう」と伝えて渡しました。


写真 筆者が実際に書いた「Good Jobカード」
筆者が実際に書いた「Good Jobカード」。2012年に西武グループ全体に導入し10年以上続いている社内ツールで、筆者が西武ホールディングス広報部在籍時に企画立案し推進。提供:西武ライオンズ

少し日が経ち、最若手の担当が顔をほころばせながら、私の所に小走りで歩み寄り「社長に褒められました!」と教えてくれました。ただでさえも忙しいなか、一人の若い広報人財をしっかり見てくれている経営陣の下で、同じ思いで働くことができていることを、私自身がむしろ誇りに思いました。

 

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赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)
赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)

2000年コクド入社、2004年広報室へ配属、以降は西武グループ各社で広報と企画を相互に歩む。2006年プリンスホテル事業企画部広報担当、2009年に同部ゴルフ・スキー担当も兼務。2011年西武ホールディングス広報部、2018年に経営企画本部 経営戦略部。2019年に同本部 西武ラボ(新規事業創造)課長となり、2023年から西武ライオンズ 広報部長。

赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)

2000年コクド入社、2004年広報室へ配属、以降は西武グループ各社で広報と企画を相互に歩む。2006年プリンスホテル事業企画部広報担当、2009年に同部ゴルフ・スキー担当も兼務。2011年西武ホールディングス広報部、2018年に経営企画本部 経営戦略部。2019年に同本部 西武ラボ(新規事業創造)課長となり、2023年から西武ライオンズ 広報部長。

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